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一章 その11

 翌日、その日はサラさんの部屋で僕は起きた後、また自分の部屋に戻り静かにしていた。

 リビングは、綺麗さっぱり掃除され、血の跡すら無かったよ。

 サラさん曰く、後始末はリンちゃん達にやらせたんだとか。


 ターヤ君やミーシャちゃんが部屋に訪れてくれてお話をして、サラさんと寝る前に相談をした体が治ったらサラさんのお手伝いをすることを伝えた。

 ターヤ君やミーシャちゃんもとても喜んでくれたんだよ。

 僕も嬉しい、歓迎してくれてとても嬉しかった。

 でも、ミーシャちゃんが言ってたんだ。その場合、サラさんのお弟子さんになるの?

 って、どうなるんだろう? 後にでも、確認をしなくちゃ。


 「けど、しばらく滞在するにしても、この国を住まいにするにしてもサラさんの弟子なら十分な証明になるにゃ。」

 

 証明? どういう意味なんだろう?


「いま、ミコトちゃんはこの国では身分証も無い不法滞在って事になっちゃうんだよ。まぁ、代表やお母さんが隠しているけどね。

 あまり言いたくないんだけど、天界人の事もミコトちゃんの国の事も公にはできないんだ……。だから、お母さんの弟子って事なら十分だよ。ただ……お母さんの弟子って今まで居たことはないし、お母さんの名声から考えると弟子ってだけでも十分な才能を先に証明しないとだよね……たぶん。」


 サラさんのお弟子さんになるにも、先にそれを証明しないとかぁ……。

 もちろんヒーラーとしてのだよね。うぅーん……。あっ!


「そうだ、リンちゃんのお母さんだ!」

「え?リンちゃんの?」


 そう、リンちゃんのお母さんって、赤ちゃんの産めない体になっちゃってるってサラさんが言ってた。それを治せれば!


「リンちゃんのお母さんって子供が産めない体になっちゃったんだよね? 僕、それを直してみるよ!」

「ええ!? できるの!? だって、お母さんも治療不可能だったんだよ?」

「うん、重度損傷なんだと思う。それなら高位のボディリカバリーを使えば治せると思うの」


 うん、ボディリカバリーIIを使えば治ると思うんだ。


「高位のボディリカバリー? そんなのあるんだ……。うん、それができれば十分証明になると思うよ。ただ、もちろんお母さんに弟子の事も含めて先に相談しないとだけどね。」


 それはそうだね。僕達だけではどうしようもないし。

 サラさんが来たらお話してみよう。サラさんの弟子! わ~。いいかも……。えへへ。



「そういえば。ミコトは冒険者だったんだよにゃ? 冒険者証はないのかにゃ?」


 冒険者証。あっ、あったね。アイテムボックスに入れてて、ほとんど出した事無いけど。

 僕はアイテムメニューから冒険者証を取り出す。

 しかし、冒険者証は真っ白で何も書かれていなかった。


「どうしたの? 何も書かれてないにゃ。」

「2千年前の冒険者証でしょ? 今のギルドとは違うのかもしれないし……」


 そっか、別のギルドになってたら意味ないね……。


「けど、もしサラさんの弟子になれたら冒険者証も作れるにゃ。」

「ほんとっ!?」


 なるほどっ、けどやっぱり何かしらこの国に在住してるかの証明するものが無いと作れないんだね。

 ミーシャちゃん達も冒険者証は作ってるんだって、15から作れるんだとか。

 ただ、最低限しかギルドからの依頼はやってなくてランクも低いんだって。

 なんとかして、サラさんの弟子にならないと! うん! 頑張らなくちゃ!


 サラさんと一緒にみんなでお昼ご飯を食べ終わった後、ミーシャちゃん達と話した事を伝えた。

 なんとサラさんはその事を既に考えていたらしい。

 僕が滞在、又は在住する為には外国人の場合。この国に取って、それだけのメリットがあるかどうか、その証明をしないといけない。ならば僕はサラさんの弟子となること。

 しかも、リンちゃんのお母さんも治すということも、サラさんはその1つとして考えていたみたい。

 サラさんすごい。そこまで考えてたんだ……。

 ただ、僕はハイビショップではなくビショップとして公にするらしい。

 ハイビショップは、今は僕以外で存在しないのだから。

 あ、ただサブ職業のサモナーはどうしよう?


