俺を選べよ
遅くなりすぎましたにゃー(இдஇ`。)
ごめんにゃさい。忘れてると思いますが、続き(ヒーロー①視点)ですにゃฅ^•ω•^ฅ
地味メンのはずなのにあれ?かっこよく見えてきた…文章力がなさすぎて妄想を文章化出来ていない…( ̄^ ̄゜)
拙いお話ですが、ぜひ最後まで読んでいただければ…
綾辻はいつも、綺麗だった。
今も。学生時代も。
俺の名前は佐藤 秀。
学生の頃は「秀」の名に恥じない優等生であったと我ながら思う。
顔は、決してイケメンではない。
メガネ常備だし、地味な顔だと鏡を見る度に感じる。
それでも父の教えを守り、女性には優しく、を意識してきた。
俺の地味顔とは対照的に、綾辻は整った造形の美しい顔をしている。
ひとたび綾辻の華の顔に笑顔が咲けば、それを見た誰もが、春の女神の祝福を授かったかのような暖かな気分になったことだろう。
あまり笑うことのない彼女だが、一方的に懸想する輩が湧くのは必然だった。
斯く言う俺も、その1人ではあるのだが。
俺と、大量に湧いた有象無象どもとの違いは、彼女の友人になれたか否かくらいだった。
数少ない友人枠に滑りこむことに成功した俺は、事ある毎に彼女に話し掛けた。
綾辻は寡黙な性分で、発する言葉はとても少なかったが、薄くても反応が返ってくるのが嬉しかった。
涙ぐましい努力は無事実を結び、俺はなんと彼女の親友とも言うべきポジションに収まった。当時の綾辻の男友達の中では、俺が最も仲が良かったと自信を持って言える。
俺は、綾辻を通して彼女のもう1人の親友、桜院 梨亜とも交流を持った。
桜院家は華道の家元で、とある財閥の系列に属する、由緒ある家柄だった。
大金持ちの桜院 梨亜には、1学年下の弟がいる。
生徒会副会長としての俺の後輩、桜院 樹果だ。
梨亜は何故か、弟の存在を綾辻に隠していた。
親友なのに弟を紹介しないのかと、不思議に思ったのを覚えている。
ーーーーーーーーーーーーーーー
俺が綾辻と再会したのは、本当に偶然だった。
ふと目に飛び込んできた、同窓会の出欠確認のハガキに、綾辻のことを思い出した。
気がつくと、無意識にハガキの「出席」に、手に持っていたボールペンで丸を書いていた。
俺は同窓会に参加したことがなかった。
綾辻も、彼女が出席したと言う話は聞いたことがないので、参加していないのだろう。
彼女は来ないんだろうな、と思い至り、「出席」に丸のついたハガキとボールペンを握った自分の手を、俺は恨めしく見つめたのだった。
当日、中学時代の級友達との再会を果たし、和やかなムードで談笑していると、会場の扉が開いた。
入ってきたのは、1人のスレンダーな女性。
すらりとした長身の体躯に、小さな顔の、絶世の美女だった。
粗すっぴんにも関わらず、内側から光を発するかのような美貌。
会場の全員が直感した。
綾辻(さん)だ…!と。
そこから先は当然の如く、阿鼻叫喚だった。
綾辻がフリーだと発覚したり、綾辻を追うようにやってきた桜院が綾辻の黒歴史を暴露しようとしたり…とにかく騒ぎに騒いだ。
俺の目はずっと、ごく自然に綾辻を追いかけていて。
やっぱり、好きなんだって自覚した。
解散ムードになった頃、綾辻がひとり会場から出るのが見えた。
何故か、今彼女を追わないと、大事なチャンスを失う気がして、出て行った綾辻を追いかけた。
彼女の用は、お手洗いであったらしい。
俺だけ会場に戻る気も起きず、壁に凭れて待っていた。
戻ってきた綾辻は、壁際に立つ俺に気付くことなく、通り過ぎようとした。
刹那。
ー俺を見ろよ
頭の中がそんな感情に支配されて、目の前が真っ赤に染まった。
その時の激情は、いわゆる憤怒だったかもしれない。
