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狸火
狸の妖火
阿波の国の話である。
狸がでそうな、月夜の晩に
ポンポンという小気味よい音ともに
ススキ野原に、狸火が灯ったと云われる。
めずらしがって見ていると、
腹鼓の音とともに
一つが二つとなり、
二つが四つとなり、
たちまち、巴の形となり、
上へ下へと火が踊り狂い、
最後には、中心に一つポッと言って消えるという。
観客が多ければ多いけど、
よく火が上がったと云われる。
本当に狸かどうかは分からないし
火がどうゆう原理で点くのかもわからない。
ただ、みな口々に狸の仕業と言うばかりだ。