Chapter20:悪夢が再び訪れる(12歳)
ゴロゴロゴロ…
鈍い雷鳴が天を転がり、まるで巨大な獣が雲の奥深くで咆哮しているようだった。
滝のように降り注ぐ豪雨。
密集した雨の線が無数の冷たい鞭となって大地を打ちつける。
楓奈は目立つ赤い衣をまとい、この灰色がかった雨のカーテンの中にぽつんと立っていた。
彼女は顔を上げ、冷たい雨が頬を洗い流すに任せ、かすむ水蒸気を透かして、鉛色の、絶え間なく渦巻く分厚い雲層を執拗に見つめていた。
ドカンッ――
青白くまぶしい稲妻が突然、暗い天幕を引き裂いた。
閃光が一瞬、雨に濡れた楓奈の顔を照らし出し、ひそめられた眉と深く潜んだ困惑の眼差しを浮かび上がらせた。
それでも彼女は頑なに目を細め、荒れ狂う空の深奥に、捉えどころのない何らかの答えを探ろうとしているかのようだった。
突然、渦巻く暗雲の中心で、狂暴な雷の力が狂ったように集結した。
まぶしい雷光で完全に凝縮され、破滅の気配を放つ巨手が、まるで天の神の怒りの具現化のように、雲層を破って出現した。
それは空間を引き裂くような悲鳴と無限の威圧感を伴い、雨のカーテンの中の小さな赤い影に向かって、激しく打ち下ろそうとした!
「きゃあっ――!」
楓奈は短く恐怖に満ちた悲鳴をあげ、ベッドから飛び起きた。
心臓は胸の中で狂ったように鼓動し、太鼓を打つようだった。
彼女は苦しそうに額を押さえた。冷や汗がこめかみを濡らし、まるで無数の細い針が中で狂ったように突き刺さっているかのようだった。
あるいは、さっきの夢の中の雷の巨手の残る威圧にぎゅっと握りつぶされたかのようだ。
「この忌々しい悪夢め…」
…
「悪夢…またか?」
昼下がり、巨大な楓の木の下で、木漏れ日が落ちていた。
星動は地面にあぐらをかいて座り、ずっしりと重く、光すらも飲み込みそうな真っ黒な重力石の精華を手に取り、集中して研究していた。
楓奈は分厚い魔法書を抱えて隣に座り、ページをいらだたしげにバサバサとめくっていた。
「そうなの!」
楓奈は力を込めて本を閉じた。
背表紙が鈍い音を立てた。
彼女の声は隠しようのない焦りを帯びていた。
「そう、それに師匠が去ってから、悪夢が再び現れただけでなく、毎日のように襲ってくるし、あたしの魔法レベルも全く上がらなくなったの」
「卒業試験の時の戦力コードは僕とほぼ同じで、111:95:20だったな。今は?」
「変わってない。一年も進歩がない!」
楓奈は悩みを抜き出そうとするかのように自分の髪をかきむしった。
「すごくイライラするの、星動!
このままでどうやって魔法大学を受験するの?
試験の最低条件は職業数が300前後なんだから」
「焦るなよ。
普通の人はみんな十八歳で魔法大学を受けるんだ」
星動は顔も上げずに言った。
「でもあたしは普通の人じゃない!
星動!
あたしは彼らとは違うの!」
楓奈が突然立ち上がった。
抑えきれなかった怒りが火山のように爆発し、星動に向かって怒鳴りつけた。
「しかもあと数年で!勇者隊列の募集枠は埋まってしまう!あと数年で!魔王は完全に目覚めてしまう!時間!時間は絶対にあたしを待ってくれないんだよ!!!」
星動は突然の爆発に驚いて呆然とし、手にした重力石の精華を落としそうになった。
慌てて石を慎重にしまい、彼も立ち上がった。
「楓奈、落ち着け。
焦るな、深呼吸しろ」
怒鳴り終えた楓奈自身も呆然とした。
胸の激しい上下が次第に収まっていった。
彼女は目を閉じ、後悔と疲労が顔に刻まれ、指でドクドクと脈打つこめかみを強く押さえた。
「ごめん、星動。君に当たるんじゃなかった。
あたし、この数日、本当に、本当に眠れていなくて。
精神状態は滅茶苦茶だし、魔法が停滞していることもあって…
ごめん、星動、本当にごめん、わざとじゃないんだ…」
声は次第に小さくなり、申し訳なさに満ちていた。
「大丈夫、大丈夫、お前の気持ちが整うのが一番大事だ」
星動は穏やかに彼女の肩をポンポンと叩いた。その力加減には慰めが込められていた。
「睡眠の問題、一時的に解決できなければ、『睡眠』をお前の『弱点』リストから外すことも考えてみるか?」
「弱点を変えるのなんてそんなに簡単?
