第7出撃 人参探し
毎週月曜日更新中。
人参機神ウサギロボ「第7出撃」です。
『キャロニウムエネルギーチャージ率10%』
「はっ? これだけ人参を入れてたったの10%?」
俺達は人参畑から大量に収穫して流し込んだのだ。
それがたったの10%だなんて……。
「婆ちゃん、どういう事だよ!!」
「……恐らく、人参の質が落ちてるのじゃ」
「人参の質?」
「そうじゃ、この古文書によれば遥か太古の時代、人参こそが神の食料として崇められていたのじゃ、じゃから、人参の栽培には特別な栽培方法を用いられていたようじゃな……」
特別な方法?
「なら、その特別な方法で栽培したら、こいつは復活するのか?」
しかし婆ちゃんは首を横に振った。
「なんでだよ、その栽培方法分かるんだろ? 俺はもう2度と晃子を失いたくないんだ!!」
「亮太……」
晃子は俺の服の端を強く握りしめてきた。
「その栽培方法は分からないのじゃ……何処にも記載されてはおらん……すまぬな……」
『ザザザ、ニュ……ス速……す……』
いきなり落ちていたラジオが鳴りだした。
『突……現れた……巨……ットは……都市……破……し……』
良く聞き取れない。
「とりあえず、家のテレビを見ましょう」
俺達は急いで家に入りテレビをつけた。
『ご覧ください、突如現れた巨体ロボは都市部を中心に破壊の限りを尽くしております。残念ながら出撃した軍隊は全滅したとの報告を受けております』
「そんな軍隊が負けるなんて……」
俺は恐怖した。
さっきまで戦っていたやつらは、軍隊も全滅されたロボットだと知ったからだ。
そんなやつらを相手に、エネルギー不足のウサギロボだけじゃやられてしまう。
『うぁ〜、見つかった!! 助けてくれ〜!! うぁ〜!!』
テレビ番組はカメラが地面に落ち、そのまま映像を映し出していた。
その映像はカメラマンやリポーターをロボットが丸呑みにする姿も映し出されていた。
その後、すぐに画面は切り替わったが、全国にその光景は放送されてしまった……。
「……私もあんなふうに呑み込まれたの……」
晃子は座り込んで聞いていた。
「……ああ、でもお前の事は俺が助けた、これからも俺が守る!!」
「……ありがと……でもあの人達は……」
ウサギロボも動けない、助けに行く事は出来なかった……。
それから2日……。
ウサギロボにスーパーや八百屋にあった人参を片っ端から放り込んでなんとか70%まで回復させた。
その間にもアニマル帝国の無差別破壊は続き、この2日で都市部は崩壊、そこから徐々に勢力を伸ばしながら支配エリアを広げでいるようだ。
この辺りも襲撃を何度も受けている。
人々は逃げ回り、もっと田舎に逃げようとする者でいっぱいだった。
田舎が安全だと言う保証は何処にもないのに……。
この辺りには俺と晃子、婆ちゃんくらいしかもういないんじゃないかと言うくらい人がいない。
俺達はそんなスーパーや八百屋から人参を持ってきたのだ。
もちろんお金はおいてきた。
だけど、もう回収出来る人参がない。
70%あれば、1回くらいは戦闘出来るかもしれないがそこまでだ。
その後、やられてしまうのが見えている。
だから、出撃したくても出来ないでいた。
「ねぇ、ウサギロボがあった場所、もう一度隅々まで調査してみない?」
晃子がいきなり提案してきた?
「……そうだな」
特にあてもあるわけではないが、行ってみようと思ったのだ。
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