「サラさん、僕のサブ職業は? ハイサモナーなんだけど。」

「ハイビショップ兼ハイサモナーとか言ってたわね。忘れてたわ」

「そういえばミコトちゃんを連れて来たグリフォンって召喚獣だったんだよね。」


 うう、忘れられてるとは……ヒーラーも大好きだけど、サモナーも好きなんだよ!


「そうね……。ちなみに何が召喚できるの?」

「神獣、幻獣、モンスターは一通り使役してるよ? 僕の覚えてる限りだけど。」


「「「……。」」」


何やら言葉を失くしている。どうしてだろう……。

信じてないのかなぁ……。


「あ、じゃあ何か召喚してみるよ。お気に入りの子でも。おいでシロちゃん」


僕は召喚獣を一匹召喚することにした。この子なら皆も気に行ってくれるだろう。

小さな魔法陣がリビングのスペースに現れ、白い小さな虎が現れた。


「ちょ、ちょっとまちな……」

「ギャーオ!!」


 神獣、ホワイトタイガーのシロちゃん。通常サイズで出すとグリフォン以上に大きくな るためちょっとここでは出せないので小さくなってもらった。

 でもこのサイズが可愛いんだよ。小型犬よりちょっと大きいぐらいで体の大きさに比べて太い脚が可愛いんだ!

 シロちゃんは召喚されて、一目散に僕のお腹に飛び込んできた。

 抱きあげると僕の顔をすごい勢いで舐めてくる。

 わわっ、こんなに懐いてくるなんて。ちょっとびっくりするけど嬉しい!



「わわ……。どうかなっ!? この子可愛いでしょ? 神獣のシロちゃんだよ!」

 どうやら、サラさん達はシロちゃんが出て来た事に、びっくりしちゃったみたい。

 シロちゃんを抱えて、僕は前足を持ってサラさん達に向けて手を振る。


「おおぅ……私の親戚? かわいいにゃー。ミーシャだよ、よろしくにゃ?」

「ふう……何が出てくるのかと思ったら……、トラの子供なの? びっくりしたわ。」


 最初みんな驚いてたけど、みんな喜んでくれてるみたい。よかった。


「驚かせちゃってごめんなさい。あ、小型化して呼んだの。 大きさは……グリフォンは知ってるんだっけ? 本来の大きさはあの子よりもうちょっと大きいよ? 」

「え、えぇ~……?」

「グルる……」


 首を描いて上げると嬉しそうに喉をならして、シロちゃんは僕の顔を舐めるのが満足したら、ソファーに座ってる僕の膝の上で蹲り寝始めた。

 召喚獣については、普段は目立たない召喚獣を呼ぶぐらいなら問題はないだろうということで落ち着いた。


 けどサラさんに怒られちゃった。安易に魔法は使わない事って、サラさん達の前なら良いけど、他は絶対に駄目って。

 それと、今僕は衰弱中だし体を余計に悪くしてしまうから、本来なら絶対に駄目だって。

 僕の体を心配して言ってくれてる事だから、素直に謝った。

 せっかくシロちゃんを呼び出したけど、頭を撫でてから送還する。

 体が治ったらまた呼んであげるからね? またね、シロちゃん。


 冒険者証についても、もちろんリンちゃんのお母さんを治して、サラさんの弟子になったら作ってもよいということで、職業についてはメインの職業以外を記載することはないんだって。



 お話が一段落すると僕は部屋に戻った。

 ご飯を食べたせいか、ウトウトと眠くなる。


「ミコトちゃん、眠いなら寝た方がいいよ?」

「ううん、大丈夫……。」


 寝てしまったら、また悪い夢見そうで……ちょっと嫌。


「体を早く治すためにも寝た方がいいよ。 僕はここにいるから。ね?」

「うん……。」


 ターヤ君が近くに居ると言ってくれたので安心して眠る事にした。

 実際の所、かなり眠かったので我慢はできなかったかもしれない。

 けど、やっぱり一人で寝るのはちょっと怖い。


「ターヤ君……あの、手を繋いでくれる?」

「え? うん、いいよ。」

「ありがとう……ターヤ君。」


 ターヤ君の手をぎゅっと握る。安心して僕は目を閉じた。

 眠りにつくまで、そう時間を必要としなかった。




 ターヤ君は僕が起きるまで、ずっと近くにいてくれたみたい。

 ミーシャちゃんは自宅に帰ったみたいで起きたのは夕方だった。

 ターヤ君が近くに居てくれたおかげか、嫌な夢は見なかっよ。


 そう! ようやく、ようやく僕のステータスから衰弱アイコンが消えたの!

