誰を選んだらいいの?
始めましてなのニャ
にゃんたですニャ(=^ェ^=)
初投稿ですので、感想・指摘等はお手柔らかにお願いしますニャ。
だいたい5話くらいで終わらせたいニャ。
※前書き・後書きで出てくる語尾は作者のキャラ作りです。くどいと思われる方もいらっしゃるとは思いますが、ご自愛くださいm(_ _)m
私の名前は綾辻夢月。25歳。
顔はぶっちゃけ超美人。
どのくらいかって言うと、同僚に「私って普通のOLだよね?」と尋ねると「なにそれ嫌味!?当て付け!?」って怒鳴られるくらい。
…え?例えがわかりにくい?
言い換えるなら、街を歩けば10人中10人が必ず振り返って見惚れるくらい、かな。
私は、つい最近まで「彼氏いない歴=年齢」だった。
ずっと通っていた女子高でのガールズトークが災いして、理想ばっかり高くなったせいだと思う。
そんな私も、最近同僚の結婚話を聞いて、そろそろ恋人の一人も出来ていいんじゃないかなって思い始めたんだ。
そんな矢先に…
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和風お嬢様な親友「桜院梨亜」に誘われて行った、サッカー観戦。VIP席だったから、プレイが良く見えて思いの外楽しかった…じゃなくて!
試合が終わったあと、帰ろうとしたら、スタジアムの選手用出口の前に人混みがあった。なんだろう?とは思ったけど、電車に間に合わなくなりそうだったので、私は足を止めなかった。
すると後ろから声が響いた。
「っ!君…!」
振り向いたリアが騒ぎ始める。
「まぁ!あの方、容姿端麗と話題の小鳥遊選手ではありませんか!むぅのことを呼んでいらっしゃるのかしら?」
むぅとは私のことだ。
私が呼ばれた?
「?」
声の方を向くと、そこには私の好みにドンピシャな顔があった。
自然な茶髪にくっきり二重の切れ長な目。通った鼻筋に形のいい唇、肌理の細かい白磁の肌。
その顔についた口が動く。
「君に惚れたんだ。僕と付き合ってほしいな。」
顔は好みなんだけどな…
とりあえず、断ろう。周りの女の子たち、ファンみたいだし…どうせ告白してくれるなら、時と場所を考えてほしいよ。
「お断り…」
私は、そのまま会釈して立ち去ろうとする、が…
「待って!遠慮しなくていいんだよ?」
何を勘違いしたのか、腕を掴んでくる相手。強引で不躾な、私の嫌いなタイプ。はっきり断ったのに。
「しつこいですわ!むぅは断りましたの。アナタはフラれたのですわ、おわかり?」
「そう…私、断った…」
「この僕の告白を即断するなんて…ますます気に入ったよ。追いかけていいよね?必ず、振り向かせてみせる。」
小鳥遊さんは、見目はいいんだけど、性格に難がありそうな人だなぁと思った。
この時は、追いかける、なんて言ってたけど、冗談の類いだと思ってた。まさか本当に実行するとは…
最近は誰に聞いたのか、メールや電話も来る。応えてはないけど。
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卒業から10年も経って、初めて参加した中学校の同窓会では…会場に着くと、そこかしこから…
「綾辻さんが来た!」
「むぅ!久し振り!」
「綾辻さんは、相変わらず美人ねぇ。」
「綾辻、今恋人は?」
などの声が響いた。
「いないけど…?」
答えると同時に
「マジで?フリー!?」
と男子から雄叫びがあがった。
旧友たちとの再会と談話を楽しみ、解散ムードになり始めた頃。
ひとりトイレに席を立った私は、ホールを出たところで呼び止められた。
呼び止めたのは、佐藤秀くん。
地味顔だけど優しくて、兄貴肌な彼は、学年1位の秀才だった。男の子では、当時一番仲が良かった。
「あ、綾辻!」
「…佐藤くん。」
「…」
「?…どうしたの?」
「っは、話があるんだ。」
「ん…聞くよ?」
「…す、」
「す?」
「…す…だ。」
佐藤くんが何か言うのと同時に電車の音がして、佐藤くんの言葉は半分くらいしか聞き取れなかった。
「ごめん、もう1回。」
「…好きだ!中学の時から。」
「…………え?…ぁ…」
理解した途端、顔に熱が集まる。
思わず俯いた。
私の心臓は、好き勝手に大暴れし始める。
「俺と付き合ってくれ。別に、今すぐ返事をしろ、とか言いたいわけじゃない。」
「…」
「とりあえず今日は、連絡先を聞きたいんだ。」
気恥ずかしさを我慢して、なんとかバッグからスマホを出して、連絡先を交換した。
「綾辻には、もっと俺を知ってから決断してほしい。」
「まだ今は、友達…?」
「だな。じゃあ、また。」
正直、胸の中ではまだ心臓が暴れていた。それでも、なんとか平静を装えていたと思う。
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立て続けに、そんなことがあって。
最近の私は混乱している。好きな人がいる訳ではないけれど、恋人は欲しいし、もちろん好きな人と付き合いたい訳で。
でも今のような迫られている状況では、きちんと返事をしなければいけないし…
どうしたらいいんだろうか?
