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薔薇の国の妖姫の秘め事  作者: 結汝
出会い その気持ちは芽生え始め
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始まりの音は鳴り響く3

いやはや、およそ半年投稿をサボりしまして申し訳ありません。

12月にはもう1話投稿できたらな~って思っています。

本当に長らくお待たせして申し訳ありませんでした。

本作品に罪はありません!ので読んで頂けると嬉しいです。

カルナスさんから説明され、僕らはそれぞれの部屋に入った。

お嬢様から一番近い部屋が僕、僕の向いがアイリス、左隣りがカルマの部屋、アイリスの隣の小さな空き部屋が僕らの会議及び情報交換室となった。


「君たちには明日からお嬢様の側付きと各自の修行についてもらう。

なお、お嬢様の側付きは三交代制にするから順番を決めて欲しい。」


カルナスさんはそれだけ言うと仕事に戻っていった。

そして今・・・会議室にて、


「さて、どういった順番に行きましょうか?」

「アイリスさんは唯一の女の子だからたぶん真ん中になった方がよろしいのではないですかね。」

「確かに・・・。あのヤンチャお姫様なら夜は大変そうだしね。

あー、あとアイリスでいいわ。

変にさん付けされても困る。今後のチームなんだから。」


カルマが少し頭を下げる。

後の順番は僕とカルマどちらが先攻・後攻を決めるだけ。

なのだが、やはりさっきお嬢様の部屋を出た時の違和感が頭から離れない。


「・・・・あの。」


小さく息を吸い息を吐く。


「2人共普通じゃないよな?」


・・・ピクッ。カルマの指が反応する。

どうやら間違いはないらしい。アイリスは困った風に薄茶色の垂れた髪を耳にかける。


「一応聞いておくわ。それはどういう意味でかしら?」

「本来なら見えないものが見えるという意味でですかね。」


落ち着きを払いながら慎重に言葉を選ぶ。


「はじめにおかしいと感じたのはお嬢様の部屋扉を開けたとき、カルナスさんはただ避けたというよりもあの2匹の式神・楼狼と楼雅の方が避ける形で出てきた。

僕もカルマもアレが攻撃してきたとき異様に落ち着いて回避した。

アイリスについては手刀で式を戻してしまった。普通の人間にはなしえない行動だよ。

・・どちらもね・・・。」


少しだけ自嘲気味なそれでいて困った様に笑ってみせる。


「ちなみに僕は異常な人間だよ。」


アイリスがそれを聞くと妙に納得した表情で頷いた。


「えぇ。私も異常というなら異常よ。でも普通といえば普通なの。」

「?」


アイリスの話しの内容がいまいちわからずに小首を傾げる。


「カルマはどうなの?」


カルマは感情を一切表に出さず話を聞いていた。

そして今も感情を出さずに目を伏せ、口を開く。

まるで、自分を悟られないようにするかのように・・・・


「僕は異常なのでしょう。普通とは言えません。

確かにシャーロットのいうとおり式神の攻撃にはある程度の経験的なものがありましたので回避できました。

僕・・は、普通なら見えない物の気配が感じれます。殺気に似た妖気というものでしょうか?曖昧ですが人ならざるものの場所や妖気の方向ぐらいならなんとか分かるレベルです。」


