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プロローグ
人魚の恋は、悲しい物語。
人間の王子様を好きになった人魚姫。
足を貰う条件として魔女の美しい声と恋が成就しなければ泡になることを提示されて受け入れた。
けれども、人魚姫の恋は成就することはなかった。
魔女が提示した条件通りに人魚姫は泡となり、やがて消えてしまうという物語。
悲しい物語は嫌い……。
心が、憂鬱になる。
やはりバッドエンドよりハッピーエンドを求めてしまうのだ。
そこで、代わりに人魚姫と同様に人間に恋した人魚が幸せの物語を紡ぎましょう。
私にとっての大好きなあなたとの幸せの物語を……。