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この執行には、理由がある  作者: 端役 あるく
牛人伝説事件

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中間回答8


 堂山どうやま銅鑼どうら。巨体の男は僕に向かってそう名乗った。それからドッカリと椅子に座り込む。スプリングが男の体を少し持ち上げた後沈み込む。


「悪かったな。ここへ人が来るなど予想していなかったから、入ろうと思って入る事しか出来ない場所だが、態々入る意味が無い場所でもあるからな」

「君らの侵入は意図せず罪深い」


「罪深いですか」


「あぁ、誰だって予期せぬ訪問者をいつ何時でも受け入れるのは難しかろう。多数に対して、許容を求めるのは罪のあるところだと思うが」


「それは……そうですね」


「それに、ここは裏側だ。舞台装置における、小道具大道具を操作するフロア。客も演者もそこには触れないのが心得だろう」


「……それは確かに僕たちは要らない場所に入ってしまったみたいですね」


「まさか、穴を潜ってくる奴が居るとは思いもよらなかった。お前、名前は何というか?」

 男は手元にある金属製の何かを遊ばせながら、目線もこちらに向ける事はない。低い音と言葉だけが発され、聞こえる。


「浮向京介、ただのしがない人間です」


「浮向京介。はてな」


「……」


「聞き覚えがないな。おれの長い長い人生でさえ」


「あなたは上に住んでいる、極刑城に住んでいる3人とは面識は無いのですか?」


「3人、無いわけではない。春花車菊花、キズキ、四罪ヶ楽小断。であれば何か、かねてより聞いていた城への招待の話か」


「そうです。聞き及んでいなければ申し訳ありません。個人のスペースに言葉通り土足で入るのは些か失礼なことをしました」


「いや、最初から君らを責めるつもりなど無い。こちら側の想定ではここへ誰かが来る予定は無かったと言うだけの事なのだ。やろうと思えば、物理的にも、精神的にも入らないように工作することは出来た」

「その努力を怠ったおれの罪の方が重い」


 部屋の中には油と土煙の匂いが充満する。確かに裏側と言われればそうだ。極刑城の庭園を綺麗な表とすればここは随分と暗く汚れが目立つ。


「ここはどう言った場所なのですか。あなたはこの場所を表舞台に対しての裏側と表現したけれど」


 巨躯の番人はこちらを少し見る。見て、目を少し合わせて、また視線を落とす。目には光を一つも宿ることが無い。


「そのままの意味、裏側だ。この建物を動かす為の機軸。それを設計し、作り上げ、維持する。それだけの裏側だ」


「それはこの建物を作ったのがあなたと言う意味ですか?」


「部分的にはそうだ。だが、中心的には違う」


大蝋翼だいろうよく機刻きこくですか」


 僕の言葉に番人は更に首を落とす。縮こまって、それでも彼の体は大きい。


「懐かしい名だ、古い名前でもある。そう大蝋翼機刻、奴はそんな名前だった」

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