繋がりは強く
いつもお読みくださりありがとうございます。
「姫様」「姫様」
妖たちは私をそう呼び、嬉しそうに話しかけてくれる。
それが嬉しくないわけないのだが…
何とも言えない違和感が拭えずにいる。
まるで私はここに居てはいけないというような―
だけど私はずっとここに居たのにどうしてそう思うのだろうか?
月が悪戯に見え隠れする。
ブワッと風が髪を靡かせる。
その勢いが強かったから目を閉じる。
プラチナの髪色の男の子
色とりどりの艶やかに咲き誇る薔薇
困ったように笑う茶色の髪色を一つに結った女の子
物静かで紅茶をいれるのが上手い焦げ茶色の髪色の男の子
「えっ?」
頭の中に知らない少年少女が表れる。
知らないはずなのになんでか彼らを知っている気がする。
忘れちゃダメな存在―
私はなにを忘れているの?さっきの映像は忘れちゃダメなのに忘れたくないのに‼
考えれば考えるほど頭に霧がかかったみたいに思い出したはずの彼らの顔がぼやけて見えなくなっていく。
「姫君?」
「うぅぅ~」
「どうかなさいましたか?」
「忘れちゃダメなのに…忘れたくないのに…」
目から熱いものが頬へ伝う。
ポロポロとそれは落ちて地面を濡らす。
「…姫君」
「あ、たま痛い」
頭を打ち付けたかのような痛みが襲う。
少しでも痛みが収まるかと頭に手を伸ばし、、、手が何かに触れる。
柔らかいソレを頭から外し、握りしめゆっくりと見える位置に持ってくる。
ソレ―赤い水玉の布―は猫耳の形をしていて…
「シャロ」
その声は誰かの耳に届くことなく宙へ散っていく。
一際大きな涙が零れ落ち、赤い布を大切そうに握りしめた紗凪はそのまま意識を手放した。
「ぷぎゅっ」「ぶぎゅー」
ハアハア
「ちょ、待てって」
切らした息を整えるために少しだけ足を止める。
ここは王城から西に向かった場所。街を抜けて庶民の住宅街からも遠ざかった上り坂の途中
さすがにずっと走りぱなしはきつい
なにせこいつらは道なき道を当たり前のように通っていく。
城から出るときは人ひとり入れないぐらいの小さな抜け穴を通らせるし(子供だったからまだ何とか通れたけれども・・・)、近道なのか塀の上を走るは壁を蹴って塀を超えるし、あろうことか店や家の屋根上を走りもしたし・・・
これ絶対にばれたら怒られるどころの騒ぎじゃないよな。
なんて冷静に考えながら走る自分がいたことはまた別の話なのだが....
しかも何気にこいつらわざと俺を試してる感あるんだよな~
近道に変わりはないがわざと簡単な道じゃないほうを選んでいる気もしなくはない
やっぱりこれは時間稼ぎの一貫なのだろうか。
でも、あの鴉天狗なら妖が見える俺にこんな回りくどいことをせずに放っておくほうが自分たちの理にかなってるって考えそうなものだが・・・・
「ぷぷぎゅ!」
「どわっ‼」
白い毛玉が俺の顔めがけて飛んできたのを間一髪で避ける。
息が整ったのに考え事をしていた俺が悪いんだけども、、、それでもやっぱりこいつらには一度仕返ししたい。
移動中も隙あらば何気に顔面狙ってきてこっちはひやひや者だったのだから
でも今は―
「―ッ!」
両手で思い切り両頬を叩き気合を入れる。
はやく はやく はやく
あいつを見つけなきゃ
次回更新は9月27日になります。
皆様に少しでも楽しんでいただけるように今後も精進いたしますのでよろしくお願いします。




