第8出撃 古のゴールド人参畑
「おお、来たか!! 待っておったぞ」
入口の前に婆ちゃんが待っていた。
「婆ちゃん、なんでここに?」
「ウサギロボの゙エネルギーを探しに来たんじゃろ? もうここしか探す宛もないのじゃろ?」
流石婆ちゃんだ。
年の功なのか、俺達の考えを読んでいたのだ。
「行くぞ」
婆ちゃんは中に入っていった。
先に調べておいてくれたわけではないのか。
少し残念だった。
俺達は婆ちゃんの後を追って中に入った。
「婆ちゃん、何処かに人参あると思う?」
「私も最後の望みでここを提案してみたけど、あるとは……」
晃子も自信なかったのか。
「……もしあるとすればこの奥じゃ」
「えっ? でもそこはただの行き止まりじゃ?」
どう見てもただの行き止まりにしか見えない。
「良く見るんじゃ!! ここだけ壁の作りが違うじゃろ」
良く見てみると確かに作りが違った。
周りは特殊な金属で綺麗な壁が作られているが、ここの壁だけ作りが雑だった。
「亮太、ここを破るのじゃ」
「えっ? 俺?」
「頑張って、亮太」
晃子に応援されたんじゃやるしかない。
俺は壁に向かって体当たりをしてみた。
しかし、ある程度で破れる壁ではない。
数回体当たりを繰り返したが、びくともしなかった。
「やはりダメか……」
分かってたらやらせるな。
「どうしたら開けられるかな? あっ、お婆さん、栽培で使ってる小型トラクター使えないですか?」
小型トラクター?
あんなのでここが破れるとは思わないけど……。
「あれか……、ん〜、やってみるかの」
婆ちゃんはトラクターを取りに行ってしまった。
「いや、流石に無理だと思うんだけど……」
「亮太がダメだったんだから仕方ないじゃない。それとも何かいい案が?」
そう言われると案はない。
俺は黙って待つことにした。
数10分後、婆ちゃんはトラクターに乗り戻ってきた。
「待たせたの」
壁の前でトラクターを止めて降りてきた婆ちゃん。
「あれ? 試さないの?」
「亮太がやるんじゃよ」
「はぁ? なんで? 俺運転出来ないんだけど」
トラクターの運転なんてした事がない。
「大丈夫じゃ、ただ突っ込むだけなんじゃから」
それなら婆ちゃんがやれば良いと思った。
「それとも、こんな荒事を年寄りに……」
「あ〜、分かった、俺がやるよ」
俺は婆ちゃんの言葉を遮るようにしてトラクターに乗り込んだ。
「頑張ってね」
もう破れかぶれだ。
俺は全速力で壁にぶつかっていく事にした。
エンジンをかけ、トラクターが出せる最高速度でぶつかった。
すると、思っていたのと違い、壁は破壊され奥に進む道が確保された。
「やった〜、流石亮太!!」
晃子が喜んでくれているから良かった。
壁の向こうは明かりが来ていないみたいだ。
俺はトラクターのライトをつけた。
そこには小さな畑があった。
「婆ちゃん、これって……」
「うむ、待っておれ」
婆ちゃんは土を調べている。
人参があるか探しているようだ。
暫くすると婆ちゃんが戻ってきた。
「どうだった?」
聞くまでもなかった。
何故なら、婆ちゃんの手には数本の黄金の人参が握られていたからだ。
「何そんの人参、黄金に輝いてるじゃん」
こんな人参は初めて見る。
「見つかったのはこの4本のみじゃ……」
千年も前の畑だ。
4本も見つかったのは奇跡と言えるだろう。
問題はこの黄金の人参がどれくらいのエネルギーを生み出すかだ。
昔の人参なら期待は出来るだろう。
俺達は話し合い、次にエネルギーが切れた後に1本だけ入れてみる事にした。
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