死んで誕生しちゃった?
始まりはとても静かだった。
なにもなく、ただただ平凡な毎日を過ごしていた、あの日までは…
俺は葛城翔、24歳のフリーターだ。
今日は元旦で今日が俺の命日で、誕生日だ。
そう、俺は死んでしまった。
俺は小中高ととても平凡に過ごし、大学も親に強制され入っただけで何かの資格を取りたいということもなく、ちゃんと4年で卒業した。ごくごく普通に学生生活を過ごし、やりたいこともなく大学卒業後も定職には就かず、だらだらと毎日バイトの掛け持ちで日々を過ごしていた。
元旦に俺は年賀状の配達員バイトとして町中を駆け回っていた。配達自体はすごく楽で寒いというのは難点だったが給料がよく、元旦から有意義に過ごせていると思っていた。
しかし、俺の人生はそこで終わってしまった。交通事故だ。
信号待ちをしていた時、反対車線から暴走車両が俺めがけて走ってきたのだ。逃げることもできたと思うがよそ見をしていて気づくのが少し遅れたために判断できず、そのまま…
暴走車両は交通事故を起こし気が動転したのか俺に駆け寄ることもなく逃げ去っていった。
元旦の初日の出もまだの時間に交通量も少ない道路に一人、俺は静かにとても静かに命を引き取った。
だが、なぜか体の感覚があり、誰かに抱っこされている感覚のように感じた。
静かに目を開けてみると俺は今日生まれ抱っこされていた。
前世の記憶を残したまま、同じ時代同じ町の一家庭に生まれた。
誕生日は1月1日であることはすぐにわかった。
母「まさか、予定日より早く生まれてきてくれて、年初めに栄寿に会えるなんてすごく幸せ」
父「そうだな、栄寿生まれてきてくれてありがとう!これから楽しく過ごそうな!」
俺は栄寿という名になり、生まれ変わったのだ!前世の記憶を残し、翔が死んだ日に栄寿となり、帰ってきた。