一輪
『洸成…ごめんなさい…ずっと、一緒に…いて、あげられなくて…本当…に…ごめんな…さい…』
暖かい温もりを持った手は、赤く血で染められていた。
そんな手が、俺の頬を触る。
『でも…私は…貴方の…傍に…ずっと…ずっ…と…いつづ…ける…こんな、私が……でごめんな…さい…ね?』
そう言って、綺麗な女性は、瞳に光沢を無くし、ズルリと、その場に崩れ去った。
『――――!!』
そうして、俺はいつもその人に向かって、最後に何かを叫ぶ。
そんな、夢を見る事が最近増えてきた。毎回毎回、同じことの繰り替えしで…
あんな、女性も知らないし…あの、夢は良く、分からない。
そんなことを学校の通学路で考えていた。
真剣に考えすぎていて、後ろから近付く、人影に気付いていなかった。
「何時にも増して、髪が白いですな~洸成クン(笑)??」
肩を軽くたたいてきた。軽くなのだろうけど、音が凄く痛い音がした。
「~~~っ!!」
うむ、訂正、かなり痛かった。
「あれ?そんなに痛かったか?少ししか、力入れてないんだけど~」
「お前の、少しは、普通の人間の、かなり、のレベル。」
「人を、怪物みたいな、言い方しなくてもいいじゃん」
「実際、怪物、だろ。」
「ひどい(;ω;`)」
うざい。正直、うざい。かなり。
「翔、お前、うざい。」
「え!?なんでっ!!?」
なんか、もうめんどくさいので、俺は翔を置いて行こう!
って考えになり、そくそくと足を早めた。
「なぁなぁ!洸成!これ、歌い手のコンサートの映像じゃね?!!」
「ん?」
俺達は、電気屋の前を通っていた。
その電気屋の売り物である、36インチやら、なんやらの大きさのテレビがずらーっと、
外に置かれていた、そのテレビの映っていた、〝歌い手ライブ〟の中継が流れていたのだ。
「翔は、本当に、歌い手さんが、好きだよね。」
「もち♪」
翔は、いわゆるオタクと言うやつで、その中でも、
ボーカロイド、が好きなんだと。自分でも曲造っちゃうぐらい。
それでこないだ、『風さんと和さん、そして、な、なんと!あのモデルもやってる、ダモさんにまで歌ってもらえなんだー!』
とか、言われて、二時間ほど、語られたっけ…(汗)
「おぉ!!!」
「っ…ちょ、五 月蠅い。何?。」
翔が、目を輝かせながら、テレビを凝視していたのに、いきなり、
大きな声で、叫びだした。
「今!ダモさんが歌った!歌った!!ヤッホーい!!!!!!」
「…そうですか。」
俺は、すこぶるどうでもいいので、軽く流して、また歩きだした。
あんな、変人と、知り合いって、思われたくないし。
「ちょっとまったー!!」
「ッ!!」
だが、そんな俺の小さな願いも、こいつは聞いてくれやしなかった。
「っにすんd」
「洸成ってさ、なんでダモさんが嫌いなの?」
「え?。」
俺は、首を絞められながら、間抜けな声をだした。
「だってさ、なんか、態度が変わるからさ」
「……。」
俺は、思わず黙ってしまった。
だって、翔の言うとおり、俺は ダモが嫌いだったから。
「なんで?」
「…あの人は、苦手…」
「えー!!いいじゃん!!」
なんなんだ、こいつは!。お前がきいてくるから、正直に答えたのに!
まぁ、他にも、理由は、あるんだけどさ…。
だって、アイツは…
「あれ?君たち」
俺達が、じゃれあっていると、店の店員が、声をかけてきて。
「時間大丈夫なのかい?今、8時30分だけど?」
HRは8時30分。チャイムが、なり始めたときに、席についていないと、遅刻☆
「「ああああああああああああああああ!!!!」」
「やば!!遅刻!!」
「翔のせいだ…。」
「うっ…正論なだけに反論できない…はぁ…お兄さん、ありがと!!」
「いいえ^^気を付けていくんだぞー!」
「「はーい」」
俺たちは、お兄さんに、手を振って、此処から10分かかる白鳥高校に走って向かうのだった。
「遅刻、入学して、三日後でこれは、まずいよなー…」
「うん。」
「「はぁ…」」
ようやく学校につき、階段を四階までかけ上がって、7組まで全速力で駆け込み教室をした
「「ついたー!」」
「はい二人とも、遅刻」
「ですよねー」
「わかってます。」
俺たちは、授業のはじめに、教室に着いた。案の定遅刻だった。
「まぁ、今日は自己紹介だったから、よかったな」
「関係ないですよね?」
「おう、関係ないぞ^^」
「はぁ」
二人は、先生に促され席に着いた。
「さて!それでわ、自己紹介を始めるぞー」
一人一人、自己を紹介していった。
「はい、次、」
「…」
金髪の男子生徒は機嫌悪そうに、立ち上がった。
わぁ…綺麗に…染まってる…ん?
