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未完成

※応募条件として未完成でも良いとのことなので公開しました。

清書したものはTwitter(現X)に毎日アップしてゆき、ある程度まとまったらさらに推敲して各サイトに完成版としてアップします。


ライブハウス『パラノイア』(以下、劇場)にて『ストリップ・アイドル』を目指している楓・愛生・その他メンバー。

お雇い店長として高林霞がやってきた。霞は厳しいところもあるが、頼りになる店長だった。

楓は飲食店に務めながら劇場に出演していた。しかし、いつまで続けられるのか、正社員ともなったら異動もあるのでは、と現実的な折り合いの中で迷っていた。

愛生は楽しく頑張っていた。

霞が、ひとりの新人を連れてきた。彼女の名は如月舞。彼女は高校生ながら天才ストリッパーであり、他の素人同然のメンバーの中で群を抜いていた。しかし、舞はぼんやりしていて何を考えているのかわからず、協調性がなく、劇場メンバーとはあまり馴染めていなかった。


そんなある日、新歌舞伎町の特別措置を縮小する、という法案が野党政党『安心党』から提案。劇場内にも激震が走る。

どうやら原因は、未成年の風俗就労が確認されたからだという。この作品の時代は義務教育卒業をもって成人として認められる、と成人年齢が引き下げられている代わりに、未成年に対する侵害はより厳しくなっている。

新歌舞伎町は経済特区として風俗営業が許可されていたが、違反が出るようならそれを取り消す、というのが安心党の主張であった。


それとほぼ同時に、とある風俗嬢が劇場に駆け込んでくる。彼女の源氏名はエルメで、摘発された風俗店に所属していた。ちょうど直前1週間ほど欠勤していたので、摘発された時点ですでに辞めていて、こっちの劇場に所属していたことにしてくれ、と頼む。楓は風俗嬢なら風俗店に頼めばいいのに、と思ったが、それは引き抜き行為に当たるため厳罰処分になってしまう。それで、異業種であるストリップ劇場に頼んだのだった。

霞は、知っている情報をすべて吐く、という条件で了承。エルメは前の店に愛着も何もなかったので喜び勇んですべての情報を垂れ流すことにした。

それによると、風俗店の方もある意味被害者で、問題の未成年は偽造身分証による外国人で、成人と偽って働いていたという。


楓たちは、それなら正直に訴えれば、と言うが、霞は「この街の界隈には外の世界とは異なる力関係がある。迂闊に触れれば、劇場ひとつ簡単に潰される」と言う。愛生は「なら、力ある人に訴えてもらえば」と簡単に言うので、楓は呆れる。だが、霞は「それは面白いかもしれない」と一考の姿勢を見せる。

その上で、霞はメンバーたちに「政治関係には近づかないようにしながら、新歌舞伎町のイメージアップを図りなさい」と指示。


安心党の法案を危惧するのは劇場だけでなく、風俗店・飲食店・映画館のオーナー(女性)やビデオ屋に至るまで様々な事業者が集まってくれた。

先ずは、この街の伝統や歴史を広く訴えるべきでは、ということになった。そこで、駅ビルの展覧スペースを借りて、新歌舞伎町の歴史の展覧会を計画することになった。歌舞伎町は2050年代の『管理社会』の際に一度滅び、2070年代からの『自己責任社会』において『新歌舞伎町』として復活した経緯がある。これを繰り返してはならない、という政治的主張を込めた展覧会である。

しかし、近隣の展示場はどこも貸してくれない。だが、こういうことは地元でやらなくては意味がない。

続いて、新歌舞伎町のイメージソングを作って、近所で売り出したり握手会とかを開こう、という計画を動かすことになった。劇場だけでなく、新歌舞伎町関係者の中で音楽経験者を募った結果、メイドセクキャバで働いていて、メイドライブも経験している橋ノ瀬湊、風俗嬢の高梨天夏・鈴本恵、どこか影のある風俗嬢・ヨーコの4人が抜擢された(後の話で、ヨーコはとあるバンドでボーカルを務めていたが、彼氏を寝取られたショックで鬱になり、風俗で働き始めたという。歌を通じて自分を取り戻したい、という思いがある)

収録こそ進むが、肝心の協力店舗が見つからない。ここまで嫌われているのか、と愛生は嘆くが、嫌われているというより、何かに怯えているみたい、と思う。そして、この頃から会議からの離脱者が現れ始める。メイドキャバクラ・映画館のオーナー・ビデオ店が残る。

あとは、握手会とかではなく、実演でいこう、と近所のスタジオであるKIDS(学生編に度々登場したスタジオ)に依頼するが、やはり断られてしまう。そして、KIDSオーナーの唐沢さんは新歌舞伎町のことを応援したかったのでこっそり教えてくれた。近隣一体には政治的圧力がかかってるから、おそらく難しいだろう、と。

