表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薔薇の国の妖姫の秘め事  作者: 結汝
紗凪 9歳 ~始まりの一歩~
56/67

君が生まれた日

更新遅れてすみません。今日は短めです

いつだったか。胸元に飛び込んできてぎゅっと抱き着く紗凪の頭をそっと撫でる。

昔にもこんなことがあった。泣きそうな嬉しそうなそれでいてどこか困ったような顔をしたこの子は前もこんな風に私に抱き着いた。そして頭を撫でていると薄いピンクの髪を手で押さえつけながら彼女は嬉しそうに笑った。何がそんなに嬉しいのかは分からなかったが彼女は自身の娘と私の様子を心から嬉しそうに見つめていた。

ふと目を開ければ紗凪がこちらを見上げて笑っていた。

彼女によく似た顔で。


「いつもありがとう。雛葉」

「かまわないさ。そろそろ行かなくてはいけないだろう?」


紗凪はコクリと頷くと身体をそっと離す。遠ざかる温もりを名残惜しく感じながらももう一度頭を撫でてやる。

そこにはもう先ほどとは違った表情をした一国の姫がいた。


「楽しんできなさい」

「うん!」


パッと花咲くように笑った彼女は扉へと身体を向け背筋を伸ばして歩いていく。

その背中には想像にできないほどの責任が既に課されているのだ。それをいったい誰が望むのだろうか。

そして—


扉が閉まる刹那に見えたあの子の表情は複雑な気持ちに揺れていた。

ほんの一瞬。そのわずかな表情であの子を見ている者には気づくのに難しくない。それでもきっと…

気づく者はいないのではないだろうか


窓から見える城下の景色を見ながらため息を吐き出す。


もし私が本当にあの子の母親ならば‥‥そんな考えが頭に過るのだった。



紗凪の心情は複雑ですね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