 ようやく僕のステータスは元に戻り、生命力はまだ全快じゃないけど、全快になれば元通りになる!


 喜びのあまり急ぎサラさん元へ、ターヤ君にとめられながら報告に行った。

 これでリンちゃんのお母さんを治す事ができる! と思っていたけど

 サラさんは僕を診断し衰弱が治ったことを確認するも治り掛けであり、もう1日様子見ということになっちゃった。

 僕は早くリンちゃんのお母さんを治してあげたかったんだけどなぁ……。


 衰弱が治ってからのサラさんのご飯は昨日よりとっても美味しく感じたよ。

 やっぱり元気な時に食べるご飯の方がおいしいね!

 

 そういえば、今日1日リンちゃんを見ていなかった。

 僕のヒーリングで傷は治したけどリンちゃん、体大丈夫かな?

 リンちゃんに会いたいな。また尻尾を触らせてほしい。


 部屋で一人、夜になってまた眠くなってきて一人で寝るのは怖い。

 どうしよう。またサラさんに一緒に寝てもらおうかな……。

 けど、サラさんは研究室で色々と本を読んだり、お薬作ってて忙しいかもしれないし……。

 ターヤ君はどうだろう? うーん……、やっぱり迷惑かな……。

 そういえば、ターヤ君のお部屋って見に行ったことなかったよね?

 それもそうか、ずっとこの部屋にいて、あとはダイニングやリビング昨日初めてサラさんのお部屋に居たんだし。


 ちょっとターヤ君のお部屋に行ってみよう。体は治ったんだし、いいよね?


「どうぞ?」

 

 ターヤ君のお部屋前に来てドアを叩くと中からターヤ君の声がした。

 お部屋にお邪魔する。


「お邪魔します。」


 ターヤ君のお部屋に入ってみると僕のお部屋とそう変りなく、剣や槍、盾など前衛の武器や防具がいっぱい置いてあった。

 ターヤ君は剣を磨いてたみたい。あれ? ターヤ君ってヒーラーじゃなかったの?


「ミコトちゃん? どうしたの?」

「ターヤ君とお話ししたくて……それと……」


 うん、ターヤ君とお話したい。前衛さんだったんだね、たぶん。それも聞きたいし、ミーシャちゃんやリンちゃんって職業なんなんだろう?

 それと、やっぱり一緒に寝てくれないかなぁ。駄目かなぁ?


「ターヤ君……できたら、一緒に寝てくれないかなって。」

「え?……ええー!?」


 なんだか、すごい驚かれた……駄目なのかな?


「やっぱり……だめ?」

「ええと……その……う、うんっいいよ!」


 何故かターヤ君の声が上ずっているけど良いって言ってくれた!

 よかった~。


「ありがとう!」

「ちょっと、ちょっと待っててね? これ済んだら寝るから……いたっ」


 ターヤ君は剣に油を塗ってて、急がせてしまったのか手を切ってしまったみたい。


「大丈夫? 見せて?」

「いたた……」


 ちょっと切ってしまったみたい。僕はターヤ君の手を持ちヒーリングを唱える。


「あ……」

「ごめんね……邪魔をしちゃって……ごめん」


 僕がここに来て、邪魔をしてしまい。ターヤ君が手を切ってしまった。

 ヒールで治してあげたけど、痛い思いをさせてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「ううん、僕の不注意なんだからミコトちゃんが気にする必要ないよ。