「…どうするべき?」
「むぅ、あまり悩みすぎないことですわ。いっそお二人と、同時に同じ場所でデートをしてみたらどうですの?違いがハッキリするのではないかしら?」
「!…そんな手が…!」
候補の二人とデートなんて、思いつかなかった。
確かに1日一緒に過ごせば本性が見えるだろうし、かと言って二人きりは、なんだか怖い。だから男の人が2人いることだし、リアも誘っちゃおう!
「リアも…来て?」
「っ…か、かわ、可愛いですわっ!!ご一緒いたします!」
彼女が一緒なら、大抵のことは怖くない。お嬢様だけど世間知らずじゃないし、言いたいことはハッキリと言うサバサバした性格だからだ。
日曜日、二人を家の近くの公園に呼び出した。デートプランは考えて来て、と伝えた。小鳥遊さんは昼間、佐藤くんは夜だ。
「綾辻、どうした?デートプランを考えて来いなんて…お前らしくない。」
「佐藤!?貴方だったのですか!同窓会で、むぅに告白したと言う猛者は!」
「桜院?何故ここに…?しかも何故そんな…護衛兼監視役ってわけか…」
「…突然でごめん。リアにはそばにいてほしくて…」
リアは、私のお願いを聞き入れて、一緒に居てくれるらしい。風邪だそうで、少し声が掠れているけど来てくれた。
「まぁ、いいけど…」
「僕も居るんだけどなぁ?…君たち、知り合いなのかい?」
「もちろん。」
「…当たり前。」
「寧ろ、それ以外に見えます?こんなに仲良しなんですのよ。」
「仲が良い、のか…?……まぁ、それはそうと。君から誘いがあるなんて、驚いたよ。僕とデートする気になってくれたんだね。」
「…自意識過剰。」
「じゃあ、なんで呼び出したんだい?デートプランを考えて来い、との指命付でさ。」
「貴方たち二人の本性を探り見極める為ですわ!」
「要は、僕らがテストされるってことか…」
「平気か?仲良くもないヤツとデートなんて。」
「…気合い…リアいるし。」
「そうです!むぅは、私が守りますわ。」
「そうか…桜院、絶対な。」
「はっ!もちろん。当たり前じゃなくって?」
「だから、僕を、忘れないでほしいなぁ…」
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「さてさて。僕のデートプランは…遊園地です!」
「…安易ですわね。」
「そこ!聞こえてるからね⁈」
「…楽しみ。なかなか行かないから。」
「むぅがそう言うなら。」
「チケットは2枚買ってあるから、君にはこれを。さぁ、入ろう?」
「俺たちのは?」
「え?無いけど?二人は自分でチケットを買うんだな。嫌なら、外で待っていたらどうだい?」
なんか、嫌な言い方。リアを仲間ハズレにするなんて、やっぱり性格悪い…?
「ほら、チケットを買いに行きますわよ、佐藤。なんなら、私が2枚買いますけれど。」
そんなことより…早く遊びたいな。
私はこういったレジャー施設には、なかなか来ることが無くて新鮮に感じる。
ワクワクしちゃうな。
「いや。自分の分は買う。」
「…行こ。」
始めはメリーゴーランド。
ちょっと子供っぽいけど…乗ってみたかったんだ!
「…馬と馬車どっちにしよう?」
「私と一緒に、馬車に乗りませんこと?」
「…馬にする。ごめんね?」
折角の親友からの誘いを断るのが忍びなく、上目遣いに見やれば、すぐ許される。
「可愛いから良しとしますわ。」
メリーゴーランドに乗るのは女性陣だけ。
早速乗ってみる。
意外に快適で、幻想的な雰囲気に思わず頬が緩んだ。
「「「わ、笑った…!」」」
定番のお化け屋敷。
2人一組で中に入る。
まずは、私と小鳥遊さん。
「きゃっ!」
完成度の高い脅かしに、私は飛び上がって、思わずギュッと彼の腕にしがみついてしまった。
隣を見ると、小鳥遊さんが顔を少し赤くして固まってた。小鳥遊さんも怖かったのかな?
後ろからは、リアと佐藤くんの声がする。
「ひぃ!私に近寄らないでくださいましっ!寄るな触るな、ですわー!」
「お、ゾンビ。…こっちはドラキュラか。それに、貞子?もいる!小さいお化け屋敷なのに、種類豊富だな〜。」
リアの悲鳴が、なんだかわざとらしいような?
