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200ヘンドリモンドリ

  挿絵(By みてみん)


 一方、混浴温泉惑星の安らぎと癒しのゆきあかり温泉旅館では。

 

 愛星・サマー・えりかとブルーバードAYAと椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキがブルーバードAYAの部屋で女子会というのかな、女子トークに夢中になっていて賑やかだった。

 

 「ブルーバードAYAちゃん、椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキちゃん、さっきのさぁ、旅館の1階の奥にあるコンビニエンスチュトアンデチュ(説明しよう。「コンビニエンスチュトアンデチュ」とは、20世紀から23世紀までEARTHで流行っていたコンビニエンスストアの子孫だ)の『朝から晩まデイ』の店員さん、かなり強烈に凄かったよね?」と愛星・サマー・えりかは言って袋からジュースを取り出した。

 

 「あのパンチパーマのおばちゃんでしょ? 迫力があって、図体がかなりデカイおばちゃんだったよね」とブルーバードAYAは言って両手を広げて大きさをアピールした。

 

 「背が178センチくらいはあったかもね。あのパンチパーマのおばちゃん、帰り際に大量のミカン味のアメちゃんを無料でくれて凄く優しいですよねぇ~」と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは言ってミカン味のアメちゃんを口に入れた。

 

 「ねぇ、AYAちゃんって呼んでもいい? ユズキちゃん、と呼んでも大丈夫かな?」と愛星・サマー・えりかはすっかり打ち解けた2人に対して名前で呼ぶ事のお願いをした。

 

 「いいよ。光栄です。逆に私もえりかちゃんって呼んでもいい?」とブルーバードAYAは照れ臭そうに言うと、飲み掛けの『決して略さないで。略されると私自身が蔑ろにされた気分になるから。ナーバスはいやん。ウフフフフ。私ね、ストロベリー&ラズベリー&ブルーベリー&梅&酢&シュガー・ラムネジュースでぇーす』という略さないでシリーズという商品のジュースを飲み干した。

 

 「ウヒヒヒヒ。ユズキちゃんだなんて。嬉しすぎて照れちゃうよ。是非とも、そう呼んでくださいな。ありがとう。えりかちゃん」と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは言うと飲み掛けの『私は略して。私ね、酢っす』という、略してシリーズという商品の健康飲料を飲み干した。

 

 『私ね、酢っす』の正式名称は『伝家宝刀・一家相伝・秘術から魔術から魔法から抽出された黒酢をメインにした梅酢が遂に誕生しちゃったわん。ブハッ。開発してくれて本当にありがとうだっちょん。いつも美味しく頂いていまっすん。ありがとうございまっすで酢。私ね、酢っす』というのだ。(説明しよう。最近、若いギャルのあいだでね『略さないでシリーズ』と『略してシリーズ』というイカれたネーミングの商品、飲料水が流行しちゃっているのだ。

 

 この長ったらしい商品名の飲料水にはルールがある。買う時には、略さないでシリーズの場合は略さないで買わないといけないのだ。もし略したら、とあるコンビニエンスチュトアンデチュで一生懸命に働いているパンチパーマのおばちゃん店員に「あんたには売りません。おとといきやがれ」と言われるのだい。言われたら絶対に買えないのだい。

 

 逆に略してシリーズの飲料水は略さないと買えないのだ。長い正式名を言ったら買えないのだ。

 

 一体、何処の会社から販売されているイカれた商品なのかというとだね、皆さん、御存知、あの歴史的老舗『父の乳と母方の祖父の乳株式会社』なのだった。

 

 久しぶりのヒット商品に利益がアップして経営が順調だそうだ。『父の乳と母方の祖父の乳株式会社』忘れられない会社だよね。色々あったからねぇ)

 