「あ、綾辻!」
我知らず口が動き、彼女を呼び止めていた。
「…佐藤くん。」
「…」
「?…どうしたの?」
我に返ってみると、綾辻が怪訝そうに見つめていた。
どう話を繋げたものか…
一時の激情に駆られ、俺に気づいて目を向けて欲しいというだけで引き留めた、などと言えるはずもない。
「っは、話があるんだ。」
綾辻の上目遣いに驚いたこともあり、絞り出した声は詰まり、見事に吃った。
「ん…聞くよ?」
突然かつ不躾に話しかけた俺の話を、嫌な顔1つせずに聞いてくれると言う彼女の純粋な優しさに、愛しい、と思う気持ちが溢れた。
ー告げたい。
ー好きだよ、綾辻。
ー俺の、女神。
「…す、」
「す?」
「…す…だ。」
ちょうど電車が通り、その音に、俺の告白は掻き消された。
「ごめん、もう1回。」
俺の思いも知らずに、聴こえなかったと言い直しを要求してくる綾辻。
ーあぁ、そんな鈍感さも可愛らしく思えてしまう…末期だな、俺も。
ー覚悟を決めよう。
ーいい加減、想いを断ち切らなきゃいけない。
「…好きだ!中学の時から。」
言い切った途端、後悔と不安が押し寄せてくる。完全に勢いで言ってしまった。
嫌われていない自信はあるが、好かれている自信があるわけではなかった。
「…………え?…ぁ…」
綾辻は困惑した声を漏らし、俯いた。
「俺と付き合って。別に今すぐ返事をしろ、とか言いたいわけじゃない。」
「…」
「とりあえず今日は、連絡先を聞きたいんだ。」
黙り込んでしまった綾辻との繋がりが切れてしまうのが怖くて、焦って言い募った。
彼女は黙ったまま、スマホを取り出し、俺と連絡先を交換した。
「綾辻には、もっと俺を知ってから決断してほしい。」
安心させたくて、遠回しに結論を急ぐ必要はないことを改めて伝えると、理解したのか、綾辻は安堵したように呟いた。
「まだ今は、友達。」
「だな。じゃあ、また。」
その呟きを肯定してその場を後にする。
彼女は、あまり動揺していなかったように見えた。
ただの友達だと思っていた男に告白されて、困惑した、ってだけみたいな。
もっと狼狽えて、俺の知らない顔を見せてくれるかと思ったけど、ちょっと期待外れだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ある日、俺のスマホが他の人とは違う特別な着信音を響かせた。
思わず受信画面を二度見してしまう。
綾辻からだった。
見間違いじゃない。
頬っぺたを抓ってみれば、痛い。
いつもなら、こちらが送ったメールにすら一言くらいしか返してくれない彼女が、とレアすぎて驚いた。
『日曜○○公園に来て。デートする。佐藤くんは夕方〜夜のプランを考えて。綾辻』
驚愕に目を見張った。
衝撃的な内容に、声も出なかった。
日曜が楽しみ過ぎて、浮かれていると、あっという間に一週間が終わり、デート当日の日曜日になった。
待ち合わせ場所に指定された公園に着くと、綾辻と誰かが3人でいた。
「綾辻、どうした?デートプランを考えて来いなんて…お前らしくない。」
妙に背の高くて女っぽい誰かというのは、桜院だった。
「佐藤!?貴方だったのですか!同窓会で、むぅに告白したと言う猛者は!」
綾辻が呼び出した相手が俺だと知って驚いたようで、彼女は叫んだ。その声が俺のよく知る桜院梨亜…ではなく、その弟、桜院樹果のものであると気づいたのは、本当に偶然だった。
実は同窓会に参加することにした俺は、幹事だった桜院梨亜と話した。その時の記憶から、梨亜よりも僅かに低くハスキーな樹果の声を聞き分けられた、という訳だ。
ーでも何故、この場に樹果がいるんだ?
