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序章 とある古書の呟き事


おうい、お前さん。そう、そう。そこのお前さんだ。


見慣れない顔だなぁ。新入りかい?おお、そうかい、そうかい。

ならば、自己紹介をせんとな!おいらは古書の思念体、名を七唐と言う。もう十年も、この四畳半の部屋に住んでいる古書だ。よろしく頼むよ、新入り君。


え?古書の思念体ってなんだ、って?うん、よくぞ聞いてくれた。

古書の思念体ってえのは、餓鬼以上で付喪神以下の、自由にぺらぺらと喋ることができる古書のことだよ。


お前さん、付喪神って知ってるだろう?

そう、長い年月を経て古くなったり、長く生きた依り代に、神や霊魂などが宿ったあやかしのことだ。


古書の思念体というのは、簡単に言えば付喪神もどきって所かな。

百年も生きてはいないが、付喪神と同じように話すことができるのだ。


おいらがそうであり、お前さんもその思念体なのだよ。・・・しかし、我らは喋れるからといってあやかしではないぞ。

ただ喋れる本というだけだ。人から見れば話ができる本は妖怪にしか見えんだろうが、奇怪なものは必ずしも全てが妖怪ではないのだ。


それに付喪神と我らの違いは、彼らの声は一般人にも聞こえることができるのだが、我らの声は人には届かぬ。

うん。だから人間どもは、我らがなにを言っても気づかないだろうなぁ。何せ聞こえんのだから。

しかしこれが百年経ったら、もしかしたら我らの声は人に届くことができてしまうだろう。

おいらはそのときが待ち遠しくて仕方がないよぉ。付喪神に早くなって、いろんな人間を驚かして、ついでに話してみたいな。きっと楽しいだろうなぁ。


おぉ、お前さんもそれに同意するか!仲間が増えてうれしい気分だよ。


あ、そういえば、そうだ。一つ大事なことを言い忘れておった。

先程、人間と話してみたいと言っておっただろう?実はな、今の我らでも、人と話すことができるのだよ。


え、話が違うじゃないかって?

・・・まぁまぁ、そう急かすでない。話してやろう、やろうとも。


実はこの四畳半の部屋の住人、つまりは我らの持ち主、主さまは、生まれながらにして特別な能力を持っているのだ。


え、主さまは誰だって?全く、お前さんは寝ぼけているのかな。四畳半には一人しか住めぬぞ。

今はここにいないが、さっきお前さんも見たであろう。だんぼーるとやらの大きな箱を持って、一人の少年が部屋から出て行ったではないか。それが、我らの主さまだよ。


何、女の主さまのほうが良かったって?ふはは、お前さんは案外面白い古書だなぁ。おいらとよく気が合うよ。


それでね、我らの主さまは女々しいお方ではあるが、面白い力を持っているのだ。・・・おっと、いけない。

女々しいといっては駄目であった。この前、おいらが主さまのことをうっかり女々しいと言ってしまったら、すごく不機嫌な顔をされてね。二度と言うなと叱られたのだよ。

しっかしあの時の主さまの顔は傑作だったよ。あぁ、面白きや、面白きや。

これがどういうことか、わかるかい?



・・・そう、主さまは我ら古書の声が聞こえるのだ。面白いお方であろう?


ふむ、興味を示してくれたか!是非とも主さまと話をしてみたいと?気が早い奴だなぁ。

しかしまあ、それが話し甲斐があったということだ。お前さんは真に幸運な奴だぞ。

なにしろ、主さまは優しいお方だからな。少々優柔不断なところもあるが、まぁ、いいお方なのだ。


おいらたちを大事に扱ってくれて、しかも話しかけてくれる主さまは、今のご時勢、あまりいないからなぁ。

こればかりはおいらもお天道様に感謝するよ。良い主人に出会わせてくれてありがとさん、とね。


あれま、長話をしているうちに、噂の主さまが帰ってきたようだ。


そういえばさっき、主さまは大きな箱を部屋から持っていったっけ。部屋ももう、おいらたちのいる本棚以外のところは、新居のようにがらんとしてしまったし、もしかして主さま、どこかに引越しでもするのかな。

まだ十七の学生さんなのに、この四畳半以外に金を払えるような格安な部屋があるのかい?



・・・おぉ、そういえば、思い出したぞ。何週間か前、主さまのおじいさまが亡くなられたんだ。

きっとそれと何か関係があるのだろうな。ということは、おじいさまの住んでいる山梨に行くってことかい。懐かしいねぇ。


おうい、お前さん。お前さんは本当に幸運だな!おいらの推測が当たっていれば、これから我らは遠出するのだ!

外へでるのはいいことだぞ。特に、この四畳半の暑苦しい部屋から離れられるっていう開放感がたまんないねぇ。


おいらはもう何年もこの部屋の本棚から出て行ったことがないから、今とってもわくわくしているのだ!


さあ、お前さん。お前さんも自分の幸運を感謝するのだな。


おいらはなんだか、主さまと一緒に山梨に行くと、とんでもなく面白いことが起こりそうな気がするのだよ。

今からそれが、楽しみなのだ。



さあさあ、一体どんな面白いことが、我らを待っているのかな?

読者の皆様、初めまして。


この度は「おとぎ救出物語」第一話を読んでいただき、ありがとうございます。


さて、今回はプロローグ的な感じで書いたのですが、如何だったでしょうか。

長すぎたり、だらだらとした文章になっていたりと、色々と不届きな点があるかもしれません。


もしよければ読者の皆様方の意見を聞いてみたいです。


小説を書くのは初めてで、初心者ですが、どうか今後ともよろしくおねがいします。


それでは、ここまでお付き合いしていただいた皆様、どうもありがとうございました。

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