 このぐらいで集中切らしちゃう僕がいけないんだから。ベットで待っててくれる?」


 そう言ってくれて僕は頷き、ターヤ君の部屋のベットに腰かける。

 ターヤ君は改めて剣を取り、血を拭きとって改めて油をゆっくりと塗っていた。

 細身の片手剣、部屋に置いてある他の武器と比べて装飾や剣の材質が違うように思えた。


「この武器、元はお父さんの武器なんだ。」

「え? そうなの?」


 ターヤ君のお父さんの武器? あれ、そういえばこのお家にいるのにターヤ君のお父さんにあったことないや。


「僕のお父さん、小さい頃に亡くなっちゃってね。 その形見なんだよ。

 お父さん、族長になる前までは冒険者でね。その時の怪我が祟って亡くなっちゃったんだよ。

 お母さんがこの武器を僕に形見としてくれたけど、僕は槍の方が得意なんだよね……。

 だから手入れは良くしてるんだけど、あんまり使った事ないんだ。」


 ターヤ君のお父さん亡くなっちゃってるんだ……。

 会ってみたかったな……。


「ターヤ君は僕、サラさんと同じでヒーラーだと思ってたよ。ナイトなの?」

「残念ながら、まだファイターなんだ。早くナイトになりたいんだけどね……まだ未熟で。」


 ターヤ君は前衛一次職のファイターらしい。

 そういえば、ウサギ族って回避系の前衛か、ヒーラーが多かった気がする。

 ターヤ君もきっとそうなんだろうね。

 いつか、訓練とか戦ってる所みてみたいなぁ。


「ターヤ君の鎧とか着てる姿、みたいな。今度見せてね?」

「あはは、がっちりした鎧とか来たこと無いんだよ? 部分鎧ぐらいで。」


 うん、でも見たいよ。きっと凛々しいと思うんだ。


「ミーシャちゃんや、リンちゃんはなんの職業なの?」

「ミーシャちゃんはレンジャーで、リンちゃんはマジシャンだよ。」


 なるほど、バランス取れているんだね。


「僕が冒険者証作ったら、みんなと冒険してみたいなっ。その時はよろしくね?」

「うん、一緒にできるといいね。 さ、さてと……お、終わったから、そろそろ寝ようか?」


 ターヤ君は汚れた手を洗いに行って、僕はベットの壁際に移動し寝転んだ。

 あ、枕を持ってくるの忘れてた。

 ん~、まいっか。

 ターヤ君が戻ってきて、ベットに入る。


「お、お邪魔するね?」

「ここターヤ君の部屋のベットだよ?」


 なんだか、ターヤ君が変なこといってる。ふふっおかしい。


「あ、ターヤ君。まくら貸してね?」

「えっ? う、うん……。」


 サラさんと同じで、とても安心できる。これなら悪い夢を見ることはなさそう。

 よかった。ターヤ君の部屋に来て。

 横になったら一気に眠くなってきた。


「ターヤ君、おやすみなさい。」

「うん、おやすみ。ミコトちゃん。」




------------------------------------------------------------------




「……ヤ! …………………………の! せ……ん………………!?」

 ん? なにか声が聞こえる。

 サラさんのこえ?

 朝になったのかな?


 目を開けると、サラさんとターヤ君が居た。


「ミコトちゃん……。起きたわね?」

「ふぁ……、おはよう……ございます」


 まだねむい……、あれ? なんでターヤくん、ゆかで正座してるの?

 サラさんを見ると、ちょっと怒って見えるような……


「……? おはようたーやくん、なにしてるの?」

「ははっ、ミコトちゃん……おはよう」


 なんだか、苦笑いのターヤ君。けど正座したまま、どうしたんだろう?


「ミコトちゃん、おはよう。 昨日はターヤと寝ていたみたいね?」

「ふぁ……、うん。一人で寝るのが怖かったので、ターヤ君にお願いしたの。」

「……一緒に寝ただけなのね?」

「すこし……お話しした後、一緒に寝ました……ふぁ」


 まだ寝ぼけてて、あくびがでて上手くしゃべれない。

 

「ターヤ……今回はミコトちゃんを信じるわ……。 けど、次は許さないわよ?」

「はい!」

「……?」


 その後、サラさんにターヤ君と一緒に寝るのは次からは駄目って言われてしまった。

 どうして?って聞くと、僕とターヤ君はもう大人になるのだから、駄目なんだって。

 もし怖くて寝れないのなら、サラさんの所にって言われちゃった。

 良く解らないけど、ちょっとサラさんが怖かったので頷いた。

 



-------------------------------------------------------------------


 次の日、リンちゃんがお爺ちゃん、お母さんを連れてまたやってきた。

 今日は、リンちゃん達がやってきて、リンちゃんのお母さんを治す日なんだ。

 サラさんから、今日試してみましょうって言われたんだよ。


 リンちゃん達は今日は和服姿ではなく、普通の格好だったよ。

 ちょっと残念だったなぁ。また今度見せてくれるかなぁ?

