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メタモルフォーゼ

作者: 阿片頭梔子

起きてしまった。

そのことを自覚したくなくて、目を閉じてみる。しかし、眠気はとっくのとうに出て行ってしまった。

私の体は地球の重力に勝てない。

食べかけの菓子のごみや読みっぱなしの本、飲みかけの缶ジュースで散らかった部屋を芋虫のように這いつくばりながら自分の部屋のドアを開ける。

親はもう仕事に行ったみたいだ。

私の部屋は二階にある。下に置いてある食事をとりに行くには階段を下りなくてはいけない。

どうしようかな。

…めんどいなぁ。

ここ最近はまともな食事を食べていない気がする。机の上に置いてある、食べかけのカップ麺はおそらく5日前に食べたものだ。後は、部屋にあるお菓子で食いつないできた。

お風呂も一週間くらい入っていない。髪はべたべただ。歯磨きも最後はいつしたっけ。口の中がねばねばする。

…今日は少しだけ頑張るか。

階段まで這いつくばって移動し、転げ落ちるように下へ降りる。少し長い廊下を這いつくばりながら移動して、ダイニングへ向かう。

私の体はどうしてこうなってしまったのだろう。一か月前は二足歩行もできたのに、今では四足歩行も怪しい。

ダイニングテーブルの上には、急いで作ったであろう朝食と置手紙があった。

「今のあなたはちょっと頑張りすぎただけだから。きっとよくなるよ。ご飯は食べてほしいな。あと運動もいいみたい。大丈夫だから。」

ごめんね、お母さん。私は羽ばたけないみたい。

蛹の状態で体を半分に切られてしまったの。自分の体が重すぎてもう、飛べない。

でも、今日は少し飛べる気がする。

朝食を取らず私はお風呂場へと向かった。二足歩行で。


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