ファンには秘密なの
「それにしても凄いド迫力なツーショットですね。大宇宙で人気No.1の超ミラクルスーパートップ美少女アイドルと人気No.1のカリスマ超美女スーパートップモデルのえりかちゃんとブルーバードAYAちゃんが一緒なんだもん。ウフフフフ」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは両手を合わせて喜びとトキメキを爆発させながら言った。
「運命の出逢いなんだろうね。運命に選ばれて私はブルーバードAYAちゃんに出逢えたんだと思うんだよ」愛星・サマー・えりかは運命の強さを感じる出逢いに感動していた。アイドルとモデルという立場の垣根を越えて2つの才能が共鳴したのであった。
「確かにそんな気がしますね。無意識による出逢いと言って良いかもしれません。セレンディピティみたいな感じかな」ブルーバードAYAも土俵は違えども同じような志を持つ同志に出逢えた喜びに浸っていた。愛星・サマー・えりかとブルーバードAYAは、そんな過酷な世界の芸能界では珍しく、似た者同士のような印象をお互いに感じ取ったのかもしれない。
(説明しよう。いつの時代も芸能界という世界は華やかな印象があるものだが、見えない部分では激しい椅子取りゲームのような過酷な生き残りのサバイバルが繰り広げられているのだ。
表向きは明るくて楽しそうな芸能界に見えるが、裏を返せば一般社会の仕事とは違った顔が存在する知られざる世界でもあるのだ。
芸能人は常に大衆の目に晒されていて、監視されていて、気が休まるどころではなくなるのだ。プライベート、プライバシーまで芸能人であり続けないといけない重労働だとも言える。芸能人同士というのは、本質的には、皆ライバルでもある。弱音を吐けない、弱気を見せられない事とも十分にありえる話なのだ。心の悩みや苦しみを抱えてしまい、誰にも相談出来ないで孤独感に苛まれたりするという話もよく聞く。
そういえば「芸能界は殺伐とした世界」とある人気俳優が言っていた。皆さん御存知の大宇宙の人気No.1俳優だった、でーむず・でぇーん・憂さんだ。
でーむず・でぇーん・憂さんは「エデンの南」、「理由あっての反感」、「ジャイアンツさんの家」の3本の映画を残して、あっさりと行方不明になってしまった人気俳優だった。一体、でーむず・でぇーん・憂は何処へ消えたかは誰にもわからない。でーむず・でぇーん・憂よ、今いずこへ。
芸能界も、もっとオープンマインド、開かれた世界になれば、いくらか風通しが良くなり、もっとポジティブで開放的な世界になるかもしれない。50世紀の芸能界は昔から見たら、大分、開放的にはなってきたんだけどもね、まだまだ改善の余地がある世界なのだ。愛星・サマー・えりかちゃんとブルーバードAYAちゃんは、同じ感性を持っていて、波長がピッタリ合ったんだと思うよ。いや、ぴったんこかな)
「えりかちゃん、1つ聞いても良いですか?」ブルーバードAYAは思い出したように聞いた。
「うん。何でも聞いて良いよ」愛星・サマー・えりかは頷いてブルーバードAYAの言葉を待った。
「えりかちゃん、どうして何度も窓辺に寄っていたんですか? 星でも見ていたのかな? 今晩は紫チクビ星がいつもより紫だし」ブルーバードAYAは愛星・サマー・えりかが『そうなの、紫チクビ星を見ていたんだよ』と言って欲しいと願った。
「……」愛星・サマー・えりかは質問には答えず20秒ほど無言で床を見ていた。
「えりかちゃん!?」ブルーバードAYAは心配そうな顔をして言うと愛星・サマー・えりかの背中を擦ってあげた。
「えりかちゃん、大丈夫?」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは不安げに見ていた。
「うん、大丈夫。2人ともありがとう。少しに気になる事があってね。紫チクビ星は綺麗だけれども、今は全然、紫チクビ星は関係ないんだ。何だかね、夜空がざわめくというか、何かを案じているかのように流星が飛び交っているのよ。それにあそこを見てよ」愛星・サマー・えりかはブルーバードAYAと椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキを窓際まで連れていった。
「ほら、夜空を見てよ。あそこにある雲に隠れるようにして宇宙船が停まっていない?」愛星・サマー・えりかは固い視線を雲に向けていた。
「あっ! 本当だ! 何処の宇宙船かな?」ブルーバードAYAは目に警戒の色を浮かべて言った。『何だか胸騒ぎがする』と思いながら謎の宇宙船を見つめていた。
「大変だ! すぐにキャプテン・ミルクに伝えた方が良いと思う!」と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは言ってトイレの扉まで走って行った。
「ユズキちゃん、ちょっと待って! キャプテン・ミルクにはえりかちゃんの事は言わないでね。秘密よ!」ブルーバードAYAは椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキの肩を掴んで言った。
「うん、分かっている」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキはトイレから出ていってキャプテン・ミルクの元に走って行った。
「ブルーバードAYAちゃん、どうも御気遣いをありがとう。私は自分の部屋に戻って宇宙船の監視を続けるから、キャプテン・ミルクに、あの不気味な宇宙船はブルーバードAYAちゃんが見つけた事にしておいてね」愛星・サマー・えりかはブルーバードAYAの手を固く握りしめて言った。
「うん、わかったよ。えりかちゃんはテレパシーとか魔法は出来るの?」ブルーバードAYAは期待を込めて聞いた。
「オフレコだけど、うん、できるよ。魔法も使える。ファンには魔法が使えることは秘密なの。私がおてんばなのもファンには秘密なの。そのうちバレると思うけどね。あははは」愛星・サマー・えりかはウインクをすると舌先を小さく舌を出してあっかんべーをした。
「えりかちゃん、魔法が使えるのなら、何かあったら直ぐに私にテレパシーを送ってください! いつでも大丈夫です!」ブルーバードAYAは愛星・サマー・えりかと固い友情の握手を交わした後に、再会を誓って愛星・サマー・えりかの体を抱きしめた。
「わかった」愛星・サマー・えりかは力強く答えると、そのままトイレから出ていった。
☆続いちゃう☆