冷静なキャプテン・ミルク
「はい、どうもありがとうございます。安らぎと癒しのゆきあかり@温泉旅館で御座います」女将のピンク・ゆきあかり@温泉・夢子はバタついたまま黒電話に出た。
「フフフフ」
「はい?」
「フフフフ」
「どちら様でしょうか?」
「宇宙船は燃え尽きたか? フフフフ」
夢子は受話器を押さえた。
「キャプテン・ミルク、駐車場の宇宙船を燃やした男からの電話みたいです!」
皆、ざわめいた。
「夢子さん、電話を引き伸ばしてくれ。納豆をかき混ぜるように、ネバつく様な感じに、何処までも糸を伸ばすようなイメージで黒電話を長く長く引き伸ばしてちょうだい。ジャパンゴールデンウィーク産の納豆をイメージしながら話を引き伸ばせ。俺は黒電話に意識をダイビングさせて逆探知しちゃうから」キャプテン・ミルクは小皿に移した納豆を箸でかき混ぜる真似をしながら言った。
「夢子さん、夢子さん、ひきわり納豆じゃないよ。小粒よりかは大粒の納豆をイメージしちゃって話を引き伸ばして欲しい」とキャプテン・ミルクは慌てて付け加えた。
「分かりました。キャプテン・ミルク、納豆をかき混ぜる時は、カラシを入れるイメージですかね?」
「夢子さん、カラシはダメ。醤油にして」
「ネギは?」
「夢子さん、ネギもダメ。醤油オンリー」
「キャプテン・ミルク、分かりました」
ピンク・ゆきあかり@温泉・夢子はいつになく緊張していた。受話器を持つ手が震えちゃっていた。少し呼吸も荒い。
「おい! 聞いてるか?」
「はいはい、御客様、どの様な御用件で御座いますか?」
「駐車場の宇宙船は燃え尽きたか?」
「いやいや、御客様、宇宙船は燃え尽きてない感じなんですよね~」
「嘘を言うな。ジャム将軍プロデュースの強力なミサイル、『宿便No.4ミサイル』だぞ。かき集められた宿便を糊と接着剤で固め、宿便の匂いを付属の空気清浄機搭載で極限まで和らげて、宇宙初の宿便消臭、宿便による苦痛を緩和した見事な宿便ウンコミサイルなんだぞ。あの宇宙船は木っ端微塵のはずだぞ!」
「御客様、そんな凄いミサイルだなんて知りませんでした」
「だろう?」
「はい」
「木っ端微塵になっていないと知った今、今度は2発目の『宿便No.4ミサイル』を旅館にめがけてブッぱなそうかな~。フフフフ」
「御客様、その宿便No.4ミサイルをトイレの水で流せませんかね?」
「フフフフ。なかなか面白いジョークだけども流せないねぇ。かなり大きなミサイルだからな。ヒッヒヒ」
「御客様、貴方はジャム将軍ですか?」
「違う。名前を教えてやろうか?」
「はい御客様」
「バイブレータもっちゃんだ。ジャム将軍の部下だが所属は秘密」
「バイブレータもっちゃん様、お願い申し上げます。『宿便No.4ミサイル』を私の旅館に打たないでください。お願いします。お願いします」
「どうしようかなぁ~。フフフフ」
「バイブレータもっちゃん様、お願いします、お願いします」
「よし、分かった。監修、製作総指揮はもちろんジャム将軍で別のミサイル『宿便No.5大ミサイル』を旅館に目掛けて発射~!!」
「あー、大変だ大変だ!! 今、2発目のミサイルが発射されました!!」ピンク・ゆきあかり@温泉・夢子はパニックになり、黒電話の受話器を落とした。
話を聞いていたキャプテン・ミルクと椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは走って駐車場に向かうと闇夜を見上げた。
ピンク・ゆきあかり@温泉・夢子はパニックになりながらも女将としての責任感から、麗しの野夏雄と麗しの魔女子夫婦を地下へと安全な場所まで案内した。
工藤・サンセット・まなみはストレッチをするとキャプテン・ミルクと椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキのいる駐車場へと向かって行った。
「ユズキちゃん、まなみさん。ミサイルを封じ込める魔法は使えるのか?」キャプテン・ミルクは必死になって闇夜を睨んでいた。
「『バルゴインズギム』というバリアーが使えます。私の使えるバリアー系の魔法では最高になります」と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは声を震わせながら勇気を出して言った。
「私は『強冷壁』というバリアーが使えます。比較的高度なバリアー系の魔法です」と工藤・サンセット・まなみはオチャラケなしでクールに言った。
「素晴らしい。どちらも優れた魔法だ。『宿便No.5大ミサイル』は北の方角から3分後に旅館に向かって飛来する。ユズキちゃんとまなみさんなら完全に食い止められる。ここを任せても大丈夫かな? 俺は逆探知が成功したから、バイブレータもっちゃんとかいうサイコパス野郎を消してくる」キャプテン・ミルクは旅館の窓を見上げた。
愛星・サマー・えりかがキャプテン・ミルクを見つめていた。
「あのう、すいません」と声がしたのでキャプテン・ミルクは振り返るとブルーバードAYAがいた。
「キャプテン・ミルク、何か大変な予感がしまして」とブルーバードAYAは言って皆と同じく闇夜を睨んだ。
「強力なミサイルが撃ち込まれた。あと2分足らずで旅館に飛来する。ブルーバードAYA、バリアー系の魔法は使えるか?」キャプテン・ミルクは冷酷な冷たい眼差しをブルーバードAYAに向けて言った。
キャプテン・ミルクの強いオーラを感じて寒気を覚えたブルーバードAYAは黙って頷くと魔法の呪文を唱え始めた。
「よし、任せたぞ」とキャプテン・ミルクは言って瞬間移動で消え去った。
☆続いちゃう☆
いつも読んでくれて、ありがとう!




