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怪猫

猫がポツリと…

長沙郡に、甘遂という男があった。

一匹の猫を大層可愛がって世話していた。


あるときに、自分がいないところで

猫はなにをしているんだろうと思い、

興味半分で物陰にかくれていた。


トトトト


と、猫が板を踏む音が聞こえたので、

帰ってきたなと思い、わくわくしながら

息を殺して待っていた。


「にゃぁ~。」


と、一声あげて部屋に入ってきて


「あれ、いないのか…。」


と人語を発すると、そのまま、部屋の中央にきて

ごろりと寝てしまった。


猫との生活はそれ以後も続いたが

言葉を聞いたのはそれきりだった。

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