剣術のインフレ
食堂に行きおばちゃんからご飯を受け取る。なんというかこういうの良いよね、ほっこりする。机につき食事をしながらふと思った事を口にする。
「なんか、アリアはすぐ卒業できそうだね」
午前の授業で分かったがアリアの魔法の才能は凄まじい。中級魔法を短時間で扱えるということは上級魔法を扱えるようになるのは時間の問題だろう。そしてこの学校は上級魔法を使えるようになったら卒業できる。逆に使えなかったら6年で強制的に退学になる。
「まあ、卒業しようと思えば今すぐ卒業できるんですけどね」
俺が理解するよりも早くリエルが理解したようだった。
「別の上級魔法も覚えてるってことーー!?」
アリアの反応を見るに覚えているようだった。そしてリエルの声が大きくて周りにいた生徒の注目を集めてしまった。アリアも周りの視線に気づいたようで、顔を赤くしている。
「はっ、早く食べて次の授業の準備をしましょう」
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昼食を終え、グラウンドような所に集まった。先生が全員いる事を確認すると指示を出す。
「いいか?ダンジョン攻略やモンスター討伐において、基本的に魔法剣士の方が強い。なのでこの学校では魔法剣士の育成も進めている。2年目から魔法使いと魔法剣士の選択をしてもらう。なので、1年目に剣の授業もしていく。」
魔法剣士の方が俊敏性があったり、魔力を使わなくても戦えるだからだろうか。
「しかし剣の先生が遅刻しているということで、まずは体力をつけるために走ってもらう。」
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この時代でも意外と足が速い方で安心した。10周走り終わって、アリアの方を見ると。それはもう遅かった。
「アリアーー?今何周目?」
「今‥はぁはぁ、今は‥2周目だよ」
これはもう少し時間がかかりそうだ。暫くしてアリアがなんとか走り終わった。少し休憩を挟み先生が指示を出す。全員に木刀を持たせ、先生が俺の名前を喋った。
「セレンが使っていたが、魔力を体中に流し運動能力を高めることができる。まあ、あまり上手く魔力使えてなかったからそこまで速く無かったがな」
何かものすごーく失礼な事言われた気がする。いや、これはもっと上手くできるよーーっという先生からのありがたーい教えと思うのが正解なのか?いや無理だろ。
「とりあえず対人戦で木刀を振りながらでも魔力を体に流してる状態を維持できるようにしてもらう。これは魔法使いでも重要なスキルだ。」
俺の時代では魔法使いでこれをやっていた人は少なかった事を思い出した。すると後から声をかけられ振り向くと、黒髪に青色の目を持ち、整った顔の少年が話しかけてきた。
「良かったら僕とペアを組まない?」
特に断る理由も無かったので快く了承した。前世でも剣を扱っていたので剣には自信があった。少年が剣を構えるのを確認すると地を蹴り接近し、剣を振るう。木がぶつかり合う独特な音がした。ちゃんと反応してきたようだ。少し距離を取ると今度は相手から攻めてきた。俺の胸目掛けて突き刺してきた剣を屈んで躱し、少年の少年に剣を突いた。少年の持っていた剣が地面に落ちたと思ったら少年が少年を抑えて悶えている。
「あっ‥やっちゃった」
わざとらしい表情と声で言う。
「やっちゃったじゃねーよ!!」
悶えているのにツッコミをする元気に感心していると、なんとか立ち上がると口を開く。
「トドメの刺し方はあれですけど、剣の実力は本物のようです。僕はカクテル・ウォッカ。テルと呼んでください。」
テルが自己紹介をしてきたので俺も自己紹介をしていると、先生の声が聞こえた。先生の声がした方を向くと、白髪で糸目の70代くらいのおじいさんが立っていた。
「ちゅうもーく!!剣の先生がやっと来たので今からこの先生に教えてもらう。」
「はい、儂がー先生じゃ。ゼレファス先生でもー、おじい様でも、おじ様とでも呼んでくれー。」
おい、呼び方に趣味が出てるぞ。特に最後のは。
「まあ、剣を教えると言っても絡めてや力の入れ方を教えるぐらいじゃがな。とりあえずー体を温めるついでに1人剣に自信がある人いるかー?」
その話を聞くとテルが手を挙げた。俺の手を
「セレンが剣に自信があるそうです!」
おい、俺に押し付けるな。
「そうか、じゃあネレン前にでなさい」
「セレンです、まあ出ますけど」
僕とゼレファス先生が剣を構えたのを確認するとカミラ先生が開始の合図をする。その時ゼレファス先生が閉じていた目を開く。燃えるような赤い目が見えた。目の前から姿が消え勘で頭上に両手で剣を構え防御の姿勢を取る。勘が当たったようで木刀のぶつかり合う音が響く。先生はその勢いのまま俺の後に位置取る。俺が振り返るのと同時、先生の剣が俺の横腹を狙う。辛うじて剣を構えるのが間に合い防御するのに成功した。
この時代は剣術も進化してるのか!!
剣で受け止めたにも関わらず数メートル吹っ飛んだ。
「ほう、あれを受け切るとはメレンゲとやら、かなり剣を扱い慣れとるな」
「セレンです、まあ慣れてますね」
なんとか受け切ったがすでに息が上がってる。このまま続けても次の攻撃を受け入れるかは結果が見えている。
「よし、これで終わりじゃ。体に魔力を流せてるようじゃしグレンゲは休憩で他の者に授業するぞ。」
少し安心して地面に腰を下ろすと、カミラ先生が近づいてくる。
「凄いなお前、剣術を少しかじってた私でもあれは受けきれるか怪しかったぞ。」
「ありがとうございます。運が良かっただけですよ」
「冒険者には運も重要だからな自信を持ってもいいぞ」
あれ?こんな人だっけ?短い期間だったがこの人は先生としてどうかと思っていたが、意外な言葉に驚いていた。それに気づいたようで、俺の髪の毛をワシャワシャしてくる。
「なんだーー?私がしっかり先生してる事に驚いたような表情してー」
なになに?この時代には心を読む魔法でもあるのかってぐらい、俺が思ったことを当ててきた。
「ちょっ、そろそろやめてくださいよ」
「こんな美人に頭を撫でて貰えてるのにやめてくださいか?お金を払ってでもしてもらう人もいるんだぞ?」
確かに美人な事は否定しない。出過ぎず足りなさ過ぎない躰に、整った目鼻立ち。しかし、周りからの視線が痛い!!
「これは頭を撫でてる判定ですか!?恥ずかしいので辞めてください」
しかもアリアがムスーとひた表情をしてこちらを見ている。しかもなんか機嫌が悪そうな感じだし。
「まあ、この辺にしといてやる。全く、先生を馬鹿にするなよ?」
「してないわ!!」
「ん?先生にため語か?」
先生の手が俺の頭を狙う。
「いやーーーーー!!」