表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/2

第2話: 僕、あなたの運命の魔銃です。

「ぎゃああああああ~!!!」


風が全身を切り裂くように通り過ぎ、視界に映るのは、遥か下方に広がる地表。木々が緑の絨毯のように広がり、その中へ吸い込まれるように速度を増していく。恐怖で体が全く動かない。


(ん?そもそも、動かせる体なのか・・・?)


魔銃に転生した俺の体はどうなっているのだろう?でも視覚も、風の轟音も聞こえるから、聴覚もある。声だって出せている。


(やっぱり、もうちょっと色々聞いておけばよかったな・・・。)


一瞬そんなことを考えている間に目の前に迫る地表がはっきりと見えた。俺の意識は一瞬白く染まり、地面に激突する覚悟を決めた。


(さすがにこれで死亡することはないよな・・・にしても怖すぎぃ!)


激しい衝撃と共に、俺の身体が地面に叩きつけられた。しかし、予想された激痛は訪れず、代わりに周囲で何かが爆発的に広がる感覚があった。周囲の森が震え、地面が揺れる音が耳に響いた。


「ハハハ・・・。ノーダメージだ」


予想どおりではあったが、それしてもひどい扱いだ。あのお姉さん、今度会ったらヒイヒイ言わせてやろう。まあ、もう会うことはないでしょうけど。

だが、周囲の状況は一変していた。どうやらここは森の中らしい。

夜中の森は、まるで静かな死の森のようだった。その中で、俺の落下地点を中心に小さなクレーターが出来ている。周囲に横たわる魔獣たちの壊滅的な姿だった。巨大な狼のような魔獣や、獰猛な爬虫類のような生物が、無残にも地面に倒れていた。


「俺が…やったのか?」


とその時、頭の中に声が聞こえてくる。


「レベルがあがりました。スキル『浮遊』を覚えました」


同時に頭の中にスキルの発動方法が流れ込んでくる。少し気分は悪いが頭の中に知識が流れ込んでくる不思議な感覚だ。俺は早速スキルを試してみる。


「浮遊!」


俺の体がゆっくりと地面から浮かぶ。どうやら今のスキルレベルではせいぜい2メートルが限界のようだ。

だが、元々の身長が160センチ台だった俺には充分の感動だ。

辺りを見回すと、そこには森の中が広がっており、木々が夜の静寂に包まれていた。

そして倒れた魔獣の傍でへたれこんでいる一人の少女を見つけた。


(キタ――(゜∀゜)――!!絶対アインだ!!)


俺は意気揚々と彼女に近づく。

彼女は細身の体にマントをまとい、銀色の髪が月光に照らされて輝いていた。俺を見つめる青い瞳は美しく、顔立ちははっきりとは見えないが、間違いなく美人だ。でも、なんだか様子がおかしい。時折辺りを見渡し、すごく警戒しているように見える。あれ、これもしかしてあかんやつじゃないか?ここはひとつ気の利いた声かけをしないと。


「や、やあ、お嬢さん。こんな夜中に何してるの?」


「キャアァァァ!じゅ、銃がしゃべったぁぁぁ!」


どうやら失敗したらしい。そもそも前世でも女子とのトークスキルは獲得していない。

彼女の手には弓矢が握られており、俺を狙い定めるように構えている。


「そ、そうか。わかったわ。あなたを使役している魔法使いがいるのね。どこにいるの?」

少女の声は低く、警戒心に満ちていた。でも透き通ったかわいらしい声だ。


「そんなのいないよ。怖がらせちゃってごめんね、アイン。」


「ど、どうして、私の名前を・・・。」


明らかに引いている。今にも泣きだしそうだ。どうやらまたもや失敗したらしい。


「アインなんだね?よかった~。初めまして俺はヒロト。君に会うためにこの世界にやってきた。」


その言葉に、アインは驚いた表情を見せ、恐る恐る声をかけてくる。


「ま、まさか。あなたは伝説のアーティファクト『インテリジェンスウェポン』なの?」


(ん?インテリジェンスウェポン?ああ、自我のある武器ってことか。この世界ではそう呼ばれているんだな。)


俺はアインの言葉をなんとなく理解し、彼女に向けてできうる最大限の返答をする。


「はい。僕、あなたの運命の魔銃です。」

もしも楽しんでいただけましたら、


下にある☆☆☆☆☆で評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