ーしかも女装なんて…
「桜院?何故ここに…?しかも何故そんな…護衛兼監視役ってわけか…」
考えをまとめようと思考するままに呟いていると、綾辻が弁解するように話しかけてきたのでハッと我に返る。
「…突然でごめん。リアにはそばにいてほしくて…」
申し訳なさを感じているのか、若干上目遣いに見上げおずおずと告げてくる。
ー可愛い…!
まぁ、桜院姉が綾辻を心配して付けた護衛だろうし、そんなにライバルになる危険性はないはずだ。
自分の中でそう結論づけて了承する。
「まぁ、いいけど…」
「僕も居るんだけどなぁ?…君たち、知り合いなのかい?」
その時空気になりかけていた、最後の1人が会話に割り込んで不満を訴えてきた。
ーそう言えば忘れていたが、こいつ誰なんだ?
ーこんなに3人だけで喋っているところを見ておいて、知り合いかだって?バカか、こいつは。
「もちろん。」
「…当たり前。」
「寧ろ、それ以外に見えます?こんなに仲良しなんですのよ。」
「仲が良い、のか…?……まぁ、それはそうと。君から誘いがあるなんて、驚いたよ。僕とデートする気になってくれたんだね。」
3人揃って呆れを隠さず答える。まぁ俺も、樹果と俺と綾辻という3人組が仲良しと呼べるのかは疑問だが。
ーこいつも綾辻狙いか。
綾辻や樹果との会話をぼんやりと聞き流しつつ、会話に割り込んできた男を眺める。
ーこの男プロサッカー選手の小鳥遊じゃないか…⁉︎
ーどこかで見たことある顔だと思ったら…
ー俺たちが知り合いかどうかも知らないってことは、まだ親しいわけじゃないみたいだな。
「…自意識過剰。」
「じゃあ、なんで呼び出したんだい?デートプランを考えて来い、との指命付でさ。」
「貴方たち二人の本性を探り見極める為ですわ!」
「要は、僕らがテストされるってことか…」
「平気か?仲良くもないヤツとデートなんて。」
今更ながら学生時代から人見知りのけがあった綾辻が、俺はともかく、あまり親しげではない小鳥遊ともデートすることが心配になってきた。
会話から察するに、俺と同時期に小鳥遊に迫られた綾辻が返事に困り→梨亜に相談→見極めのためのお試しデート…という感じの流れでこの状況になっているのだとは思うが。
「…気合い…リアいるし。」
「そうです!むぅは、私が守りますわ。」
「そうか…桜院、絶対な。」
「はっ!もちろん。当たり前じゃなくって?」
「だから、僕を、忘れないでほしいなぁ…」
綾辻は意外と呑気で、気合いでなんとかなるだろうと楽観視しているようだった。梨亜だと思って、樹果を頼りにしているのは頂けないが。
ー樹果、姉貴に護衛を頼まれたんだ(ろう)からには、絶対に守れよな…
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昼間は、小鳥遊のデートプランに従って行動するようだ。夕方以降が俺なので、順当だろう。
「さてさて。僕のデートプランは…遊園地です!」
「…安易ですわね。」
「そこ!聞こえてるからね⁈」
「…楽しみ。なかなか行かないから。」
「むぅがそう言うなら。」
「チケットは2枚買ってあるから、君にはこれを。さぁ、入ろう?」
「俺たちのは?」
「え?無いけど?二人は自分でチケットを買うんだな。嫌なら、外で待っていたらどうだい?」
ー嫌味な奴だな。ま、あんな奴から施しを受けようなんて気はさらさらないけどな!
「ほら、チケットを買いに行きますわよ、佐藤。なんなら、私が2枚買いますけれど。」
「いや。自分の分は買う。」
ー樹果の家が金持ちだとはいえ、後輩に奢られる訳にもなぁ…
「…行こ。」
ー始めはメリーゴーランドか。
心なしかワクワクした様子の綾辻が可愛い。馬に乗るか、馬車に乗るかで樹果と話している。
「…馬と馬車どっちにしよう?」
「私と一緒に、馬車に乗りませんこと?」
「…馬にする。ごめんね?」
「可愛いから良しとしますわ。」
メリーゴーランドに乗るのは女性陣だけだ。樹果は女装男だが。
俺たち男組は、柵の外から写真を撮れと。
音楽が流れ、ゆらゆらと回り始めると。
綾辻がふふ、と小さく笑い俺たちの方を向いて手を振った。
「「「わ、笑った…!」」」
ー驚くよな。普段あまり笑わないだけに破壊力が…
定番のお化け屋敷は外せないだろう。
2人一組で中に入る。
1組目は、綾辻と小鳥遊。
「きゃっ!」
薄暗くて綾辻たちの様子は、あまり見えないが、驚く声が聞こえたので、意外と楽しんでいるようだ。
俺は樹果と組んだ訳だが。
ーこいつ、演技に力入り過ぎだろう!
