隠れ家レストラン まんまと戦場に行かされた件スピンアウト 散文詩
ダンの谷に到着する象部隊 まんまと戦場に行かされた件抜粋
ドラマを詩のように書いて能の幽玄ぽい世界を作りました。散文詩として発表します。
象隊がダンの谷へと降りて行こうとする光景です。
これで、興味が出たら本編もお楽しみください。
三日後、明けの明星が、アラタン山脈の山の端を照らす。
一昨日に象隊は、後ろから追って来た動物隊の四頭と、山口、測量兵二名、護衛の兵士(工兵)三名、象使い四名が加わり七頭と十四名になっていた。
冷え切った夜の行軍は、いよいよ最後の下り坂に差し掛かる。
霧はまだ濃く、光は青白く滲んでいる。
谷底から冷たく吹き上げる風が、象の背の毛に付いた露をプルプルと震わせている。
象使いが小さくチョチョ、チョチョと舌を鳴らし、象はゆっくりと歩幅を広げる。
やがて、霧がふっと浮き、視界が開ける、眼下に平地が広がった。
ダンの盆地だ。
山脈の険しさが過去の幻のようだ。
そこには草地が広く横たわり、その中央に、白く浮かび上がる「まっすぐな帯」がある。
英軍が残した古い滑走路跡だ。
後ろにいる測量兵の興奮が伝わる。
皆が思わず息を呑んだ。
「……ここが、飛行場になる場所や」
象は、まるで知っていたかのように、
その草地へ向かって静かに歩みを進めていく。