 愛星・サマー・えりかは嬉しそうに笑うと、飲み掛けの略さないでシリーズの方の健康飲料『コラッ! 毎朝毎朝、家のピンポンダッシュをしているナメた生意気なクソガキはお前だな! お前、何年生だ? なんだって!? 小学3年生だ? てめぇコラッ! 人が話しているのにヘラヘラすんな! 怒られている時にな、ヘラヘラする態度を見たらな、おじさんな、頭にきてマジでキレるぞ! 人をおちょくるな! おじさんな、女、子供、アホなガキには容赦しないって有名なおじさんなんだぞ。二度とヘラヘラすんなよ! ナメた態度だと骨盤を蹴るぞ! 謝れ。謝ったら許す。ほら早く謝れよ。おい、それ、両手に持っている2本の缶ジュースはなんだい? 「コンポタージュ」と「焼きとうもろこしジュース」を合わせた「コンポタージュ焼きとうもろこしの不純なMIXジュース」だって!? 美味しそうじゃねぇかよ。おじさんにくれよ、と、説教中のおじさんがねだったコンポタージュ焼きとうもろこしの不純なMIXジュース』を飲み干した。

 

 この飲料水もだ、もちのろんで、販売している会社は『父の乳と母方の祖父の乳株式会社』だった。

 

 実は愛星・サマー・えりかたちが買った略さないでシリーズと略してシリーズの健康飲料は、安らぎと癒しの雪あかり温泉旅館の1階奥にあるコンビニエンスチュトアンデチュの「朝から晩まデイ」で、一生懸命に頑張って働いている健気なパンチパーマのおばちゃんから商品を略さないで言って買った品物だったのだ。

 

 この突如現れた謎のパンチパーマのおばちゃんは、『父の乳と母方の祖父の乳株式会社』の専属契約で働いているパンチパーマのおばちゃんだ。全宇宙の各惑星でたくさんのパンチパーマのおばちゃんたちが働いていて、それぞれのルールに基づいてパンチパーマのおばちゃんたちの許可がなければ絶対に絶対に買えないという極めて厳しいシステムとなっているのだ。

 

 ちなみに、安らぎと癒しの雪あかり温泉旅館で働いているパンチパーマのおばちゃんは混浴温泉惑星から800億キロ離れた「かかあ天下惑星」から電動式ロケット自転車に乗って毎日出勤しているのだ。

 

 「あのパンチパーマのおばちゃん、凄く頭にパンチパーマが掛かっていたよね」と愛星・サマー・えりかは言って頭に小さなクッションを乗せてパンチパーマを表現した。

 

 「パンチパーマなんて凄いいにしえのヘアスタイルなはずだよね。最近のギャルはヘアスタイルに詳しいからパンチパーマは知っているけど。あのおばちゃん、どこでパンチパーマを掛けたんだろうね?」と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは言って首をひねった。

 

 「結構、混浴温泉惑星は美容が流行っているので、専門店があったりするんですよ。パンチパーマもこの辺りの温泉街で掛けたと思うよ」とブルーバードAYAは言って髪をかきあげた。かきあげた瞬間にブルーバードAYAから甘く魅惑的な香りがした。

 

 「あっ、ティシュペーパーが切れたわ! 「朝から晩まデイ」にあるかな? ちょっと買ってくるね。寛いでいてね」とブルーバードAYAは言って立ち上がると部屋から出ていった。

 

 「AYAちゃん、いってらっしゃ~い」と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは玄関のドアを開けて声を掛けた。

 

 「ユズキちゃん! あの宇宙船! 少しずつこちらに向かってきているわ!」と部屋の中から愛星・サマー・えりかが叫んだ。

 

 「え~っ!! ウッソ~!!」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは窓際までスライディングをしてから素早く立ち上がると窓の外を見た。

 

 本当にバカデカイ宇宙船がゆっくりと忍び寄っていた。一時停止したかと思うと、またゆっくりと向かってきた。

 

 「こりゃヤバイわ!! 私、キャプテン・ミルクの所に行ってきます!!」と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは言いながら玄関のドアを開けて出て行った。

 

 愛星・サマー・えりかは睨み付けるようにしてバカデカイ宇宙船を監視していた。

  

  

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 「あらま、いらっしゃい。買い忘れ?」1階の奥にあるコンビニエンスチュトアンデチュ『朝から晩までデイ』に勤めるパンチパーマのおばちゃん店員さんはブルーバードAYAに言った。パンチパーマのおばちゃんは靴下を補充している所だった。

 

 「ティシュペーパーが切れちゃって。ありますか?」ブルーバードAYAはパンチパーマのおばちゃんに言うと財布を取り出した。

 

 「文房具の場所の向かい側の棚の一番下にティシュペーパーがあるわよ。ちょっと待ってな。アタシが取ってくるよ。よっこら、せのせの、よっこらせ。あたたたたたたた」とパンチパーマのおばちゃんは言って右膝をさすりながら立ち上がった。

