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13・加速

 おっ。

 どうやらレベルも上がったらしい。


「今日中にレベル5にしたいところだが……」


 そんなことを呟き、迷宮内の探索を続けていく。


「何だ? あの階段は」


 そうしていると、迷宮内で下に続く階段を見つけることが出来た。

 そういえばアリサさんは迷宮は三十階層で構成されている、と言っていたな。

 下に行けば行く程、モンスターも強くなる、と。


 折角、レベル4になったんだ。

 これも良い機会かもしれない。


「二階層に進んでみるか」


 勇気を出して、階段を降りて二階層へと移動した。



 迷宮の二階は一階とさほど変わらない場所であった。

 警戒しながら奥へと進んでいくと、スライムとコボルトが一体ずつ現れた。


 どちらのモンスターのレベルも4のようである。

 レベル1が中心だった一階層と比べて、格段にレベルが上がっていく。


「まあスライムとコボルトだから大丈夫だろ」


 その考えが間違いであったことを、戦闘が開始してすぐに思い知らされた。

 まずスライムとコボルトの動きが鋭くなっている。


「ちっ……」


 しかも二体ということもありコボルトに気を遣われている間に、スライムの体当たりが直撃してしまう。

 電気ショックのような刺激が走る。


「くっはぁ」


 体をくの字にしてしまう。

 どうやらモンスターもレベルが上がるたびに攻撃力や素早さが上がっているようである。


「くっ!」


 痛みを堪えて剣を構え直し、スライムと正対する。

 ……今だ!

 スライムが一直線に体当たりをしてくるので、それを迎え撃つ形で剣を振るう。

 するとスライムは両断され、スライムの元を地面へと落としてくれた。


 だが喜んでいる暇はない。

 コボルトへと振り返り、攻撃を刀身で受け止める。

 コボルトは棍棒を持っていて、それを振り回して攻撃してくるのである。

 素早さ値が高い俺にとっては雑な動きにしか見えず、見切ることも簡単であった。


 冷静さを取り戻した俺はコボルトの動きを見極めながら、攻撃を繰り返した。

 四発目の攻撃が当たったところだろうか。

 コボルトも何とか撃破し、『コボルトの棍棒』というアイテムを手に入れることが出来る。

 ちなみにこの棍棒。武器なのではあるが、装備しても攻撃力が1しかUPせずこれではウロボロスを装備したままの方がマシであった。


 それからレベル4〜6のモンスターを倒しながら、迷宮内を歩き回っていく。

 モンスターのレベルも上がったことにより、緊張感は増していると言えるだろう。


 しかしそれ以上に——戦いに慣れてきたからだろうか。

 それとも素早さ値が高いため戦いに余裕が生まれている?

 最悪【とんずら】を使って逃げればいい、そのような慢心もあるのだろう。

 二時間もモンスターを狩っていると、モンスターを狩るのも流れ作業のように感じていく。


『カケルのレベルが5に上がった』

『カケルはスキル【加速アクセルⅠ】を習得した』


 どうやらレベルも5に上がったようである。

 しかし気になるのは【加速アクセルⅠ】というスキル……。


「ステータスオープン」


 早速、スキルの効果を確認してみる。


『(技)【加速アクセルⅠ】

 持続時間:10秒 消費体力5% 素早さ上昇値50%』


 おお!

 どうやらこれを使えばただでさえ高い素早さ値がさらに上がるというのか。

 確認している間にレベル5のマッドネスウルフに遭遇した。


「ぐるるる」


 唸りながら、赤い瞳をこちらに向けるマッドネスウルフ。

 早速、【加速アクセルⅠ】を使ってみよう。


「——【加速アクセルⅠ(アクセルワン)】」


 すると足元から青色の光が発せられる。

 いきなり体が軽くなった。


 マッドネスウルフが迫ってくる。

 ……遅っ! マッドネスウルフってこんなに遅かったのか?


 牙を向け迫り来るマッドネスウルフ。

 俺は敢えてマッドネスウルフの牙がこちらに届くギリギリのタイミングまで待ち、回避するために横に移動してみる。


 回避成功。

 俺のあまりに素早い動きにターゲットを見失ってしまったのだろうか。マッドネスウルフがキョロキョロと顔を動かしている。

 疾風の如く、俺はマッドネスウルフへと接近。

 剣を放ち……一閃、二閃、三閃……目にも止まらぬ早業で連続攻撃。


 持続時間の十秒が丁度経過した時であった。

 マッドネスウルフが地面に横になり、やがて消滅し『ウルフの牙』というアイテムを落としてくれる。


「うん……このスキル。使い勝手がいいな」


 何せ素早さ50%上昇の効果があるのだ。

 ステータスを開いてみると、一発も攻撃をくらっていないのにHPが微妙に減少している。

 消費体力5%の分だろう。

 体力が消費するデメリットはあるものの、それは微々たるものでこれだけ速く動くことが出来たら上出来だ。


「レベル上げの効率も上がりそうだな」


 その後、【加速アクセルⅠ】【とんずら】のスキルを上手い具合に使いこなしながらレベル上げを続行していった。

 たまに強いモンスターも出てくるが【加速アクセルⅠ】を使えば、何とか倒すことも出来た。

 HPを減らしてもポーションを飲めば回復してくれるしな。


『カケルのレベルが7に上がった』


 メッセージが浮かんでくる。

 丁度、キリも良いだろう。

 予め見つけておいた地下迷宮二階層のポータルを使い、シーフギルドへと帰還した。


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