9/24
怪猫
猫がポツリと…
長沙郡に、甘遂という男があった。
一匹の猫を大層可愛がって世話していた。
あるときに、自分がいないところで
猫はなにをしているんだろうと思い、
興味半分で物陰にかくれていた。
トトトト
と、猫が板を踏む音が聞こえたので、
帰ってきたなと思い、わくわくしながら
息を殺して待っていた。
「にゃぁ~。」
と、一声あげて部屋に入ってきて
「あれ、いないのか…。」
と人語を発すると、そのまま、部屋の中央にきて
ごろりと寝てしまった。
猫との生活はそれ以後も続いたが
言葉を聞いたのはそれきりだった。