疲れた
「……」
「……」
アルドと俺は、無言で廊下を歩いた。
執務室に向かって。
「…………」
「…………」
そう、2人とも無言で……。
「………………」
「……………ブ、ブフォ!!」
違った。
俺だけは、無言を貫きながら歩いた。
ガチャッと、自分の執務室の扉を開いた。
ソファーから飛び降りた白いフワフワが俺の元にやってきて足にじゃれる。
俺は、白いフワフワを抱き上げた。
「ただいま」
と、言えば、
「ニャー!」
と、返事を返してくれた。
「王様は、何の御用だったのかお聞きしても?」
「……」
「王子?」
俺は、スイカを抱きしめるだけでフレドリックの問いには聞こえないフリをした。
「ブフッ、しょーがねぇなー!それがな……」
人の不幸を笑いながら筋肉馬鹿はフレドリックに説明し始めた。
「はぁ、それは、唐突ですね」
「ブハハ、だな!あの王様は、仕事は出来るが変わってる!」
「コラ!王様の事を思ってても変だなんて口にしてはいけませんよ!」
「フレドリック……。お前も、やっぱりそう思ってたんだな」
「あ!ち、違います!こ、これは……」
「ブワハハハハ!」
「黙りやがれ!アルド!!!」
「フレドリック、口調が崩れてるぞー」
「黙れ!……あ、そういえば、アルド?」
アルドに笑われて怒っていたフレドリックは突然ニヤリとした。その変化にアルドは、息を飲む。
「な、何だ?」
「アルンが探していたぞ。大量の書類を抱えて、お前が今までにしでかした失敗談やら恥ずかしい話やらを叫びながら」
「な、何だとー!」
「本当です。センリ王子の大切にしていた本を……」
「わあーーー!!!言うなー!!!」
「どーいうことだ?俺の大切な本を?アルド?」
ニッコリと笑顔でアルドに問う。
「な、何でも!何でもねーです!さいなら!!!」
アルドは、慌てて執務室から逃げ出した。
「アルンーーー!!!どこだー!?どこにいる!!!」
と、叫びながら逃げていった。
「はぁ、少し疲れた。仮眠室で少し寝る。何かあれば起こしてくれ」
「はい、分かりました。スイカ様は連れていきますか?」
「ああ、連れていく」
俺は、大人しく抱かれていたスイカと一緒に仮眠室へ向かった。