今日初めて見た、彼に何か引っかかった。
…あの人…もしかして…
「……隼人…?」
俺は、思い当たる人物の名前を軽く、つぶやいた。
「吉村、康太」
「……やっぱり、そう簡単には、会えない、か」
俺は、知り合いと、似ていた、彼をちらっと見た。
そしたら
「…!」
なぜか、目があった。
俺は、すぐに、目をそらし た。
「はい、じゃぁ、遅刻してきた、二人、どうぞ」
「はい」
「はい。」
俺達は、遅刻をしてきたから、最後に回されたのだ。
「赤村、洸成、です。特技は、バスケと、料理、です。以上。」
若干女子が黄色い歓声が入った。
「秋吉 翔です!!好きな事は、曲作りと、歌い手鑑賞っす!!」
女子から、もろ、「オタクか!」と爆笑されていた。
俺たちが、終えたことによって、この時間も、終わりを告げる鐘が鳴った。
なんで、今かっこよくしたかというと、私(駄犬)が言いたかったからである!←
は、さておき、一時間目が終わり、何故か、今日は、ここまでで、これから12時まで、
部活動見学に時間になった。おかしい仕組みとか、言わないでね☆←
で、ショートが終わ り、俺たちも部活を見に行った。
「洸成は、何処にすんの?」
「………バスケ…か、軽音。」
「よし、じゃぁ、軽音だ!!」
翔は、洸成の腕を、掴み、軽音部が活動している、部室へと向かった。
部室へ向かうと、そこまで、上手くない、声が、聞こえてきた。
「微妙…。」
「いいから!」
それでも、翔は入りたいらしく、ドアを開けた。
「ん?」
「入部希望者??」
「マジでマジで!!?」
先輩だと思われる、人たちが、集まってきた。
「はいっす!」
「お、俺は…。」
「君たちさ、経験は?」
一人の先輩が凄く近い至近距離と言うやつですよ。
んな近い、距離で、質問してきた。
「俺は、曲造るのと、ギターなら!」
「きゃー!私と同じね!ギターなんだ!仲良くしましょ??私名前、藍っていうの、貴方は?」
「翔って言います!」
「名前可愛いね~!ちょっと、弾いて行かない??」
「いいんっすか!弾きたいっす!」
「こっちに、おいで」
翔 は、藍先輩?と一緒に行ってしまった。
「で、君は?」
「…ボーカルとベース、少し…。」
「じゃぁ、俺とおんなじだ^^あ、俺、副部長の要、宜しく^^」
「あ、そいつ、歌とかには、厳しいっすよ!」
「なんで?」
「そいつんち、家族の中に、歌い手さんがいるんすよ!」
その、一言で、その場の、部員みんな洸成を見た。
「マジで…!!!!!」
「でも、だけかは教えてくれないんすよ~」
「どうしてだい?」
「………迷惑掛かるから。」
「ふーん、でっ君名前は?」
「……洸成、です。」
「じゃぁ、洸成、これから、宜しく」
「は、はい。」
翔と遊んでいた藍先輩がこっちに来て
「じゃぁさ、親睦会開きましょ!!」
「お、いいな!!、まだみんな、紹介 してないし^^」
え、俺、入部決定、なわけ?
「まぁ、アレだ、流れで、お前入部決定な^^」
え、マジか。
「まぁ、つっても、まだみんなそろってないから、新入部員に質問する、されるターイムとしようと思う^^」
「さんせーい!、じゃぁじゃぁ!まず私から♪二人の家庭事情教えてください」
「あ…」
「ん?」
洸成は、藍先輩の言葉に、固まった。
「どうしたのー?」
「あー!あ、藍先輩、コイツの家は…」
「何か、まずかった?、もしかして」
藍先輩はなにかを感じたのか、オロオロしだしてしまった。
「こいつんち、ちょっと複雑で(汗)」
翔のフォローにも耳を傾かない洸成。
あー、まずったな、これはピンポイントで地雷踏んだぞ(汗)
「すみません。 その、質問は、ノーコメントで。」
「って、マジかー」
「はい。」
「いいじゃない!もう、このこのw」
藍先輩は、場を和ます為、おちゃらけてくれた。
…すみません、先輩方、俺の家は、言えないんです。
だって…うちの家は……。