夢だって言ってくれ
「ちょっとお嬢ちゃん、大丈夫!? 起きて!」屈んだ愛星・サマー・えりかは椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキの頬を軽く叩いた。
「う、う、うぅぅん」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは瞼をけいれんさせて目を開けると天井の明かりを見てから覗き込むブルーバードAYAの視線と目が合って、愛星・サマー・えりかの視線を発見して喜びの笑顔を浮かべると再び気絶した。
「あちゃちゃ。まただわ。ちょっとお嬢ちゃんよ、起きなさいよ」ブルーバードAYAは立ち上がって洗面所に行くと蛇口を捻って冷たい水に使い捨てタオルを浸すとそのまま椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキの顔に当てた。
「冷たい!」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは勢いよく飛び起きて洗面所に行くと蛇口を捻ってお湯を出し顔を洗った。
「参ったわ。ビックリした。マジで気絶したの初めてだわ。意識が遠退くってさ、本当に意識が遠退くんだね。にゃはははははは」と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは鏡の中の自分に言って振り返った。
「ゲッ! まだいるわ。なんで? なんでいるのよ。大好きな2人だけど、ちょっとだけこわ~い。汗が出ちまうわよ。ブルブル」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは震えていた。恐怖からの震えではなくて、喜びに満ちた武者震い方面の震え方だったんです。武者震いなら身体に影響や異常はありません。寒さからくる震えの方がヤバイのです。
「そこの幻影のお二方。えりかちゃん、ブルーバードAYAちゃん。初めましてです。わたくし、14歳の女の子でしてね、椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキです。色んな事に興味がある世代なんですよねぇ。若さゆえにね。最近、足の骨が痛くて寝付けなくてね。わたくしの母親に聞いてみたら『それね、成長期で足の骨が伸びているんだわ。股下90よりも股下86を目指せ。君ならできるから。必ずできるから』と言っておりました。最近はね、素敵な出逢いがありましてね、キャプテン・ミルクに出逢っちゃったりしちゃってね。もちろんのろんで、例え幻のえりかちゃんとブルーバードAYAちゃんであってもね、これはこれでアレだけどもさ、悩ましいけど、出逢えた奇跡だし、最高なんっすよ。にゃははははは。こんちくしょう、これは夢なんだろう!? 夢だろう!? 夢だって言ってくれ!? 夢だ夢だ。えりかちゃんとブルーバードAYAちゃんの夢だ。エイエイ! 痛い、マジで痛いよう! 夢なのに痛いよ~う。目を閉じて開けると、ゲッ、まだ2人ともいるわ! こわ~いっ」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは半分夢の中にいると思っているのか自分の頬をつねったり、太ももを殴ったり、自分のおでこに自分でデコピンをして夢から覚めようと試しながら話していた。
「これは決して夢ではありません」愛星・サマー・えりかは厳粛で現実的なトーンで話した。落ち着かせるためには効果の高い話し方だった。
「時は50世紀。今は女たちにとって、まさに激動の時代であり、女である私たちの存在は確かなものであり、手応えだってあるわけですし、この胸に正真正銘の女の命があって、本当に愛星・サマー・えりかちゃんとわたくしブルーバードAYAは実際する人物なのであった」ブルーバードAYAの話し方は映画のオープニングでの語り部みたいなナレーションで話した。
「本当に?」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキの瞳に涙が溢れてきた。
「うん うん、、本当 本当」と愛星・サマー・えりかとブルーバードAYAは同時にハモッた。
「うわ~ん、嬉しい~。うわ~ん、うわ~ん」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは2、3歩駆け寄って、愛星・サマー・えりかに泣きながら抱きつこうとしたが、怪我をさせたら困るし本気でマズイから、直ぐに方向転換をして洗面所に行き、蛇口をひねり、お湯を出して顔を洗った。
洗い終えると使い捨てタオルを取り、顔を拭いて鏡を見た。
『あら!? 泣き顔の私って意外に可愛いんじゃない? 私って、なんとなく愛星・サマー・えりかちゃんに似てる。好きすぎると似てくるって言うからね。ヤバイ、こんな事している場合じゃないわ。えりかちゃんに失礼したら失礼じゃない。しかもブルーバードAYAちゃんもいるじゃんか。今をときめく美女2人に会えて嬉しい! にゃはははは』と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは鏡の中の自分を見ながらニヤけていた。そのまま静かに振り向いて頭を下げた。
「御迷惑をお掛けしました。気絶した私を許してください」
「ユズキちゃん、大丈夫よ、頭を上げてちょうだい。無事で良かったんだから謝る必要はないのよ」愛星・サマー・えりかは優しく受け止めてくれた。
「えっ!? 私の名前!?」
「椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキちゃんでしょう? 私のファンクラブの会員番号No.1のユズキちゃん。握手会で会ったのを覚えているよ」
「うわ~ん、すごーい。えりかちゃん、私のことを覚えていたぁ~ん。うわ~ん、うわ~ん、グヘッ、ブハッ、うわ~ん、ゲフッ。グハッ。ゲホッゲホッ。ヒック、ヒック。うわ~ん」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは嬉しさのあまりしゃがみ込んで泣いた。
「もう泣かないでね」愛星・サマー・えりかはポケットからハンカチを出して椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキに渡した。
「えりかちゃん、ありがとうございます。ところで、どうして旅館のおトイレにいるので?」
「御忍びなの。プライベート」
「そうだったんですか。私、秘密にします。誰にも言いません。えりかちゃん、ブルーバードAYAちゃんとはお友達なんですか?」
「今、初めてブルーバードAYAちゃんとお逢いしたけど友達になれると思う」
「同じく私もです。えりかちゃん、ありがとうございます」ブルーバードAYAは嬉しそうに笑った。喜びを噛み締めているようだった。
☆続いちゃう☆