星のかけら
今日は 村祭りの日
村祭りでは
一人一つずつのクッキーを作るの。
どんなに沢山食べたくても 一人一つだけ。
少しぐらい大きくても 小さくても大丈夫。
でも 必ず 一人一つだけ。
なぜって?
村祭りの日には 流れ星が村へ墜ちてくるの。
それを掬い上げて クッキーへまぜるから。
そのクッキーは 食べられるのか ですって?
もちろん!
世界で一番に サックサクで あまくて ほっぺたが落ちてしまうくらいに 美味しいのよ。
でもね。
自分では 食べてはいけないのよ。
心の底から 本当に
大好きで 大切で 愛おしい人へ渡すの。
そうでなければ 美味しいただのクッキー。
大切な人へ渡すことで
クッキーの中の 星屑の力が輝くの。
大切な人も 作った自分も まわりの人も みんな みんな 幸せいっぱいな気持ちになるのよ。
心の中に ぶわぁぁぁっと
お花が咲き乱れる感じかしら。
やる気に満ち溢れ
心が前を向き
未来へ向かって 突き進んでいく力が 心の底から溢れてくる感じかしらね。
あっ!
もうすぐ 流れ星の墜ちてくる時間だわ。
クッキーの生地は出来上がる寸前。
流れ星のかけらを掬いに行ってこなくちゃ。
流れ星は 森の奥の湖に墜ちてくるの。
きらきら きらきら
輝き続けて 見ているだけで うっとり。
遠くで 掬いあげた子がいるわ。
まわりにいる子は 輝きを手に 笑顔で帰っていくわ。
私のそばにも こないかしら。
ひときわ輝く 綺麗なかけらが ゆっくり墜ちてくるわ。
手のひらを2つ重ねて もうすぐ もうすぐね。
吸い寄せられるように 手のひらへ入ってきた星のかけら。
美しく煌めき 湖に反射して 輝きが 虹の輪になって広がる。
私の元へ来てくれて ありがとう。
あなたの輝きで みんなへ力を貸してね。
大切に 胸へと抱え 持ち帰る。
家のクッキー生地にまぜ
竈で焼き上げた。
クッキーになっても 煌めいている。
魔法のクッキーね。
大切なあなたへ
沢山の愛を込めてあるわ。
安心して未来へ向かって 羽ばたいてね。
さぁ 召し上がれ。