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スクープ!

  挿絵(By みてみん)


 ワン・カット・イン・武蔵はチョコレート・ルルルル・ルンを拾ってタンコブ桃子の元に戻ると老齢の警備員に向かって何度も頭を下げて愛想笑いを浮かべた。

 

 「で、お姉さん、他に質問はあるのかい?」

 

 「ワン・カット・インさん、愛星・サマー・えりかちゃんの居場所について何か知りませんかね?」

 

 「まだよく分からないけどもさ、たぶんね、えりかちゃんはプレッシャーを感じて消えたんじゃないのかな? デビューして直ぐに爆発的な人気者になっちゃったじゃない? ファンクラブの数を知ってるかい? 50億人近くもいるんだぜよ。プライベートも制限されているだろし、休みも無いだろうからね。もの凄いストレスにさらされて潰されたんだろうね。あのバカなプロデューサーにセクハラされて、もうね、全てがいっぱいいっぱいなんじゃないのかな。酷な話だけどもね。まあね、僕としては、えりかちゃんの失踪については別の違う見解を持っているからさ、その見解を信じたいという気持ちでいるんだよね」

 

 「ワン・カット・インさん、さっきですね、発揮胆管助はっきたんかんすけさんはですね、『えりかちゃんはオペペン・ドール・スタジオに居る』と言っていましたが?」

 

 「ははは、アイツはバカだからね、そんな単純な話じゃないんだよなー。アイツはバカだからさ、バカな事しか言えないんだわ。だってアイツ、進次郎並みにバカだからね。居るかもしれないけど居る理由や目的を把握しないとさ。レコーディングとは違ったもの、そこを読まないアイツは本当にバカだろう? アイツは本当にバカだよな、ははは」

 

 「ワン・カット・インさんが言う、えりかちゃんがここのスタジオに居るかもしれない理由と、あと他に何か心当たりありませんかね? 知りませんか?」

 

 「うーん、ある人から聞いた話なんだけどもね、えりかちゃん、恋人と駈け落ちしたんじゃないのか? という話とね、えりかちゃんがここのオペペン・ドール・スタジオに居るかもしれない新たな目的や理由についてはね、このスタジオの屋上でシークレットライブをするんじゃないのか? という話があるんだよね~」ワン・カット・イン・武蔵は双眼鏡でオペペン・ドール・スタジオの屋上を見ていた。

 

 「えりかちゃんがここの屋上でライブですか!? だったら私も見てみたいです!」

 

 「だろう? 念のために僕は昨日の昼から、こうやって屋上を見ているわけさ」ワン・カット・イン・武蔵は双眼鏡をタンコブ桃子ちゃんに渡した。

 

 「今の所は何も動きがないけどね。実はね、極秘だけどもね、僕は、えりかちゃんの居場所を2つほどに絞り込んで特定しつつある」ワン・カット・イン・武蔵はリュックサックから若草ジュースを出して飲み始めた。

 

 「えっ!? 何処ですか?」

 

 「1つはオペペン市にあるエステティック・サロンに行っていて泊まり込みで全身ケアをしているという説」

 

 「エステティック・サロンですか?」

 

 「うん。えりかちゃんの学生時代の親友がエステティック・サロンの経営者でね、久しぶりの再会を兼ねて泊まり込みしてエステティック・サロンの全身ケアを受けているみたい」ワン・カット・イン・武蔵は自信あり気に言った。

 

 「そのエステティック・サロンは何という名前ですか?」

 

 「『エッセンシャル・タマ子ちゃん』だったかな。オダチン・コラチン・恋して・タマ子さんという方がえりかちゃんの親友なんだよ」

 

 「初耳です。後で調べてみますね。ワン・カット・インさん、もう1つは何ですか? あっ、これ、ありがとうございます」タンコブ桃子ちゃんは双眼鏡をワン・カット・イン・武蔵に返した。

 

 「もう1つはね、海が好きなえりかちゃんの事だからね、近場の海でキャンプをしているんじゃないのかなという説」

 

 「確かにえりかちゃん、海が好きだと言っていましたよね」タンコブ桃子ちゃんはメモ帳を取り出して『エッセンシャル・タマ子ちゃん』、『オダチン・コラチン・恋して・タマ子』、『海へキャンプ』と書いた。

 

 「おい! あんた、そんなデタラメ聞き捨てならないなぁ。ナメんな!!」突然、若い女が現れた。

 

 「何だとクソガキ!?」ワン・カット・イン・武蔵はキレて若い女の襟首を掴んで揺すった。

 

 若い女はワン・カット・イン・武蔵の手をひねり上げると全身黒タイツを脱がそうとした。

 

 「うわー!! 止めろ、止めれ、止めれやな!!」とワン・カット・イン・武蔵は全身黒タイツが腹部まで晒された。

 

 「うわー!! 怪しげで変なウィルスが!! 怪しげで変なウィルスが!! もし僕が怪しげで変なウィルスに感染したらマズイなぁ!! 本当に怪しげで変なウィルスはマズイからなぁ!!」とワン・カット・イン・武蔵は叫んで全身黒タイツを着ようとしたが若い女は脱がそうとした。

 

 2人は激しい取っ組み合いになっていた。

 

