傷つくのなら
立て続けに更新します
昨日のことはあまり覚えていない。
鴉天狗が現れて何故紗凪のことを「姫さん」と呼ぶのか聞いた瞬間に誰かが俺を眠らせた。
ぐっすり眠れ過ぎて久々によく寝た感覚を得られた。
部屋の鍵は閉まったままだったし、、、
まったく妖はなんて面倒くさいそれでいて厄介な奴らなんだか…
コンコン
「はい」
「シャロ、今いい?」
「! かまわないけど・・・どうかしたの?」
ちらりと時計に目をやる。
時刻は5時半―紗凪がいつもなら起きる時間ではあるがまだ水やりの時間には早い。
ドアを開ける。
猫耳カチューシャをつけた紗凪が申し訳なさそうな顔をする。
「あ、あのね、、今日こっ国王陛下のところに一緒に行ってもらえない?」
「国王陛下のところに?」
こくんと頷く。
確か昨日アイリスの話では行くのを渋っていたはずではなかったか…
心境の変化でもあったのか、たった数時間で、、
頭に浮かぶ疑問はたくさんありはしたがべつだん陛下に会うことは悪いことではない。
むしろ会っていないことのほうが問題の気もする。
「あぁ、かまわないよ。」
ぱあぁぁぁっと紗凪が顔色を変え、笑顔を見せる。
ーっ‼
バッと顔を紗凪から背ける。
なんだろう。むず痒いというか、熱いというか…顔が火照る。
「じゃぁお願いね!」
「えっ、あ、うん。」
嬉しそうにして紗凪が自室に戻るのを見送る。
まだ顔が熱い。
窓を開ける。涼しい風が室内へ入り新鮮な気持ちを与えてくれる。
・・・・・そういえば何で紗凪はわざわざ陛下に会いに行くことを僕に言いに来たんだ?
そりゃ先に教えてくれれば今日のミーティングの時にみんなに伝えられるけども。
なんだろう。あの言い方じゃまるで僕の許可がないと行ってはいけないというか、自分では行くことができないみたいな。
首をひねりながら支度を始める。
昼前
アイリスと合流してから西館―陛下への謁見に行くことになった。
「いったいどういう心境変化なのよ」
「僕が知るわけないだろう」
ひそひそ言い合いながら紗凪の後ろをついていく。
紗凪は心なしか緊張しているようでさっきから一言もしゃべらない。
「紗凪、緊張するかもだけどもうちょい肩の力を抜けって」
「う、うん。」
逆に力が入ってガチガチな動きになる。
「ふふふふ」
「あはははは」
アイリスと顔を見合わせ吹き出してしまう。
「何で笑うの2人とも」
「いやだって、紗凪があまりにもガチガチすぎて」
「なんかおもちゃみたいなぎこちない動きだったから」
ぷくっと頬を膨らませる。
「「申し訳ありません。お嬢様」」
「まったくもう!」
自然と互いに笑顔になる。