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24

 昼過ぎ、1時から迷宮に入り、3時まで探索を行なった。1時間を2回。編成は昼明けと変わらず2時間ともを僕は鳩野和々、怪盗は香永遠と行なった。


 そして、3時からの1時間。僕は未だ迷宮の中にいる。方向も変わらずに、螺旋階段から出て左方向に向かう。毎回、左方向に向かい、その角度を維持したまま直線的なルートを進む。面白い様に、壁の移動と床の移動によってその様相は変化するけれど、進もうと思う方向には進めなくはない。少し遠回りをすれば自ずと道はある感覚だ。


 ただ、変化があるとすれば共に行動しているメンバーだった。ここまでの2時間、2人組を作って効率を重視して行なっていたが、ここに来て4人全員が同じ道を辿っている。


 怪盗に、新聞部が2人、そして僕。


 前方では新聞部の2人が、この1時間の探索を記していきながら、リアルタイムで今までの地図と見比べる。


 しかし、全員が揃うと、いやこの2人がいると僕の出番は特に無い。今の現状において言えば、僕に出来ることは彼女のどちらかに絶対に出来ることばかりだ。改めて、二手に分かれたのは正解だったのだろうと思う、であれば何故また全員が合流する選択を彼女が行なっているのかが謎になる。


「京介、どうしたんだ。そんな悩んでいるんですと言わんばかりの表情は」


「そんな顔をしているか?」


「あぁ、凄い顔だな。苦虫を口の中で直接煎じてるみたいな表情だ」


「そこまでの表情はしているつもりは無いが。いや、待てよ。怪盗を自称する人間とまた出会った不幸を身が一心に受け止めているのかもしれない。これ以上の不運はないと、嘆いているのかも」


「はっ、俺に出会えて不幸な人間などいるものか、誰しもが俺と会えば幸福になれる」


「出会えば幸福になれるとは、お前はツチノコか何かなのか。であれば僕はお前を役所にでも届けて懸賞金のいくらかでも貰いに行くけれど」


「悪いが俺はツチノコではなく怪盗。役所よりは警察署がお似合いの名怪盗だ。だがしかし、もちろん、懸賞金はかけられてはいないけれどね」


 かけられてないのかよ。いや、賞金首でない事は良いことだけれど、この流れで無いのはそれはそれで、己の矮小を知らしめはしないか。悪行の一つもした事が無いとは言ったが、ここまで純白だと本当にこの男の姿形が分からなくなる。


 本当にただの病的な変人なのかもしれない。医者でも紹介してあげようかな、精神系の医者なら交流関係の乏しい僕でも、知り合いは多い。ツチノコよりも余程探しやすかろう。


「京介、で改めて述べたいのだけれど、俺には懸賞金はかけられていないのだよ」


「知ってるよ。先ほど、君の口から聞いた。お前が嘘をついているとは僕も思わない。君にかかるお金など無いとそう信じている」


「では一応、説明してくれるかな。今の状況を」


 今の状況とは。今こうやって、4人で集まって迷宮の中を歩いている状況の事を指しているのなら、それはミノタウロスを探すために決まっているのだけれど。いや、なんだこの怪盗は急に説明を所望してきたりして、怪盗と名乗りをした自分を悔い改める気にでもなったのかな。


「なってない。なる訳が無いだろう。俺には大義名分がある。如何に不自由で、悪い立場に置かれても、俺は大義名分(ロマン)を追い求める事を忘れない」


「なら良いじゃ無いか。やはり変では無い、今この状況で変である事は4人でいる事以外には無い。あぁ、何故、彼女は今回4人で動くことにしたのだろー分からないなー」


「とぼけるなよ、京介。知ってるのであれば教えてくれ、俺が何故お縄にかけられているのかを」

 怪盗は言いながら体を動かす。振動は彼の腰に結ばれた縄に流れて揺れる。


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