君が生まれた日
いつもお読みくださりありがとうございます
今日は一度も紗凪に会っていない。
なんやかんや言って毎日顔を合わせているのだからすごく違和感がある。なんというか‥‥落ち着かないのだ。心がずっとそわそわしている。
「そんなに緊張しますか?」
「…緊張ってか心配はしてる」
カルマの言葉に他人から見てもモロバレなこの状態ではいけないと思い数度咳をして気持ちを入れ替える。
別に今更紗凪が逃げ出したとかそんなことをするとは思わない。ただ毛玉たちは違う。
今日はおとなしくしておいてもらうべく捕まえようとしたのだが一向に姿を見せなかった。アイリスやカルマも見ていないという。いつもはうるさいくらいに見かけるしついてくるというのに
どこかでよからぬことをしでかさないかひやひやものである。
「紗凪様ならアイリスがついてますし今日はきっといい日になるんじゃないでしょうか?」
「そりゃこんだけ準備したんだから驚いてくれたりしなきゃ割に合わないんだけどな~」
でも…これを紗凪が素直に受け取れるかは別の問題だと思う。今までのことを考えれば‥‥
パ~パッパ~
ラッパが鳴り響きパーティーホールにいるものが皆扉に視線を向ける。
このラッパ音は王族の入場合図。そして今このホール内には国王陛下とお妃様はすでに居る。となればこの合図は紗凪の入場の知らせである。
「紗凪・ローズタスト第一王女様のご入場!!」
大きな扉がゆっくりと開く。
開け放たれた扉の前で淑女の礼をとった紗凪は身体を起こすとゆっくりと歩いてくる。
凛とのびた背筋は紗凪に堂々とした印象を与え、水色のドレスは少し大人っぽさも醸し出しつつ年齢に合った色合いだった。裾に施された薔薇の刺繍はシャンデリアの光を受けてキラキラと浮き上がり王族にふさわしい刺繍だ。きっと近々城下でも人気なデザインとなること間違いなしだ。
編み込んでまとめられた髪にはワンポイントで小さな薔薇のヘアピンがつけられていた。
「・・・・」
少し前までの心配はどこかに吹き飛び、さっきとは違った緊張が走る。
緊張?というよりはそわそわした感じに近い。
握った手に汗をかいたのが分かる。
息をのむとはこういうことを言うのだろう。誰一人何も発することなくただ紗凪にくぎ付け状態である。
このパーティーは紗凪にとって初めての大勢の前に出るものであったにもかかわらず、パーティーホールの視線をものともしない表情で紗凪は気高くも無邪気に笑った。
それを見た周りの気なんて知らないだろうけど・・・
まったくもって僕らの主は困ったお姫様だ。
ドキドキはどこからくるものなのか…




