自分で考えろ
「キャーーーーーッ! キャプテン・ミルク、すみません、一旦、スタジオに御返ししまーす!」と只今、悲鳴を上げました椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは、使用中のテレパシーが完全にノイズだらけになってしまい一気にテレパシーの方向性がブレてしまった。
『ユズキのぉ~♪ オリジナル魔法シリーズ♪ テレパシーの巻~ぃ♪ No.5 もしもすぅアタス』というテレパシーの魔法だ。(説明しよう。「もしもすぅアタス」はサラウンド機能とライヴホニック機能という広がりのある鮮明かつナチュラルな音を実現したテレパシーなのだい。ユズキちゃんはオリジナル魔法を開発するのが趣味でもあり得意なのだい)
「ユズキちゃん、スタジオって何さ!? なんのこっちゃ? ニュース番組かラジオ放送の真似かい? ユズキちゃん! 今からそっちにね、俺がぶっ飛んで行くから、待ってなさいよ! ユズキちゃん、今、旅館の何階にいるのよ?」キャプテン・ミルクは慌てて走って大宇宙警察署の玄関先に行き外へ飛び出ると空を見上げた。
「プーッ、プーッ、プーッ、プーッ、プーッ」
「あららら、ダメだわ。ユズキちゃんのテレパシーが切れたわい。クソッ!」(説明しよう。50世紀のテレパシーが切れる時の音は黒電話を完全にモチーフにしているのだ。もう一度、黒電話を普及させるべきだと思うし黒電話をリバイバル、人気再燃すべきだと強く思うんだよね。ダイヤル回してあの娘の家に掛けてさ、彼女のお母さんが出た時の恐怖ったらないよね。しどろもどろになるし一言も発せられずに、こちらから掛けてこちらから思いっきり黒電話を切るというね、勝手に掛けてイタズラ黒電話気味みたいになっちゃったりしちゃってね。皆、黒電話をナメたらダメだぞい。
あとよう、「毎回、逆探知を失敗するから黒電話は嫌なんだよなー」と言ってね、黒電話を避けたり嫌いにならないで欲しいのよ。
黒電話はね、あえて逆探知を失敗しにいっているの。プライベート、プライバシーの侵害をしたくないと黒電話は自らストライキしていたわけなのさ。権力に立ち向かう姿勢を見せたかったというのもある。結局はね、黒電話は糞真面目すぎるからね、いっぱい犯罪者を野放しにしてしまった苦い経験を得てきたわけよ。失敗から学ぼうとする黒電話をナメたらダメ。立ち上がろうと努力する黒電話をナメたらダメだよ)
「よし、安らぎと癒しの雪あかり温泉旅館まで『かっとぶっ飛ぶ君』だ!!」(説明しよう。「かっとぶっ飛ぶ君」はキャプテン・ミルクが編み出したテレポート魔法で、最速の速さでテレポート出来ちゃう魔法なのだ。わずか2秒で行き先にテレポートが出来ちゃう。本当はね、1秒くらいでね、テレポートしたいみたいだけどもね。キャプテン・ミルクのことだから将来的にはもっともっと速くなると思うし、そうなって欲しいなぁとも思う)
「よーし、行くぜ! カットぶっ飛ぶ君~!!」
「チンッチラリーン!
