ジャム将軍の才能
「マツタケボウヤよ、ジャムはね、ジャムはね、猛烈より更に猛烈に怒りましたよ。今回ばかりは絶対に許さんべ!! キャプテン・ミルクがどんな奴なのかは知らんがね、ちょっと少し待て」とジャム将軍は言って回転式玉座を机の前に滑らせると引き出しを開けてペンとノートを取り出し何やら一心不乱に書き始めた。
20分後
「出来たでよ!! 我ながらに名文だよな。ぶはっはははは。名久田川賞(説明しよう。「名久田川賞」はジャパンゴールデンウィークの芥川賞を真似て作られた宇宙文学界最高峰の文学賞のことだ。名久田川壮漏という作家が作ったのが名久田川賞だという話だよん)も獲得だな。マツタケボウヤよ、声に出して読め!!」ジャム将軍はノートをマツタケボウヤに渡した。
「はい。で、では早速、よ、読ませて頂きます」マツタケボウヤは震える手を押さえるのに必死だったがノートに書かれたものを読み始めた。
『ふははははは。おい、キャプテン・ミルク! 貴様、ナメとんのかいな! えっ!? この野郎! ふはははははは。ジャム将軍だ。ふははははは。わしはな、スゴいデカイんだぞ。とにかくデカイんだ。ふははははは。貴様よりもな、デカイんだぞ。どうだろう? ビビったか? どうだろう? 凄いべ? どうだろう? ジャム将軍はめちゃめちゃ凄いべ? ふははははは。デカイんだわ。堪らなくデカイ。仰ぎ見るようにそそり立っているんだぞ。ふははははは。おい、キャプテン・ミルク、参ったか? 降参したか? この野郎! テメェ、この野郎! ふははははは。いつか必ず泣かしてやるからな! 謝ったって許さないからな! ふははははは。恐ろしいだろう? それがジャム将軍の性質であり性格なんだよ。ばーか、ばーか、ばーか、ばーか、キャプテン・ミルクのばーか。お前をやつけてやる。必ずお前をぶっ倒す。ふははははは。泣け喚け! そしてほざけ! ふははははは。どうだろう? 勇ましいか? ジャムは勇ましいか? なめとんのかいな! この野郎! テメェ、この野郎! なめんなやな! デカイ奴が凄いんだぞ! デカイとな色々と役立つし回復力が早い。相手にヒーヒー言わせて初めて一人前なんだぞ! ナメとんのかいな! キャプテン・ミルクよ、わてをなめとんのかいな! ナメんな! ふははははは。 悪の大王、または悪の貴公子、ジャム将軍より』
マツタケボウヤは幼稚園児よりもヘタクソな文章に恐れを抱きつつ呆れ果てていたがジャム将軍が怖いから黙ってやり過ごした。
「どうだろう? マツタケボウヤ、名久田川賞だろう?」
「ジャム、ジャム、ジャム将軍、これは間違いなく名久田川賞を獲得できますよ。素晴らしい手紙です。文学的な手紙であり、芸術的な手紙です。映画みたいな物語性の高い手紙ですよね。大宇宙文化遺産に登録されるほどの価値がある偉大な手紙だと思います」マツタケボウヤは心の中で『そんなわけあるかっちゅーに!!』と否定していたがジャム将軍が怖いから黙ってやり過ごした。
「そうかそうか。ふはっ、ふはっ、ふははははは。ワシはな、昔、作家になりたくてな、通信講座で小説の書き方を受講していたんだ。誰にも言うなよ」ジャム将軍は引き出しを開けて通信講座の添削を出した。
「通信講座の花山先生の言葉を読むから聞けよ。『なかなか難しいというのが本音です。よく分からない内容の物語でした。難解なストーリーに作家としての可能性があるかと問われたらクエスチョンと言いたいところです。ジャムさん、早めに受講料を支払ってください。 花山より』とな。どうだろうマツタケボウヤよ、どうだろうか? 先生をも悩ます魅惑的な小説だという事が分かったかな?」ジャム将軍は通信講座の添削をマツタケボウヤに渡した。
「素晴らしいです! これほどの才能をお持ちなのにどうして作家の道を断念したんですか?」マツタケボウヤは心にもないデタラメを言ってジャム将軍を持ち上げる事にした。そうでもしないとジャム将軍が怖くて怖くて。
「まだ作家の道を断念しとらん。今も文章修行をしているんだ。近々、別の通信講座を受講する予定だ」ジャム将軍は通信講座にこだわっていた。
「それは素晴らしい!」マツタケボウヤは拍手をしてジャム将軍の気分を盛り上げた。
「マツタケボウヤよ、さっき書いたワシの素晴らしい手紙をだな、今からキャプテン・ミルクに渡してこい!」
「えっ!? い、今からですか?」
「そうだ、今からだ」
「うーん」
「どうした? マツタケボウヤ?」
「ジャム将軍、それだけは止めておくべきです」
「マツタケボウヤよ、なせだ?」
「ジャム将軍、大宇宙の歴史に残るほどの素晴らしい手紙、一級品の手紙、魅力的な手紙をですよ、簡単に敵に差し出せば2度と戻る可能性は無いですし、キャプテン・ミルクがジャム将軍の才能に嫉妬したり妬んだりして偉大な手紙を破るか、金儲けのために売られるかもしれませんよ。止めておくべきです! 貴重な手紙なんですから絶対に絶対にね!」とマツタケボウヤ言ってから思った。
『今から渡しに行くのは面倒くさいってば。ダルいんだよ。第一あんなもん渡せるかって、話だよな。恥ずかしい。ジャム将軍が怖いから黙ってやり過ごしたい』
「なるほど。ワシの才能には文学界の歴史を変えたり動かすほどの力がある、それほどの価値があるという事なんだな?」ジャム将軍はご満悦で言った。
「ジャム将軍、さすがです。まさに、その通りで御座います」マツタケボウヤは拍手をしながら言った。
「よし、わかった。ワシは今からひとっ風呂浴びるから、マツタケボウヤはムササビジュニア号の地下にある独房に行け」
「えっ!? 何故ですか?」
「ワシの命令に背いただろう? 混浴温泉惑星にいろと命令したよな? 理由はどうあれ命令を聞かなかった者は独房に2週間居なくてはならない。お前ら、マツタケボウヤを連れていけ!」ジャム将軍は5人組の悪い奴らと認定したボディーガードに言うと、机の引き出しからタオルとシャンプーと石鹸とバスタオルと歯ブラシと歯みがき粉を持って浴場に向かった。
☆続いちゃう☆
愛星・サマー・えりかちゃんのクリスマス・イラスト・ポスターは、しばらく載せます!50世紀の大宇宙ではクリスマスは半年間も続くのです✴️