悲鳴がわざとらしい。
「ひぃ!私に近寄らないでくださいましっ!寄るな触るな、ですわー!」
「お、ゾンビ。…こっちはドラキュラか。それに、貞子?もいる!小さいお化け屋敷なのに、種類豊富だな〜。」
俺は俺で、男だとわかっている樹果を気遣うわけもなく、お化け屋敷の内装やお化けたちを観察して楽しんだ。
次はジェットコースター。
左から、樹果→綾辻→小鳥遊→俺の順で四人乗りの列の席に着いた。
「「きゃー!」」
「うわー!」
「っ!」
思い思いの叫び声をあげ、楽しんでいるようだ。
俺はジェットコースターはあまり好きではなくて、声を呑み込み、息を詰めていた。
色んな乗り物に乗って、最後は観覧車。
ゴンドラはそれぞれ四人乗りだったが、思い詰めた顔をしていた小鳥遊に、綾辻と二人で乗る権利を譲ってやった。
1つ後ろのゴンドラに樹果と乗ったはいいものの、何を喋るでもなく、じっと外を見つめていた。樹果の方も、ずっと演技をし続けて疲れたのか、あまり喋りかけてくることはなかった。
気まずい空気に耐えられず、外ばかりに目を向けていた俺は、もの問いたげにこちらを見る樹果に気づくことはなかった。
夕焼けが綺麗な時間、男2人で観覧車…
ー苦行かよ!
一つ前を回るゴンドラの中、綾辻と小鳥遊が何を話しているのか、気にならないと言ったら嘘になる。
でも何となく、アイツも真剣な恋をしているんだと感じた。
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夜は俺の番だ。
「俺は、展望台とレストラン。一応、ドレスコードがある店なんだが…」
夜景の見える少しお高めのレストランだ。
昔、綾辻と桜院が雑誌を見ながら話していたのを覚えていたので、頑張ってみた。喜んでくれるといいんだが…
ちなみにドレスコードがあるので、俺を含め、衣装チェンジだ。レストランの近くのブティックで揃える予定だ。支払いに関しては、あとで俺に一括で請求がくるので心配ない。
「服を買いに行く、ということですの?」
「…お金が…」
「私がお支払いしますわ。」
「僕が似合うの選ぶよ。」
「いや俺が選ぶ。」
「…リア、選びっこ。」
「もちろんですわ。むぅは、私が完璧にコーデして差し上げます!」
ここでスマートに綾辻を俺好みにコーディネートするつもりだったのに、梨亜を演じる樹果とお互いをコーディネートしたいと彼女が言った。
ーまぁ仕方ない。
ー樹果はセンス良いからな。俺と好みは違うが。
そうして綾辻が身につけてきたのは、胸に青い花とリボンをあしらった白いワンピースに水色のカチューシャ。対して樹果は、黒のドレス。頭には紫の花飾り、足元にはブーツ。
対照的だが、どちらもとても似合っていた。
「選択は無難ですかしら…」
「僕もお相伴に与りたいな!」
「は?お前の分なんか予約してる訳ないだろう。3人分だ。」
「佐藤!私も頭数に入っておりますの!?」
「桜院、昼間予約を修正しといたんだ。お前も入ってるよ。」
俺は昼間の遊園地で、俺と樹果を数に入れていなかった小鳥遊に、綾辻があまりいい顔をしなかったことを考慮して予約を少し調整していたのだが、良かった。
予想外に高評価なようだ。
「…気が利く…優しい、ね。」
「おー惚れろ惚れろ。」
打算的に動いた俺を優しいと評する純粋な彼女に、ほんの少し罪悪感を感じつつも、ほくそ笑む内心を抑えて茶化した調子で返した。
大きなガラス窓から街を一望できる展望台から夜景を見ながらディナーを食べるプランだ。
「わ…すご…」
