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前夜暗闘6



「で、何を探せば良いんだ」僕は今更ワワさんに質問する。


「色々あるのだが、とりあえず懐中電灯と蓄光シールを見つけて欲しい」


 幸い、2つとも見たことがある物だった。前日、迷宮へミノタウロスを探しに行った時にそれらの道具を使ったことを記憶している。


 懐中電灯は小型の物だし、蓄光シールに至っては台紙に小さなシールが幾つも貼られているだけである。このごった返した部屋の中で見つけるのは至難の業だ。


「まぁ、探し始めるか」


「すまない」無表情のまま、ピースを掲げる。


 …………捜索から10分が経過した。その間は黙々と作業をしていたが、一向に見つかる気配が無い。諦めた訳では無いけれど、僕の集中は途切れたのは確かだった。人が2人だけいる空間で無言は堪える。何か空気を変えたい。


「改めてなんだけれど、何故永遠とわちゃんを誘わなかったんだい。こんな作業になるのは目に見えていただろうし、人手も欲しかっただろう?」


 ワワさんは落ちている紙の資料を拾い、角に揃えて丁寧に合わせていく。手に持っている紙を机の上にとりあえず置く。


「永遠には仕事が残っているからな。彼女の製図は限りなく完璧に近く、美麗。故に出来るだけ彼女の時間は無駄にしたくはなかった」


 ワワさんはまたしゃがみ込んで、落ちている紙を拾い始める。


「彼女、本当に優秀みたいだな。この国の大学一年生なんてこれから何かを学び始める人間が大多数だろうに」


「そうか?私だって高校時代から新聞部に入っていたから、大学入学時点でもかなり形になった良い部員だったがな。ピース」


「…………」


「…………確かに永遠はその能力だけ、特別他者と比べて秀でていると思う。彼女は特別に頭脳明晰という訳でも無いが、知識と経験がかなり顕著に現れている。けれどその様なことは瑣末なことだろう、使える能力は使う男であれ、女であれ平等に、平和的に」


 彼女は十分拾うとまた立ち上がる。机の上にある分の資料と併せて、コンコンと机で打って揃えていく。


「だからこそ、君をここへ呼んだとも言える。態々、1人でも出来る様な作業を負傷者の君を呼んでまで行う理由がある」

「京介、私はあの怪盗の行動をどうにも不自然に思ってる。わざわざ盗品を持って人から人へ移動して……まるで“ここ”へ我々を誘導しているみたいだ。盗みに入る前、最後の怪盗の行動が君の言葉で完全に埋まった。君の言葉を聞かなければ、私は未だこの部屋を優先的に探す決心はついていなかっただろう」


 彼女はコンコンとまた紙を机に打ち付ける。


「私は感覚的に思う。怪盗は何かを残している。それが何かも分からないし、彼が何からそれを隠しているのかも分からない。けれど分かる事もある、それを見つけるべきは我々の役目だ。そして、我々にその役目があるという事はそれ以外ではダメだという事だ。それはつまり怪盗にとっての敵と言える存在の証明かもしれない」




 

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