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攫猿(かくえん)
豪快な人物でもたじろぐ妖怪とは…?
北海の陳青が、鎮山で「攫猿」にあった。
陳は怖いもの知らずだったので
捕まえて見せ物にしようと思うと
「青(陳青の名)。儂を捕らえようとはやめておけ。」
陳はビクッとしたが、
なおもとらえようとすると、
「嬰は、そういうことを教えたのか?」
と、父の名をだされて、さすがに、手を止めた。
攫猿は、人の心を読むと言われているのだ。
「間もなく、国に疫病が流行るから、
お前の足元にある草をとって、干したものを
茶にして、人に飲ませると、厄災から逃れられよう。」
と言って、木をつたって去って行った。
陳は言われた通り、薬草を持ち帰り、
また、数度山に通って同じ葉を集めて、
大量に干しておいた。
果たして、数年後に、国中に疫病が流行り
周りの邑では、人口の約7割が犠牲となってしまったが
陳の地域は、陳の薬草のお陰で、一人の犠牲者もでなかった。