綾辻も夜景に見惚れて感嘆の声を漏らしている。
ー綾辻のほうが綺麗だ、なんて照れてしまって言えるわけがないが。
「あら綺麗な夜景ですわね。」
2人がなかなか窓から離れないので、メインである料理のほうに意識が向くよう促す。
「夜景にばっか見惚れてないで、料理も楽しめよ。そう言えば、料理だけじゃなくてな。ワインも有名なんだ、この店。」
「ん…これ、美味し。」
心なしか、綾辻の表情が緩んでいる気がする。
ー美味しいものは人を幸せにするって言葉、案外的を射ているよな。
「むぅ、飲み過ぎてはいけませんわよ?」
「…わかってる。」
酒に強くない綾辻に樹果が注意するが、答える彼女はもう既にだいぶ酔っているようだった。
綾辻が酔いつぶれたのは、その後すぐのことだ。
彼女がダウンした後も俺と樹果の会話が続いた。
「綾辻は酒弱そうだもんな。」
「弱そう、ではなく、弱いのです。ワインやビール一杯で酔うくらいには。」
「相当だな!」
「問題ありませんわ。この下のホテルに宿泊予定ですもの。むぅが潰れることは目に見えてましたので、予約しておきました。」
「…随分と手際の宜しいことで。桜院、いや、桜院樹果。何を企んでいる?姉に送り込まれただけだと思っていたが…」
ー万が一、綾辻に害が及ぶならば必ず阻止してやる。
ー樹果はノリが軽いからな…
「あは。やっぱバレてたか。先輩鋭いや。そっくりだって定評あるのに。それに、女装もめっちゃがんばったのになぁ。」
「ある程度交流があって気づかないほうがおかしいだろう。」
かく言う俺も、樹果と親しくしていた過去があってようやく、桜院姉との違いに気づいたくらいだ。樹果の存在を知らない綾辻は、入れ替わりに思い至りもしないだろう。
「え〜。むぅは疑いもしてないけどな〜。オレが姉様と入れ替わるの、初めてじゃないし。」
「鈍感だからな、コイツは。」
「カミングアウトしちゃ、ダメかな?そろそろ、良心の呵責がヤバいトコまで来てるんだよね…」
「あー…お前、下心見え見えなのに。コイツ今日、警戒もせず、姉の方だと思って、お前にべったりだもんなぁ…」
「むぅは素直過ぎ、だよねぇ。カミングアウトしても、むぅなら許してくれるんだろうけど…」
そう零した樹果の声音にいつもの軽いノリはなく、追い詰められている様子がありありと感じ取れた。
随分と参っているようで、今にもカミングアウトしてしまいそうな切羽詰まった雰囲気だった。
近い未来に恋敵がもう1人増える、限りなく確信に近い予感がした。
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1年後―
「さぁ、どちらの殿方を選ぶんですの?むぅ。」
「僕を幸せにして?」
「俺の隣で笑っていてくれ。」
「…決める前に、候補を増やしてもよろしくて?」
「私の弟、樹果がもう1つの選択肢ですわ。」
「オレを選ぶよね?夢月。懺悔したオレを許して、期待させたのは、夢月なんだから。ちゃんと責任、取って?」
俺を選べよ。
綾辻は俺の心を掴んで離してくれないんだ。
俺の側にいてくれ。
俺は、君の笑顔のためなら何だって出来るから…
だから…
俺を選べ、夢月。
読んでくれてありがとうございますにゃ(*ΦωΦ)
次はヒーロー②、某イケメンサッカー選手さんのお話になる、予定です…
いつになるかは分かりませんが、読んで頂けたら作者が狂喜乱舞します(笑)
感想とか評価とか、悪い点の指摘とかでもいいのでくれる優しい読者様いらっしゃったらいいにゃぁ…