第4話 最強の片鱗
~前回までのあらすじ~
今年、流行になるであろう『千分の一ミリメンタル』という言葉を作り、日本の産業に激励した(?)拙作
自動車の知識に疎いのに自動車関係の仕事についている拙作は、日々勉強であり闘っているのであります。そして帰宅してはこつこつと書き続けています。
今更ではありますが、仕事への意欲だとか情熱というものを考えながらこの作品は生まれました。
俺は三枚下しにされそうになったが、そうはならなかった。
俺の右半身をなにかが、かすめた気がした。もちろん、斧は振り下ろされようとしたが、未だ頭上で降下中だ。
かすめた何かは俺のすぐ前に立ちはだかる頃には、左足を軸にして細い右脚を掲げ、片方の斧めがけて蹴り込むという姿勢を完成していたのだ。
だが、それではもう片方の斧が右脚に無残にも食らいつくだろうと思案するも、予想は簡単に砕け散った。
その細い右脚は狙った斧の横っ腹を蹴って弾くと同時に、鞭のようにしなって更に速度を上げてもう片方の斧も同じく撃墜させる。
刹那の内に起きたことに、俺も斧を振りかぶった相手も困惑し一瞬だが時間が停滞した。
隙を見逃さまいと、追撃するように漂ってる右脚を槍の一刺しの勢いで男のがら空きの胴に突き刺す。男は派手に後方へ突き飛ばされた。
「……くっ、もろに喰らってたら胸骨どころか胸板を貫通してたかもな」
男は手持ちの斧を杖のようにして、ゆっくりと立ち上がる。
一瞬だったが、男はほんの少し後方に跳躍していた気がする。派手に後方へ突き飛ばされたのはその勢いを殺すためだったかもしれない。
「どうして、俺を助けてくれたんだ?」
俺は眼前に立ちはだかった少女に問うも、返答はあっさりしたものだ。
「助けるのに理由はいらない。助けたいと思ったから助けた。……駄目かな?」
声に含み笑いが混じって余裕だと思わせる程の調子だ。俺も自然と笑いそうになるも今は堪えねばならない。今は相手を軽率に挑発してはならない。彼女だからこそ笑むことが出来るが、俺にはそんな余裕はない。
「おい、“過剰殺戮”よぉ、そんな態度をとっていいのか。 お前、獲物持ってないんだろ?」
「武器が無くても、右脚だけで十二分。それで、負けてもいいように言い訳でも考えるなら遊んでもいいけど?」
少女は正面を向いているので表情はうかがえない。しかし、挑発的な発言をすることからそれだけ余裕なのだろう。そして、敵意を俺から自分へと向けようと誘導している発言は1対4の姿勢で挑もうとしているのだ。
俺を勘定に入れないのは戦力外ということかもしれないが、変にしゃしゃり出るような感情は出ない。それどころか、この少女を邪魔はしてはいけない気がしてきた。
「いいぜ、上等だ。手前ぇは死なねぇように、注意しな!!」
俺に最初に話しかけたリーダー格的な男が、剣を掲げ疾駆する。後に続いて3人も接近を開始するも少女は右手でクッションを握り腕をぶらんと垂らしている。左手に至っては腰に手を当て余裕の態度。
「死にやがれぇぇぇぇえ!!」
男は怒声を張り上げ、剣を少女に肉薄する距離まで振り下ろそうとして一刀両断するかと思った。しかし、寸前に男の怒声が掻き消える程の轟音が響き渡ると同時に男の剣が砕け散った。
長さが3メートルに及ぶ長槍が矢を凌ぐ速さで男の剣めがけて激突したのだった。ランスは勢いを殺さずに、暴風を巻き起こしながら少女の頭上を通過して、建物の壁に激突する寸前に静止し垂直に落ちた。
「ヴィンセント……ちょっと遅いんじゃないのかなぁ?」
少女は投擲されたであろう地点をただじろっと眺めた。そこは俺がここに来た細い路地の道半ばといった場所だ。
「いや、だってチーフ、迷子になったって聞いたから皆で探したんだけど!!」
少女が眺めた地点には投擲の残身をする鎧で全身を覆ったあの男が居たが、少女から投げかけられた言葉に弁明する姿はどうもカッコよくなかった。
そして鎧男の後方には向かって右にあの親父臭いアライグマと、向かって左に中身エルフのドワーフが立っていた。各々、武器は何も持っていなかった。
「……おい、隙だらけだぞ」
どすの気が入った声に俺は再び前方を向くと、少女は宣言通りで男の顎を右脚で蹴り上げた後、側頭部、左腕、左太ももを連撃で攻撃した後とどめとばかりに、軽く跳躍してクッションを左手に持ち替え大きく円弧を描くように全身を捻りながら、遠心力が付加した蹴りを左脇腹に放つ。
男はうめき声を上げることも無く倒れ伏せた。
「あなたたちも、こう成りたくなかったら去りなさい。私は加減はするけど、連中は本気になって抵抗するから気を付けて」
少女はちらっと参入者の方を一瞥した。アライグマはともかく、あとの二人はかなりの手練れにしか見えない。というか、長槍を投擲した鎧男の方は問題外の強さだ。
「ちっ……、ここは大人しく引くがこの落とし前はきっちりと済ませるからな」
「そうしなさい。必至になればいつか勝てるかもしれないから」
両斧の男は、リーダー格の男を背負うと去り際に捨て台詞を吐くも、間髪入れず少女に口を出されてしまい文句も言えず口を閉ざして細い路地へと去って行った。
彼女居ない歴=年齢=DT
そんな私、八重垣出流ですが熱いご声援をよろしくお願いします。