長い準備と適応期間が必要なのは、君も知ってるでしょ?」
楓奈は張った額を押さえ、力のない声で言った。
「それに、『受動的覚醒』みたいな精神を維持する魔法は全く研究してないの。
今無理に弱点を変えたとしても、精神的な疲労やダメージは全く緩和されず、むしろ悪化するだけ。
当時、睡眠を『弱点』に設定したのは、安眠の呪文の補助があるからだって思ってたんだ。
まさか呪文が効かなくなるなんて、この忌々しい悪夢がまた襲ってくるなんて思わなかった。
でも、この悪夢が現れた時期と、魔法が停滞し始めた問題がほぼ完全に重なっているの。
あまりに偶然すぎて、何か関連があるんじゃないかと疑わざるを得ないわ」
「本当に関連があるかもしれないが、まずは落ち着いて、座って、ゆっくり話そう」
星動はうなずき、彼女の腕を引いた。
彼は楓奈を柔らかな草地に再び座らせ、自分も横になると、楓奈にも横になるよう合図した。
「魔王の復活は確かに焦るべきことだが、今こうして気楽にのんびりできる日々は、勇者の隊列に加わったら、もう味わえなくなるだろう。
今のうちに、この貴重な平穏をもっと楽しもう」
星動は頭上の風にそよぐ楓の葉を見上げながら、静かな声で言った。
「うん…」
楓奈は低くうめくように応え、素直に横になった。目を閉じた。
風が、優しい指のように彼女の頬にそっと這い上がり、心に染み入る涼しさと、青草と土が混ざった新鮮な香りをもたらした。
楓奈は深く、ゆっくりと息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。
不安と不眠で騒がしかった彼女の心が、自然の慰めの下で、まるで整えられたかのように、少しずつ落ち着いていくのを感じた。
「実は僕、一つ推測があるんだが、当たってるかどうかわからない」
「もったいぶってるのね、星動君?聞かせてよ」
「実はな、僕たちが二歳くらいの頃、お前の父親が、僕とお前の結婚の話をしてきたんだ」
楓奈は草地から飛び起きた。目を大きく見開き、信じられないという表情で、まだ横になっている星動をじっと見つめた。
「彼、彼、彼が君と何を話したの?!」
「お前との結婚の話だ。だって彼は僕が転生者だと知っていたからな」
星動はようやくゆっくりと起き上がった。
まるで楓奈の雷に打たれたような慌てふためいた様子を見ていないかのように、口調は相変わらず落ち着いていた。
「転生者? それに彼は君が転生者だって知ってたの?」
楓奈は頭が一回爆発したばかりなのに、さらに大型爆弾を投下された気分だった。
「ああ、彼は僕が転生者だと知っていた。
それに当時、彼はこう言ったんだ。
この世界には『洗礼』という儀式があって、新生児が転生者かどうかを検出できると。そしてこの国では、基本的に全ての新生児が教会に連れて行かれ、この洗礼を受けるんだと」
「え? あたし、あたしの父は、あたしが転生者だって知ってるの?」
「知らない」
「え??つまり、あたしは洗礼を受けていないってこと?」
「いや、彼はお前が洗礼を受けたと言っていた」
「え???じゃあ、どうして…」
「はっきり言おう:
まず第一に、お前は100%お前の両親の実の子だ。これは僕が後々遠回しに確認したことだし、お前自身も関連する記憶の断片を持っているはずだ。
第二に、この世界の洗礼の儀式は、新生児の魂が転生者かどうかを正確に検出する。現在、誤検出の記録はほぼない。
最後に、お前の両親は確かにお前を教会に連れて行き洗礼を受けさせた。そして洗礼の結果は、お前が転生者であるという検出はなかった、ということだ」
「じゃあ、なぜなの?」
「僕が分析したところ、おそらく二つの原因がある。
第一に、お前は何か極めて特殊な理由で、洗礼の検出を免れた。
だがこの可能性は微々たるものだ。僕はかつて探りを入れるように先生に尋ねたことがある。
彼女はこの検出は魂の本質レベルで行われると言っていた。
転生者は、魂だけが転生しても、肉体ごと転生しても、その魂の核には必ず異世界の刻印が帯びている。
理論的には、このレベルの検出から逃れることは絶対に不可能なはずだ」
「二つ目は?」
「二つ目は、お前は本当の転生者じゃないということだ」
「ありえない。あたしは本当の転生者よ!はっきり覚えている。地球上で生活した細かいことまで覚えている。二歳で君と流暢に話せたのも、全部証拠じゃない?」
星動は、興奮でほんのり赤らめた彼女の頬を静かに見つめ、目は落ち着いていた。
「では、可能性として、単にお前の『記憶』だけが転生したということはないか?」
楓奈は固まった。
見えない稲妻に打たれたかのように、彼女の全ての興奮がこの瞬間に凍りついた。
星動の言葉は、彼女の認識という湖の中心に投げ込まれた重い石のようで、さざ波ではなく、覆すような大波を引き起こした。
頭の中の地球に関する記憶の映像が、初めてこれほど不確かなものに感じられた。
世界が目の前で回転し、歪み、ねじれていく。
時間が、まるでこの瞬間に止まった。