チッチッチッ
チンッチラリーン!」
(説明しよう。キャプテン・ミルクのテレポート魔法「カットぶっ飛ぶ君」は飛ぶたびに「チンチラリーン! チッチッチッ、チンチラリーン!」と音がなる仕組みになっているのだ。もちろん、消音機能も付いているよ。
昔、20世紀頃、ジャパンゴールデンウィークでトラックという荷台付きのCARで石焼き芋を販売していたという話を聞いた事がある。「いしや~き~い~も。おいもっ。ほっかほっかのおいもだよ」という音声を鳴らしながら焼き芋を販売していたそうだ。キャプテン・ミルクもその話を聞いたようで真似したくなったようだ。それで「カットぶっ飛ぶ君」に音声機能を付け足しというわけだ)
キャプテン・ミルクはあっさりと安らぎと癒しの雪あかり温泉旅館の1階のフロントに着いた。
「ユズキちゃん! ユズキちゃん! 何処に行ったんだ!? ユズキちゃん! ユズキちゃん! 何処にいるのか返事してくれ!!」キャプテン・ミルクは焦った。窓の外を覗いてみると、確かに雲に隠れてバカデカイ未確認飛行物体が停泊していた。
後部にバカデカイ旗を立てていて、窓からバカデカイ人影が行ったり来たりしていて、バカデカイサーチライトを付けたり消したりしていて、バカデカイ音を出しながら着陸しようとしては再び浮揚して、バカデカイ人影が窓を開けて旅館の様子をバカデカイ双眼鏡で覗こうとしていた。
人影は双眼鏡でキャプテン・ミルクを見つけると慌ててしゃがみ込んだ。
「あいつ、たぶんバカだな」とキャプテン・ミルクは呟いた。
アホみたいな形の未確認飛行物体に乗船している人影は未確認飛行物体内の明かりを全て消した。が、お月たん(説明しよう。「お月たん」はお月さまの文通相手だ。かれこれ3年間も文通をしているが、まだ会ったことがないプラトニック・ラブなのだ。お互いにクリスマスには会いたいとか会いにくいとか言っていて軽く揉めている)の明かりに照らされて未確認飛行物体の姿は丸見えだった。
「キャーーーーー!!」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキの叫び声が1階の奥にあるトイレから聞こえてきた。
「キャーーーーー!!」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは両手で顔を隠して叫んでいた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、女の叫び声は興奮するなぁ。はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。おい、部屋くれよ!」虎の覆面を被った全裸の男が椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキにお尻を見せて威嚇していた。
「キャーーーーー!!」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは困惑してパニック状態にになっていた。キャプテン・ミルクとテレパシーで話していたら、突然、虎の覆面を被った全裸の男が旅館に入ってきて「部屋は空いていますか? 空いていないなら、1つ、これに免じて部屋を渡せ!」と書いたメモを渡してお尻を突き出してきたのだ。
虎の覆面男は前を隠し、お尻を付き出して激しく威嚇していた。椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキはパニック状態になりトイレに逃げ込んだという訳であった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、わてのお尻を触っても良いんだよ。ただし、早急に部屋を出せ! 宿泊希望者だ! はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。わてのわてのお尻を触っても良いんだよ。触ってごらん」
「キャーーーーー!!」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは魔法が上手い。その気になれば魔法で虎の覆面男を簡単に木っ端微塵に出来るのに、動揺が心を支配していたために魔法が使えないでいた。何が悲しくて汚いケツを見せつけられているのかも分からないでいた。
トイレの扉が開くとキャプテン・ミルクは虎の覆面男の覆面を剥ごうとした。
「止めろ! マスクだけは! マスクだけは! 止めろ!」虎の覆面男は何故か嬉しそうな声で叫んだ。
「あっ、キャプテン・ミルク! 助かりました!」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキはキャプテン・ミルクを見て涙ぐむとトイレから出ていった。
「お前は誰だ?」キャプテン・ミルクは言った。
