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薔薇の国の妖姫の秘め事  作者: 結汝
出会い その気持ちは芽生え始め
31/67

繋がりは強く

いつもお読みくださりありがとうございます。

「な・・・ん・・で・・」


10cm。たった10cm離れた先に白とも水色とも言い難い薄く透き通っていてなのに存在感があって表情が見えない()()はいた。一歩退く


「―っ!!」


喉が激しく渇く。昔から()()()()のような人ならざるものが見えてしまう体質はやはり色々と不幸をよんだ。周りからおかしいと言われ理解されなかったり、ひとりぼっちだったりした。時には向こうからちょっかいを出されることもあったがそれは基本的に見えた・・・つまり目があった・・・時だけであったはずなのに……

どれくらいその場所に立ち止まっていたのかは分からない。ただ冷や汗が背中に伝った瞬間額に衝撃がはしり気づけば尻もちをついていた。


「ぷぎゅー!」


額に当たったのは毛玉だったらしい。おかげで目線が外れ自分が息をしていることを実感する。


「ぶぎゅぶぎゅぶ~!」


もう一匹の毛玉が怒っているのかせかすようにピョンピョン跳ねる。でもまだそれはいる。まるで俺らが顔を上げるのを待っているかのように…


フイッ


それはすぅぅぅと俺から離れていく。


「…た、助かったぁぁぁ」

「ぷぎゅっ!」

「っっだ!」


後頭部に衝撃が走る。毛玉が後頭部にぶつかってきたらしかった。マジ痛い


「わかってるよ、紗凪を探さなきゃいけないのは。でもどうせお前らにはさっきのが見えないんだから怖さなんてわかんねえだろ?」


小さな溜息を洩らしながら気を取り直して花畑を探す。どんな花の花畑か教えてくれれば一発で分かるのに―なんて考えるが教える義理はないというのが本来の妖側の考えなのだろう。カルマがこのことを聞き出せたことですら奇跡に近い

そんなことはわかってはいるのだがやはり思わずにはいられないのだ。

この国の国花はローズタストの名にもある薔薇ではあるが‥薔薇の花畑だけで12種類もあるのだ。最悪なことに薔薇の花畑は俺たちの入った入り口から反対側の出口まで点在している。故に端から端まで探さないといけないかもしれないのだ

悩んでも仕方がないから毛玉たちに一つ頷きまた走り出す。






10分ぐらいだろうか走り回ったがそれらしい花畑はなく途方に暮れる


「なんで見つかんないんだよ!?おかしくないか妖にも分かりにくいってなんだよそれって扉の意味なくね?いや、人間側としてはありがたい?のかもだけどさ~」


ずっと走っていたのとふがいなさとかが溢れて髪をぐしゃぐしゃとかき上げ、汗が滴るのを防ぐ。


紗凪、お前は今どこにいるんだ?

俺は―


らしくない。首を振って思考を追いやる。そして空気を吸い込む。肺いっぱいに。ありったけの酸素を・・・・


「紗ぁぁぁぁ凪ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


誰もいない森林公園に叫び声が響きわたる。もしも俺の声が妖側に聞こえていたとしたら絶対に妖は俺を放ってはいないだろう。なんせ来てはいけない存在なのだから

だからこその博打だ。もし俺の仮説が正しいなら少なからず音がするはず

その音をたどれば可能性はある。

目を閉じ深呼吸をして耳を澄ます。ほんの少しでいいから頼む


…‥‥‥


頼む


…‥‥‥


少しでも—


カサッ


「!」


目を開け、音を逃さないように音の聞こえた方を見やる。

そこには小さな花が舞っていた。青、紫、赤、白、ピンク

色とりどりの花びらが不自然に舞っていた。まるで何かを中心に円を描いているように

気が付けばその花びらを掴みに走っていた。その花びらがわずかな可能性のように思えて手を伸ばす

小さな花弁が躍る足元には満開に咲き誇るアネモネがあった。


ふわり


手の中に一枚の花びらが握られる。風はいつの間にか収まっていた。どうやらここはアネモネの花畑らしい

辺りを見渡せば子の花畑の中心に誰かが立っていた。

長い髪に白いワンピース、、、まるで初めて会った時の紗凪の恰好みたいだった


「紗凪?」


零れた声はあまりに小さくて弱弱しかった


『あの子を守ってあげて』

「えっ?」


突然の声に目を見張る。そこで中心に立っていた人がわずかに透けていることに気づいた。というかついさっき俺たちは出会っていた。



だってその人は俺が怖れていた幽霊(ソレ)なのだから―


でもその人が幽霊ということよりもさっきの言葉のほうが衝撃的だった

『あの子を守ってあげて』そういったのだ。ここでいうあの子はどう考えても紗凪しかありえなくて—


ブワッ


下から巻き上げるような強い風が吹く。いきなりのことで手で顔を覆う。下から巻き上げられた砂が目に入らない様にと

ただその瞬間俺は信じられない者を見た。

巻き上げられた花びらの壁のわずかな隙間に映った俺に伝言を言った幽霊は笑っていたのだ。柔らかく、優しそうな笑みをたたえて。

俺はその笑みを、顔を知っている

幼いころに一度だけ見たことが…‥

風の強さに負けて目を瞑る。たった数秒

その間にそこは花畑であって俺がさっきまでいた森林公園の花畑ではなくなっていた

野生の花が咲くその場所は妖側(あちらがわ)だった


妖も見えて幽霊も見えるってなかなか生活しにくそうだなって考えながら書いてました(笑)

妖も幽霊も一緒じゃないのって思う方がいらっしゃるかもしれませんが、作者は別物としてとらえているので別物としてお話も進みます。


次回更新は11月23日

余力があれば二話更新頑張ります。

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