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5 地竜との激戦、ミネルの剣技。

 幾重にも連なる咆哮(ほうこう)と共に、地竜の爪と牙が空を切る。


「アルフさんは下がってください!早く!」


 言われるがまま、尻餅を突くように飛び退くと、一閃が空中を横に裂いた。


 数匹の地竜を巻き込み、鋼の刃で打ち据える。


 だが、ミネルの攻撃が命中したどの個体も、まだ活力が有り余っている。


「仕留め切るには、やっぱただの斬撃じゃ威力が足りないんじゃないか?」


「はい。なので、剣に魔法を乗せて突進します。ですが、あの数を全て倒すのはおそらく無理です。道を切り開きますから、私の背中を離れないようにしてください」


「分かった。頼むぞ」


 ミネルは頷き、爪先に身体の重心を重ね、一瞬で急激に加速する。


 その背中を、アルフが鍛え上げた脚力でなんとか追い(すが)る。


「いきます!魔法剣・フラッシュフレイム!」


 ミネルの握り締めた刀身が発光すると同時に業火を(まと)い、燃え盛る。


 切っ先が地竜の胴体を掠めた刹那(せつな)、刀身からその巨躯へと炎が駆け巡る。


 ミネルの突き技を受けた地竜は、無数の斬撃を刻み込まれたかのように鮮やかに焼き崩れ、漆黒に焦げた断面を(さら)した。


「まだ行きます!」


 立て続けに三頭、通り過ぎ様に炎に呑まれながら絶叫を(ほとばし)らせる地竜の残骸はどれも黒ずんでいて、残っていたのはほとんどが骨格。


 他の部位は、その形を失っている。


 威力が、圧倒的過ぎる。


「あと、少し!」


 それだけに、限界への到達も速い。


 ミネルの握る刀身から炎が掻き消え、魔法の威力を失う。


 だが、眼前には地竜が数匹、(たたず)んでいる。


 突破口が塞がれる、その寸前。


「エアスラスト!」


 ラルクスの声と共に、宙を切り裂きながら回転する風圧の斬撃が、地竜の群れを薙ぎ払った。


「あと少しだ!急げ!」


 その直後、激しい地響きが足元を震わせる。


 立っていられなくなるほどの激しい振動。


 咄嗟(とっさ)に足を止めて、アルフとミネルはその場で強く踏ん張った。


「くそ、動けねえ!」


(こら)えましょう!大丈夫、きっと収まります!」


 揺れは、止まない。


 それどころか、強まっていく。


「どうなってんの、これ!」


「分かりません!けど、感覚的に、私たちパーティメンバーを分断した地盤の崩落と、同じような気配を感じます。いや、もしかしたらそれ以上の...」


 その時、強烈な鬼気(きき)が肌を走った。


 何かが地盤を突き破り、ラルクスの背後に立ち塞がった。

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