「覆面から手を離せば話してやるかもしれんよ」と虎の覆面男は言ってお尻を突き出してきた。
キャプテン・ミルクは虎の覆面男の覆面を軽めに破いてから手を離した。虎の覆面男のおでこから右目全体が見えた。
「何でこんなバカな事をしているんだ?」とキャプテン・ミルクは淡々と言った。
「わては宿泊希望者だからだ。昨日、電話で部屋を予約しようとしたら部屋は満杯のために無理だと断られたんだ。2時間も交渉したのに断るなんて酷くないか?」と虎の覆面男は自分勝手な理屈を言った。
「仕方ないだろう。満杯なら泊まるのは無理。幼稚園児でも分かる話だよ」キャプテン・ミルクは明らかに虎の覆面男を下げずんだ。
「嘘だ。部屋は空いているはずだ! 旅館のクセにさぁ、旅館のクセにさぁ、部屋がなければ旅館じゃないじゃん。ここは老舗の旅館だろう? 老舗なら老舗のように、ちゃんと老舗らしくしろよなってのが、わての話なの!」と虎の覆面男はお尻を突き出してきて、とてつもない力を振り絞り威嚇してきた。
「何を言っているのか分からない。ところで、あんた、何で虎の覆面を被っているの?」
「変なウィルスに感染したくないからだ。最近な、わての住んでいる惑星でよ、変なウィルスが流行っているからマスクをしようという動きが急激に世間に広まってさ、てんやわんやで騒ぎ出してよう、本当か嘘か分からん茶番に巻き込まれちゃってね、面白半分で自ら騒動に乗かってしまってよ、全然終わりが見えない状態となっている自分に嫌気がさしているのよ。世間も落としどころと終息の切っ掛けがわからないで混乱したままなんだよね。かれこれ、もう虎の覆面を被って5年目だ」
「5年間も、大きく口を開け放つ構造をしている虎の覆面を被り口呼吸をしていてピンピンに元気なら、健康上の問題は何も無いという事なのさ。既に命に関わる大量の危険なウィルスやら、ホコリやら、虫やらを吸い込んでいるのなら、とっくの昔に異変が現れたり、重体になったり、御臨終になっていてもおかしくない。何も異常なしなら、おめでとう、君の体は健康体であり優秀な免疫力を持っている証拠だよ。何でもかんでもな、不確かなものや、怪しい情報や、一方的な情報、押し付けられた情報によって簡単に洗脳されるなよ。騙されたと後で文句垂れても遅い。自分で考えて行動しろ。他人の理屈や考えに自分の命を預けるな。自分の命は自分の物なんだぞ。自分の命は自分で守れ。自分自身の頭で物事を深く考えろ。追求する努力を怠るな。自分自身を大切にしなさい。自分を大切にできるということは人を大切にできるという事だ。自分の心を強く持ちなさい」とキャプテン・ミルクは極めて冷静に諭した。
「あ、あ、あ、あんたは一体何者なんだ? 凄い。そ、そ、そうだよなぁ、わて、今まで長いものに巻かれて生きてきたからなぁ。わてはな、人と同じなら安心だと思って埋没しながら生きてきたんだよ。人任せで生きてきたのよ。そこのお兄さん、何だかごめんなさい。本当にすみませんでした。わてはテレビラリンチュララリンを見すぎました。わては情けないよな。何だか急に自分が恥ずかしくなってきました。わては今すぐに服を着たいです。この辺に服屋さんなんかありますかね?」虎の覆面男はお尻を突き出すのを止めて虎の覆面を脱いだ。
「服屋さんの場所は知らない。ちょっと行った所に大宇宙警察の交番があるから訪ねると良いよ」キャプテン・ミルクは東の方角を指差しながら言った。
「全裸で交番はちょっと。恥ずかしいなぁ」
「じゃあ。知らんよ。自分で決めな」
「一旦、わては、自分の家に戻って服を着てから交番に行って服屋さんの場所を聞いてきます」と元・虎の覆面男は言って頭を下げるとそそくさと旅館から撤収した。
「アイツ、本物のアホだな」とキャプテン・ミルクは呟いた。
☆☆☆☆☆☆☆☆
一方、ラルルラボン惑星では大変な騒動になっていた。
『速報! 愛星・サマー・えりか行方不明。ラルルラボン惑星で最新アルバムのレコーディング中に突然消えてしまった』というニュースで大宇宙全体が深い混乱状態に陥っていた。
「皆様、おはようございます。司会者の白色トマトです。ラルルラボン惑星にある鼻ゲルゲ国から生中継でお届け致します。皆様、大宇宙、人気No.1のスーパースター、スーパートップアイドルの超美少女、超美女、超美人の新人アイドル、愛星・サマー・えりかちゃんの情報について錯綜としています。レコーディングスタジオ前にはキャスターのタンコブ桃子ちゃんが居ますので中継します。桃子ちゃん、桃子ちゃん?」
「うぇーん、えりかちゃん」とタンコブ桃子は泣きながらリポートを始めた。
☆続いちゃう☆
「糸様、素敵なイラストを描いてくれてどうもありがとうございます。嬉しいよう、とっても嬉しいよう✨ヾ(o≧∀≦o)ノ゛ライブに来てくださいね! メリークリスマス!」
愛星・サマー・えりかより
皆、メリークリスマス!✨✨✨✨✨
♪v(*'-^*)^☆