ここで、メンバーの中にスパイがいる、と疑い始める。当然のように舞が疑われる。


街の外では協力を得られず、街の中も手を引く人が多数派になっていた。それでも楓たちは諦めず、新歌舞伎町の広場で路上ライブを行うことにした。ヨーコたちのグループはうまくいったが、いざ劇場メンバーの番になったとき、今回は一般用だから脱がないよう言われていたにも関わらず、舞が脱ぎ始めてしまう。下着が見えた時点で楓が止めに入ったことで事なきを得たが、新歌舞伎町を潰す気か、と楓は怒る。だが舞は、そんな偽りの姿を見せて指示を得たところで意味がない。下着までなら問題ない、と反省の色はない。普段から舞の非協力的な態度に不信感を持っていた楓は「そんなことだから家と揉めるんじゃないのか」とつい口走ってしまう。しかし、楓は家に執着がなかったためまったく意に介さず、それどころか楓に対して「そんなことでもないのに貴女は家と揉めたのね」と逆撫でするようなことを平然と口にする。思わず手が出そうになる楓だったが、別の場所で騒ぎが発生したので中断される。その騒ぎとは、映画館のオーナーが新歌舞伎町を牛耳っている萩名グループに身柄を拘束された、というものだった。


取り調べのため、映画館のオーナーは劇場に連れてこられた。楓も話を聞いてみると、ライブは萩名グループによって監視されていたらしい。撮影自体は許可されていたが、舞が脱ぎ始めた際に、慌ててスマホのカメラを向けたため、街の人間としてあまりに不自然なので拘束されたのだと言う。それ以前から、萩名グループにより疑われてはいたらしい。

映画館のオーナーは、古くて小さい映画館のオーナーである。何代にも亘って細々と運営してきており、『管理社会』の逆風の中でも生き残ってきたらしい。

その方針は、徹底的に政治には逆らわないこと。『管理社会』の際にも安心党に服従し、それによって取り潰しを避けてきた。

古い作品の中にはポルノ的な作品も多く、大っぴらではなく、知る人ぞ知る、という形でこっそり放映していたという。

「我々の生き方は、大っぴらにしてはいけない。こうしてコソコソと、細々と、日陰で静かにやっていくしかないのだ」と映画館オーナーは言う。

けれど楓は、ずっとそんなことでいいのか、と問う。として、これまでずっと温めてきた『とある計画』を映画館オーナーに話す。

これは、劇場として本気で進めようとしていることだ、と告げると劇場オーナーは信じられない顔をしたが、信じたいと思った。こうして、映画館オーナーも、今度こそ本当の仲間となった。


霞さんは「政治関係には触れないようにしなさい、と言ったのに……」と苦言を漏らす。この時点で、映画館オーナーを通じて安心党と深く関係してしまっている。何より、霞さんは全面的に映画館オーナーを信用しているわけではない。その映画館オーナーに劇場としての『とある計画』を知られてしまった以上、もう実行に移すしかない、と判断。

そして、愛生に託す。安全党の党首は愛生の父親なのだから。


霞さんは、状況を説明する。

偽造身分証関連の組織は、自分たちでは触れられない。ゆえに、身元を隠して安全党に情報を漏らし、安全党の人間に探らせていたという。

その情報源は愛生であるとする。愛生父に情報源が自分の娘だと知らせることで、情報の信頼度を上げ、秘匿性を担保する狙いがあった。

愛生もまた実家と折り合いが悪かったが、映画館オーナーのコネクションで会えることになった。が、ひとりでは心細いので、楓にもついてきてもらうことにした。

愛生父は、このような形で娘と再会することに失望していた。まだヌードモデルのような破廉恥なことをしているのか、と。

ヌードは破廉恥ではない、芸術だ、と愛生は訴えるが、愛生父は一笑に付す。愛生は、ヌードは古来より芸術の題材になっている、と主張。愛生父は「芸術と裸踊りを一緒にするな」と美術について語りだす(楓は、この人詳しいな、と思う)。

だが、愛生は「同じにしたい」と劇場の計画を訴える。それは『競技ストリップ計画』だった。

男性客をターゲットとした風俗業としてではなく、女性の、女性による、女性のためのストリップである。踊り子・審査員・観客すべて女性とし、純粋に女性の美しさを追求するものである、と。

しかし、愛生父は「壮大過ぎる理想だな」と一蹴。そして、楓に向けて「キミも裸踊りを芸術などと言うつもりか?」と問う。楓はかつて生活のために自撮りポルノを販売していた経緯から「裸体はわいせつ物、ストリップは性風俗。それが真実。愛生の言っていることは一度も己の身を汚したことのない者の言う綺麗事です」と前置きしたうえで「けれど、私は愛生の言う綺麗事の方が好きです。願わくば、22世紀はそんな綺麗事の方が真実になってほしいと願っています」と愛生父に訴える。

その言葉は愛生父の心に響き「お前たちが自己責任社会の申し子か……」と呟く。そして、「見せてみろ、お前たちの無駄な足掻きを」を告げ、ふたりを帰す。

その後、安心党から提出された新歌舞伎町の経済特区縮小案は撤回された。その後わかったこととして、愛生父はかつて画家を目指していたらしい。だが、ヌードモデルをデッサンしたことで親族から変質者呼ばわりされて筆を折った経緯があった。愛生父の時代は『管理社会』であったことによる悲劇だった。

愛生は少し実家との折り合いが良くなったらしい。

競技ストリップ計画を聞いた映画館オーナーは、自分もストリッパーになることを決意。これまで表現できなかったことを、新競技の設立に合わせて表現するつもりのようだ。

無断で脱ごうとした舞は霞さんから多いに叱られ、一ヶ月の謹慎・出演禁止を申し渡された。それでも、練習だけは欠かさない舞の姿に、楓は人としてはともかく、ストリップ・アイドルとしては一流だと感心せざるを得なかった。

そんな舞に負けたくない、と楓は初めて思った。これまで、どこかストリップに本気になれなかった楓だが、ここからは胸を張って堂々と、本気で取り組むことにした。


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