佐藤くん落ち着き過ぎだよ…
なんだかんだ面白かった。
次はジェットコースター。
左から、リア→私→小鳥遊さん→佐藤くんの順で四人乗りの列の席に着いた。
「「きゃー!」」
「うわー!」
「っ!」
リアと手を取り合う。佐藤くん達もそれぞれに叫んで、楽しんでるみたい。
色んな乗り物に乗って、最後は観覧車。ゴンドラは四人乗りだけど小鳥遊さんと二人で乗った。
乗ったそばから、小鳥遊さんの独白が始まる。
「僕は、今まで沢山の女性と軽い気持ちで関係を持ち、信用に値しない行為を繰り返してきた。でも君を好きなこの気持ちに、嘘は欠片も無いんだ。それは、信じてほしい。今日ついてきたあの男、彼も君に迫っているんでしょう?僕を、選んで。誠心誠意、君を幸せにすると誓うよ。君は、僕を幸せにしてくれないかな…?」
今までになく真摯な声音で言うから、内心かなり動揺して、上手く言葉を紡げなかった。心臓が口から飛び出てきそうだった。
「…ぁ…」
「君を、愛してる。」
「…は、ぃ…」
「僕のこと、好き?」
「………嫌い……じゃ、ない。」
「嫌われてはないんだね。良かったよ!」
ネットで話題だと言う観覧車からの景色は、当然見逃すこととなった。
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夜は佐藤くんのターン。
「俺は、展望台とレストラン。一応、ドレスコードがある店なんだが…」
「服を買いに行く、ということですの?」
「…お金が…」
「私がお支払いしますわ。」
「僕が似合うの選ぶよ。」
「いや俺が選ぶ。」
「…リア、選びっこ。」
「もちろんですわ。むぅは、私が完璧にコーデして差し上げます!」
こうして選んだ服は…
私が胸元に青い花とリボンをあしらった白いAラインワンピースで水色のカチューシャとパンプス。リアには、黒いエンパイアラインのがドレスを。頭は紫の花飾り、足元にはレースアップピンヒールブーツ。
「選択は無難ですかしら…」
「僕もお相伴に与りたいな!」
「は?お前の分なんか予約してる訳ないだろう。3人分だ。」
「佐藤!私も頭数に入っておりますの!?」
「桜院、昼間予約を修正しといたんだ。お前も入ってるよ。」
「…気が利く…優しい、ね。」
「おー惚れろ惚れろ。」
大きなガラス窓から街を一望できる展望台から夜景を見ながらディナーを食べるプランだった。
「わ…すご…」
「あら綺麗な夜景ですわね。」
ビル群の明かりも綺麗だったけど、道路の車のライトが燦然と輝く様子が印象的だった。
「夜景にばっか見惚れてないで、料理も楽しめよ。そう言えば、料理だけじゃなくてな。ワインも有名なんだ、この店。」
「ん…これ、美味し。」
「むぅ、飲み過ぎてはいけませんわよ?」
「…わかってる。」
別に、そんなお酒弱くないもん。
リアの注意を受けた時、私はもう既に判断力が鈍っていたようで。その注意の後の会話で佐藤くん達が何を喋っていたのか、全く知らない。
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「綾辻は酒弱そうだもんな。」
「弱そう、ではなく、弱いのです。ワインやビール一杯で酔うくらいには。」
「相当だな!」
「問題ありませんわ。この下のホテルに宿泊予定ですもの。むぅが潰れることは目に見えてましたので、予約しておきました。」
「…随分と手際の宜しいことで。桜院、いや、桜院樹果。何を企んでいる?姉に送り込まれただけだと思っていたが…」
「あは。やっぱバレてたか。先輩鋭いや。そっくりだって定評あるのに。それに、女装もめっちゃがんばったのになぁ。」
「ある程度交流があって気づかないほうがおかしいだろう。」
「え〜。むぅは疑いもしてないけどな〜。オレが姉様と入れ替わるの、初めてじゃないし。」
「鈍感だからな、コイツは。」
「カミングアウトしちゃ、ダメかな?そろそろ、良心の呵責がヤバいトコまで来てるんだよね…」
「あー…お前、下心見え見えなのに。コイツ今日、警戒もせず、姉の方だと思って、お前にべったりだもんなぁ…」
「むぅは素直過ぎ、だよねぇ。カミングアウトしても、むぅなら許してくれるんだろうけど…」
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「ん…」
「起きた?」
「おみず…」
「はいよ。溢さないでね。」
「リア…一緒にいて。」
「ここにいる。」
酔っ払って朦朧とした意識の中で、親友に側にいてほしいと言ったらいつもの口調じゃない声が答えた。
でも、深く考える前に眠りの波が私を連れていった。
「夢月…オレが君を守るよ。必ず、オレが君を幸せにする。君は素直なままでいて。…そして、どうか。今までのことを懺悔するオレを許したりしないでね…夢、見ちゃうから。」
眠りの海に溺れながら、ひどく思い詰めた声を聞いた気がした。
佐藤くん気配り上手だったな。小鳥遊さんも真剣に告白してくれた…
私…決められないよ…
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1年後―
「さぁ、どちらの殿方を選ぶんですの?むぅ。」
「僕を幸せにして?」
「俺の隣で笑っていてくれ。」
「…決める前に、候補を増やしてもよろしくて?」
「私の弟、樹果がもう1つの選択肢ですわ。」
「オレを選ぶよね?夢月。懺悔したオレを許して、期待させたのは、夢月なんだから。ちゃんと責任、取って?」
私…
どうしたらいいの!?
あと3、4キャラ分書きたいニャー。