私が生まれた日
パーティーは事なきを終え俺達使用人は会場の片付けなどを行ってから自室へと各々戻っていった。
途中、カルナスさんから初等学校への編入の話などを伝えられた。俺達3人も紗凪と同じくユテリア初等学校に通うことが決まったそうだ。まぁ護衛の身なので当たり前といえば当たり前なのだが…
「はぁー」
「何かありましたか?」
茶色の瞳を楽し気に細めながらカルマが横を歩く。
「いや、今日のパーティーも別段問題なくてよかったなと」
「その割には溜息でしたよ?さっきのは」
「それは―」
「それは自分だけ紗凪にプレゼントを渡せてないからでしょう」
俺達の反対方向からやってきたアイリスはカルマの反対側を歩く。
「誰のせいだと思ってるんだよ」
「それは」
「もちろん」
「「僕(私)のせいかな!」」
楽し気な両サイドに呆れ半分諦め半分でもう一度溜息を吐き出す。
本気で最近こいつら俺をいじるタイミングというかコンビネーションというか‥‥こっちが疲れるぐらいには息が合っている。
ことの発端は先ほどの誕生日パーティー
3人でお祝いの言葉を述べアイリス、カルマ、俺の順でプレゼントを渡そうということになった。(くじ引きで)順調に渡していく中でまさか俺が渡そうとしたところで国王陛下が紗凪を呼び出し初等学校のプレゼントをした。まだここまでは許せる。だってこれはタイミングの問題だから。陛下に文句を言える度胸は俺にはない。
しかし問題はここからだ。
俺は陛下からのプレゼントを紗凪が受け取ったのを見計らって紗凪にプレゼントを渡そうとしたのにことごとく「シャロ~こっちに来て手伝いなさい」や「シャロ、執事長がお呼びですよ」や「シャロ向こうにシラベラさんの作ったケーキがあるからいただきましょう」等様々な声掛けにより2人によって阻まれ続けたのだ。
気が付けばパーティーはお開き。自分だけ渡せないことに何とも言えない感情が胸の中に渦巻くのも無理はないだろう。
「お前らさ~俺になんか申し訳ないとか思わないの?」
ジト目で2人を交互に見れば何のことやらと言わんばかりの顔をされる。
もうやだ。こいつら
「まあまあシャロだけいろんな意味で特別感満載になるんだからいいじゃない」
「何がだよ」
「さて、明日も忙しいでっすから私はここで」
カルマがスッと自分の部屋の前で一礼する。俺に対する謝罪はないらしい。…。
「じゃ、私もここで失礼するわね。お休み2人とも」
「「おやすみ」なさい」
アイリスも自室に入り俺も自室へと足を動かす。
部屋に入ってドアに背を預けながら胸ポケットに入っているそれをそっと触る。
正直なところパーティー中に渡すことが出来なかったことに安堵している自分もいた。周りの人は紗凪を想ってそれぞれ用意していて、それらは紗凪にとってはかけがえのないものだ。そこにあのペンダントを渡してもいいものなのかずっと分からないでいる。
ウレーナ様と妖が映った写真。それは分かる人にしか分からないもの。だからこそあの場で渡すのは気が引けた。分かってしまえばそれは紗凪の立場をまた元に戻してしまうんじゃないかって考えてしまう。だからこそあの場で渡せなかったことに安堵しているのだ。
ようやく変わったものを自分のせいでまた変えてしまうのは嫌だった。
でも、、
「今日中には渡したいんだけどな」
今日はパーティー前まで執務室に張り付け状態でそのあと初のパーティーだった紗凪の疲労はなかなかのものだと思う。ただ妖達もプレゼントを渡すとなるなら今この時間しかないわけで…そこに割って入るのも気が引ける。いったいどうしたものか。
悩んでもきりがないのでいったん風呂に入って出てから考えよう。そうしよう。
スーツの上着をハンガーで吊るしながらラッピングの施されたプレゼントを静かに机の上に置く。これを受け取った彼女は一体どんな表情を見せるのかと楽しみと不安に駆られる。なのになぜか鼓動は高鳴るのだった。
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シャロはいじられキャラが定着してきた今日この頃です