 あ、そういえば着物とか大丈夫だったかな? 血で汚れちゃったんじゃ。


 リンちゃん達の表情は暗い。この間、僕怒っちゃったもんね。

 機嫌悪いのかな?


「先日はミコト殿のお手数を煩わせ、真に申し訳ございませんでした。

 愚息の失態、そして先日の我らの失態。もはや、我らには釈明の余地もございませぬ。

 どのような処罰も承る所存にございます。」


 三人はまた、僕に土下座をし始めた。

 隣に居るサラさんは何か笑っている。

 あれ? サラさん? なんでリンちゃん達に伝えてないの?


「えっ? 頭を上げてください! 僕はもう怒ってなんかいません!

 今日はお願いがあって、来てもらったのです。」

「はっ。どのようなお望みも承りましょう。 して願いとは?」

「リンちゃんのお母さんをお借りしたいんです」


 レンさんにボディーリカバリーをする為、この後サラさんの隣の部屋に来てもらいたい。

 三人来るとは思っていなかったんだけどなぁ。


「はい。どのような仕打でも伽でも承りましょう。」


 伽? ってなんだろう、とりあえずレンさんには了解もらえた。よかった!


「別に痛い事はしませんよ? とりあえず、ありがとうございます!」


 なぜか、複雑な表情のお爺ちゃんと、顔を真っ赤に、青くなったりしているリンちゃん。

 僕、変な事いったかな?

 サラさんは、何か笑ってるし。む~?




 僕とサラさんはレンさんを連れて、看護室に入った。


「サラ……三人でするの? とりあえず、私は裸になればいいのかしら?」

「まぁ、とりあえず裸になってもらった方が良いかしら? 問題も解りやすいしね。」


 レンさんは着ていた服を脱ぎ、すぐさま裸になる……。

 う、うわ~……着物姿の時もすごかったけど……す、すごい綺麗。

 リンちゃんをそのまま大きくした感じ、ほんとに髪も綺麗な金髪で、む、胸もすごい大きい……。

 そ、それに腰は細くて、お尻も……尻尾も綺麗……。

 僕はボーっとレンさんに見惚れていた。


「ミコト殿がお相手とあれば娘が一緒でも構いませんでしたが、お望みとあれば……まずは私を存分に堪能して下さいまし……。」


 え、望みって? 堪能って何を?

 レンさんのプロポーションは確かにすごいけど……?

 

「じゃあ、レン。ベットに横になって。」

「サラ、あなたは?」

「フフ……」


 なんだろう、今のサラさん。とてもイタズラッ子の顔をしてるよ?


「じゃあ、ミコトちゃん……ふふ」

「うんっ!」


 サラさんが非常に気になる所だけど、僕はレンさんが寝ている側によって、刺された箇所を確認する。

 傷の跡はない、ヒールとボディーリカバリーで皮膚の傷は治癒されているみたい。

 と、いきなり寝ているレンさんがひょいと僕をかかえ、レンさんの胸の上に抱きよせられてしまった。


「わぷッ!?」

「そろそろ、ミコト殿も衣服をお脱ぎくださいまし。それともそれがお好みですか?」

「ええ!?」


 なんで僕が服を脱がなくちゃいけないの!?

 あっ僕の手を掴まれ、レンさんの胸に! 胸に! すごい……。


「わわ……」

「先ほども申し上げました通り、存分に堪能してくださいまし……私はもうあなたの物ですわ。」


 僕の物ってどういうこと? どういうことなの?


「ひゃわ!?」

「あら? ミコト殿、それなりに御胸がありますのね……とても可愛らしいですわ」


 呆然としている内に、なんでレンさん僕の胸を弄るの!? や、やめっ! へ、変な……


「ひゃん!」

「責められる方がお好きなのですか? 任せて下さいまし……」


 レンさんは僕の胸を触りながら、僕の服を脱が……や、やあ!やめ……

 変な気分になって、抵抗できない……まさか、伽ってそういう意味!?

 とんでもない勘違いされてるよ!!


「はい、レン。ストップ、ストップ。ちょっと待ちなさい。」

「なに? サラ、これからよ? あなたもやっぱり参加するの?」


 え、え!? サラさんも!? 治療するんじゃなかったの!?