 「全身黒タイツを脱げや!! 気色悪いんじゃボケ!!」と若い女は怒鳴った。若い女の言葉遣いがなっていなかった。

 

 「あんた、誰よ? 突然、来て、何なの? あんた何なの? 女だからってな甘くしないからな!!」とワン・カット・イン・武蔵は叫んで若い女の頭を殴った。

 

 「痛い!! テメェ、女を殴ったな?」若い女はワン・カット・イン・武蔵のおでこをグーで殴った。

 

 「桃子ちゃん、桃子ちゃん、面白いスクープだ、面白いスクープ。ちょっと下がって下がって!!」とカメラマンのアカスリー・産夫うぶおさん(57歳)が言ってカメラを構えると喧嘩の撮影を始めた。

 

 「痛い!! テメェ、頭にきた!!」ワン・カット・イン・武蔵は若い女のおでこを殴り返した。

 

 「痛いー!! これでも食らえ!!」若い女はポケットから石を出してワン・カット・イン・武蔵のおでこを殴った。

 

 血が吹き飛んだ。

 

 「痛いー!! 僕の血が漏れている!! 可哀想な僕の赤血球と白血球!! 頭にきた!!」ワン・カット・イン・武蔵は若い女から石を奪い取ると、若い女のおでこを力いっぱいに殴りつけた。

 

 「痛いー!! よ、よ、よくもやったな!! 覚えてろよ!!」と若い女は言って、おでこから血を吹き飛ばして「にょえーーい!! にょえーーい!! アイツを許さないからにょえーーい!!」と叫びながら走り去っていった。

 

 タンコブ桃子ちゃんとカメラマンのアカスリー・産夫さんは照明係と桃子ちゃんのマネージャーを置いて走って若い女を追い掛けたが途中で見失ってしまった。

 

 タンコブ桃子ちゃんとアカスリー・産夫さんがワン・カット・イン・武蔵の元に戻ったが姿はなかった。

 

 「白色トマトさん、以上で現場からのリポート取材を終わります」VTR明けにタンコブ桃子ちゃんは言った。

 

 「桃子ちゃん、若い女の追跡は失敗したようですが、何か若い女についての情報はあるのですか?」白色トマトは前のめりになって話していた。

 

 「すみません。残念ながら全くないです」

 

 「桃子ちゃんたちの、このスクープ映像を切っ掛けに何か情報提供があるかもしれませんので視聴者の皆様、是非ともよろしくお願いいたします。桃子ちゃん、愛星・サマー・えりかちゃんの所在についての情報が錯綜としていることがVTRを見て改めて分かりました。1オペペン・ドール・スタジオにいるらしい。2オペペン・ドール・スタジオの屋上でシークレットライブをする。3恋人と駈け落ち。4海にキャンプへ行った。5親友が経営するエステティック・サロンに泊まり込みでケアをしている。という話が出てきましたが、桃子ちゃんは取材を通してどう思われましたか?」と白色はくしょくトマトは噛まずに言った。

 

 「全く分かりませんというのが正直なところなんですが、ワン・カット・イン・武蔵さんが言っていた『エッセンシャル・タマ子ちゃん』の経営者、オダチン・コラチン・恋して・タマ子さんという方が気になり、確かめましたが実際する人物でした。わたくしはこのオダチン・コラチン・恋して・タマ子さんに電話取材を申し込みましたが、残念ながら断られてしまいました。白色トマトさん、わたくしとしては、愛星・サマー・えりかちゃんは、親友が経営するエステティック・サロン『エッセンシャル・タマ子ちゃん』に宿泊しているのではなかろうかと思っております」タンコブ桃子ちゃんも、さすがプロフェッショナル、噛まずに話した。

 

 「あっ! 桃子ちゃん桃子ちゃん! 今、視聴者からですね、コメントが届きましたので読ませて頂きます。『えりかちゃんはねー、「アリアムズラン」という街にある「パーフェクト・レッド・サウンド・スタジオ」でレコーディングをしていたんだよー。「オペペン・ドール・スタジオ」じゃないよー。「パーフェクト・レッド・サウンド・スタジオ」にねー、今もスタッフが7名ほど滞在しているんだよー。つまりねー、VTRのインタビューで話していた男の人たちは勘違いしているんだよー。あとねー、襲いかかった若い女の人の事だけどもねー、あれわねー、あの若い女性はね、私、知っているよー、ウフフフフ。あの若い女の人はね……私だよー。私がえりかちゃんの1番のファンなんだよー』という、ちょっとかなり怖いコメントが届きました。桃子ちゃん、どうします?」白色トマトは焦り気味に話していた。白色トマトは愛星・サマー・えりかちゃんの失踪事件で大宇宙全体が揺れてるのを強く肌で感じていた。えりかちゃんの身に何か起こったのかもという一抹の不安に心が支配されてもいた。

 

 「白色トマトさん、わたくし、そちらに帰還致します。本当に疲れ果てました。かなり疲れました」

 

 「分かりました桃子ちゃん。直ぐに帰還してください。桃子ちゃん、取材、ありがとうございました。お疲れ様でした」白色トマトはねぎらうように優しく話した。

 

 

 

 

   ☆続いちゃう☆

 

  挿絵(By みてみん)

どうもありがとうございました。読者の皆様、良い御年を迎えてくださいませ。

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