話し終わると「重たくてすみません。」と付け加え、真っ直ぐな瞳で僕らを見据えた。


「私は」


隣にいるアイリスは眉をハの字にしながら申し訳なさそうに語り始める。


「私は申し訳ないけれど、人ならざるものを見たり感じたりできないの。その点は至って普通よ。

だけど普通の人にも見えるぐらいの化物に対しては対応出来るように教育を受けているの。

例えば今日の式神や結界、護符の使用製作とかなら出来る。ただそれだけよ。」


結ばれた髪が後で揺れながら彼女の話は終を告げる。


「なら、なぜシャーロットの話を聞いて納得した顔だったのですか?」


カルマの質問に苦笑いを返しながら答える。


「おばあ様・・いえ、メイド長からお嬢様のそば付きになるにあたって少し話を聞いていたの。お嬢様は貴方達と同じで必ず必要とされるって。」

「つまり、紗凪お嬢様を含む僕ら4人は普通でないということで間違えなさそうですね。・・・」


カルマの言葉は思いのほか酷くのしかかってくるものがあった。


「貴方はどうなの?シャーロット。」


急に話を振られて少しワタワタとしてしまう。


「ぼ、僕は・・・」


声が続かない。気道を粘ついたものが覆ってしまったかの様に声がでない。

こんなところで、立ち止まれないのに。

スッと小さく息を吸って全てを吐き出す勢いで話す。


「僕は見えるよ。人ならざるものいや、化物でもなくて妖と呼ばれる奴らが見えるんだ。見える、話せる、触れるのオンパレードだよ。」

「「・・・。」」


沈黙の降臨。


「君は1番僕らの中で異常性が高いってことなんだよね?」

「あ、あぁ。そうなるな。」

「なら、君は見えたの?」


カルマが何を言わんとするかが分かるのに一瞬頭が停まった。


「見えた。でも全部じゃない。」

「待って。お嬢様の部屋には何がいたの?」


一瞬にして長く感じられる間。やはりアイリスにはアレが見えていないんだ。


「・・・およそ100を超える妖がまるでお嬢様を守る見たいにお嬢様を取り囲んでいたんだ。

全ての妖の敵意は僕らに向けられていたけどね。」

「僕には殺気がこちらに向いているのしかわからなかったよ。」


複雑な面持ちのカルマになんと声をかけていいものか悩んでしまう。

でも、これで決まりだ。


「なら僕が朝に付くよ。それでもって今からお嬢様の謎謎を解き明かしてくるよ。」


明るく笑いあえて深く考えさせないようにする。それはこの9年間の人生でもっとも得意とする僕自身の癖の1つ。


「分かった。そうしよう。」


静かに答えたカルマの声は何処か落ち着いたところがあったが気にしない。


「なら、カルナスさんに伝えてくるわ。

伝え次第私達は各自明日の準備をしましょう。

それが終われば明日の予定確認をするように取り付けてくるわ。」


くるりと背を向けスタスタと歩き、扉の外へ長い髪を揺らしながら出て行ったアイリスに続き僕らは互いのなすべきことに取り掛かる。



コンコン。


大きな扉を軽く叩き、開く。

正直また楼狼と楼雅が飛びかかって来るのではないかとヒヤヒヤしたが今回は大丈夫なようだ。

室内に入ると顔に風が打ち付けてくる。


「紗南お嬢様。失礼します。」

「えぇ。失礼されますね。」


クスクスと笑いながら茶化すように返事を返す。白いカーテンのなびく部屋の中心ベッドから足をぶらぶらとしながら真っ直ぐな瞳が互いに交差する。


「要件は何かしら?」


口元を綻ばせる。


「先ほどの謎々の答えを・・・」

「もう分かったの!!凄い!過去最速記録だわ!」


小さな顔が満面の笑みを浮かべベッドをギシギシ音立てる


「で、答えは?」

「妖が100程度お嬢様を守る形でお嬢様を取り囲んでいましたよね。今はもう居ないみたいですが・・・。」

「ふふふ。」


唐突な笑いに一瞬虚を突かれる。

金髪が窓からの風でカーテンとともに靡く。

全てが遠ざかる絵になるような綺麗さが目に焼き付く・・・。


「あははは。正解よ。」


靡く髪を抑えながらお嬢様は嬉しそうにそれでいて何処か悲しそうに目を細める。


「アレは私の友達。そしてこの問題に正解したのは君が初めて。今まで何人も同じ問題を出したけどみんな答えれなかった・・。とりあえず、第一関門・見習い祝い突破おめでとう。」

「ありがとうございます。」


何故だかきっと胸が締め付けられる。どうしてだろう。何かと似ている気が・・・


「さて、」


紗凪お嬢様の言葉で思考が途切れる。


「この問題が解けた君達は普通ではない。

まぁ特殊な人間な訳だけど、今日みたいにアレらが集まることはそうそう無いし貴方達に向けた敵意はあの場限りのものだから安心しなさい。

あ、でも王城内や私の部屋の中にはたまに遊びに来ているモノがいるけど気にしないでちょうだい。」


ギシッとベッドが音たてながら紗凪は立ち上がり肩に乗る髪をはらう。


「私の、私の大切な友達だから。」


幼さに切なさを帯びた瞳が胸に刺さるものがあった。


「今日からよろしくね。」

「はい。」


緊張が背中を走る。

だけどまだ僕らは知らなかった。

首をちょこんと傾け微笑む彼女がどうしてこの問題を出したのか・・出された意味を・・。

ようやく本編突入デスネ~

シャーロットが気づきかけた感情が何なのかは今後で明らかになる?予定です。


次回もよろしくお願いします。

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