 

 「右膝の皿に水が溜まってさ痛いのよ。本当に参ったわよ。病院に行くなら整形外科だよね?」とパンチパーマのおばちゃんはブルーバードAYAに言って右膝を見せた。

 

 「たぶん、そうだと思います」ブルーバードAYAは頷いた。

 

 「おまけに、最近、痔の調子もパッとしなくてさ。痔は肛門科だよね? 外科かな?」とパンチパーマのおばちゃん言って自分のお尻を叩いた。

 

 「そうですね」とブルーバードAYAはパンチパーマのおばちゃんの下半身に目を移した。

 

 「アタシね、若い頃から今に至るまでね、『東区北方面ジャイジャイダンス』と『盆踊り』をデスコで朝方まで踊るのが趣味の1つなのよ。週に3回デスコに通っているの。お姉ちゃんはデスコに行った事あるの?」とパンチパーマのおばちゃん言うと右膝の痛みを堪えて『東区北方面ジャイジャイダンス』を踊ってみせた。

 

 「わぁー、スゴい!! 上手いんですね!! 私はディスコに行ったことないです」とブルーバードAYAは初めて目の前で『東区北方面ジャイジャイダンス』を見れて感激した。

 

 「あたりきしゃりきよ。アタシはね、若い頃、美女コンテストの『ミス・マーメイド大会』でダンスを披露して優勝したし、ダンス・コンテストの『ミス・東区北方面ジャイジャイダンス・スペースワールド・カップ』でも優勝したし、一般的なダンス・コンテストの『ミス・ダンス競技会』でも優勝しちゃってるからね、ダンスはピカイチなのよ」とパンチパーマのおばちゃんはパンチパーマから汗を振り飛ばして踊り続けた。

 

 「それで右膝が痛いんですね?」とブルーバードAYAは手拍子しながら言った。

 

 「痔もね」とパンチパーマのおばちゃんはカッコいい声を出すと東区北方面ジャイジャイダンスを止め、魅惑的な眼差しでブルーバードAYAを見つめた。

 

 「アタシね、ダンスをしている時、いつも肛門に力を入れっぱなしだったから……。でも後悔はしていない。これからはね、早めに病院嫌いを直してから早めに痔を治したい気分なんだぁ。イボ痔と切れ痔がコンビネーションで踊っている状況が辛くなってきたからね」とパンチパーマのおばちゃんは言ってティシュペーパーを取りに行くとブルーバードAYAに渡した。

 

 「はい、200ヘンドリモンドリです」パンチパーマのおばちゃんはブルーバードAYAからヘンドリモンドリを受け取ると「毎度あり」と言った。

 

 「お姉ちゃん、あと5分遅かったらティシュペーパーは買えなかったわよ」とパンチパーマのおばちゃんは言った。

 

 「何でですか?」

 

 「アタシね、就業時間が終わりだから。店も明日の夕方まで閉めるって話だし。何だかね、レジの調子も悪くてね、業者が来てね、新しいレジにね、するって話よ。本当にあと5分遅かったら買えなかったわよ。帰る寸前だったの」パンチパーマのおばちゃんに笑顔が浮かんだ。

 

 「買えて良かった」とブルーバードAYAも笑い返した。

 

 「お姉ちゃん、アレでしょ? ブルーバードAYAちゃんでしょ?」とパンチパーマのおばちゃんは言った。

 

 「知っていましたか」ブルーバードAYAは頭を掻きながら照れくさそうに言った。

 

 「もちろん。知っていたわよ。アタシはね、麗し野・魔女子うるわしのまじょこです」とパンチパーマのおばちゃん改め、麗し野・魔女子は言った。

 

 「ということは、麗しの野・魔女子さんは魔法も使えると?」ブルーバードAYAは強烈なパンチパーマと名前が一致していなくて笑い掛けたが慌てて気持ちを正して言った。

 

 「大したことはないけどもね」とパンチパーマのおばちゃん、いやいや、麗しの野・魔女子さんは言った。

 

 「そろそろ迎えが来るからドロンしますよ」と麗しの野・魔女子さんは言って店の奥に消えた。

 

 

 

 

  ☆続いちゃう☆

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