 ま、まさかサラさん、こうなる事を解ってて!? そ、そんな……

 

「サ、サラさん……?」

「ごめんミコトちゃん、まさかレンが先制してくるとは思わなかったわ……。

 レン、そういう事をする為にあなたを呼んだんじゃないのよ。」


 た、助かった……。助かったよぅ……。

 危うく、このまま……。うぅ……。


「あら? 違うの? ……ちょっと残念だわ。……申し訳ありません。そういう趣旨かとばかり……。」

「え、えっとですね……あ、あの。僕、レンさんの治療がしたいんです。 ……こ、こういうことをする為に呼んだんじゃないんですう……。」


 僕はレンさんの体の上に横になりながら、本来したかった事を伝えた。


「治療……? ま、まさか!?」

「ええ、そうよ。私が治療できなかったのをミコトちゃんがやるの。」


 そう、本来の趣旨はこっちなの! レンさんの勘違いの趣旨とは違うの……ぐすん。


「し、しかしそれでは私達にのみ利があり、これ以上ミコト殿にお手を煩わせる訳には。」

「それがあるのよ。ミコトちゃんをこの国に滞在させるのに証明が必要なの。

 あなたを治療して、ヒーラーとしての資質をね? 私の弟子として証明書をでっちあげるのよ。」


 うん、そういうこと。でも、でっちあげるって……なんだか僕の中のサラさん像がちょっと壊れてきた……。

 未だ僕はレンさんの腕の中で離してくれない。レンさんの大きい胸を枕にしている……。

 それにしてもレンさん……いいなあ。僕もいつか……


「そういうことなの……。解りました、ミコト様。何卒宜しくお願いします。」

「……はっ!? はい! 任せてください!」




 仕切り直してレンさんの診断から始めた。

 レンさんのお腹に触れ、メニューを表示してみる。

 ターゲットのレンさんに合わせ、状態を表示させる。

 見ると、予想していた重度損傷ではなく、身体欠損になっていた。


「え!?」

「ミコトちゃん、どうしたの?」


 ちょっとこれは予想外だった。重度損傷ならボディリカバリーIIで治せるけど

 身体欠損だとIIIが必要になる。


「今、診断しました。重度損傷だと思っていたのですが、身体欠損なんです……。」

「治せないのですか?」

「いえ、治す魔法はあります。重度損傷ならボディーリカバリーIIで治せるのですが、

 身体欠損だとIII、それと触媒が必要なんです。」


 触媒は「織天使の羽根」が必要となる。

 いま、僕はそれを持ってない。身体欠損なんて、ゲームでも滅多に起きないから。

 イベントか。またはイベントボスでのみ使用するぐらいでまず使わない。


「四大天使様の羽根が必要なんです、「織天使の羽根」が必要でして……いま僕も持ち合わせ……。」


 

 イベントの時にふと思った。

 魔法を覚えるクエストがすごい面倒なクエストだったんだもん。

 織天使の羽根。僕、四大天使様と同じ階位だよ?

 なんで自分の羽根が使えないんだろうって。

 いま、ゲームの中じゃないんだ。自分の羽根だって使えるかもしれない。

 試してみよう。

 実体化するのに僕は服を脱いだ。


「ミコトちゃん!?」

「僕の羽根で試してみます。」


 僕は一対の翼から、頭の上の天輪を出し、三対の翼に変化させる。

 そして、三対の翼を実体化させた。

 

「なんと神秘的なお姿に……。」


 あ、そういえばリンちゃんのお母さんはこの姿を見たこと無いんだっけ?


「えへへ。これら僕の本来の姿です。ちょっと待ってて下さいね?」


 翼を何度かたなびかせて羽根が抜けないか試す。

 ……仕方ない、痛いかもしれないけど引っこ抜くしかないかなぁ……。

 僕は翼から深呼吸し、1つ一気に引き抜いた。


「いつっ!」

「ミコト様!?」

「ミコトちゃん!?」


 ふ~……。痛かった~。引き抜いた自分の羽根を見てみる。

 うん、見た目はやっぱりアイテムの羽根とは変わらない……それも、そうかな同じ羽根は羽根だし……。

 引き抜いた羽根を触媒で使えるか一度アイテムボックスに収納し、メニューで確認してみる。

 (織天使の羽根)

 うん、触媒の羽根と同じだ。きっといける!


「うん、いけると思います! では、レンさん治療してみますね!」


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