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猫又
猫と婆さんのかけあい。
薩摩の国に、齢80になろうという婆さんと
こちらも20を越えた婆さん猫が住んでいた。
婆さんは薬草を調合してそれを売って暮らしていた。
ある晩、近所のものが婆さんから薬を買おうと
家に近づくと、一人暮らしの婆さんの家からなにやら話し声がする。
「婆さん、それをまぜたらいかん。」
「おや、そうだったかい?」
「それを交ぜたら薬効がきえるじゃないか。」
「おやおや、じゃぁ、こっちだったかい。」
「婆さん、ボケちまったかい?」
「ほっほっほっほっほ」
「はははははは」
と、2色の声が聞こえた。
その近所のものがガラリと戸をあけると、
中には婆さんと猫だけ…
猫はにゃぁと一声して、どこかにいってしまった。
「婆さん、いま、誰かとしゃべってなかったかい?」
「いや…。」
といっただけで、何も語らなかった。
その後、婆さんは亡くなって、
猫もどこかへいってしまったので
真相はわからずじまいだった。