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そっと佇む

 「三馬鹿よ、暴れた目的はなんだ?」キャプテン・ミルクは三馬鹿トリオを床に座らせた。

 

 「おいおい、待てよ、テメェ、鼻の穴が大きくなったべ! どうして鼻の穴が襲われたんだべか? 何故、鼻の穴が狙われたのだろうか? その理由を教えろや! 普通はよ、肩を押さえるとかよ、腕を捻り上げるとかで済む話だべ? ペッ」ハゲ頭の男は立ち上がってキャプテン・ミルクの胸ぐらを掴むと顔に唾を吐いた。

 

 「あんた、懲りないね。よし、望みを叶えちゃう」キャプテン・ミルクはハゲ頭の男の肩を押さえてから腕を捻り上げると右手の人差し指を鼻の穴に突っ込んでハゲ頭の男の顔を上下に揺らした。

 

 「ヘガーッ、ヘガーッ、痛いって! これ以上僕の鼻の穴が広がると鼻くそがこぼれやすくなるべ! 止めれよな! 止めてけろ!」ハゲ頭の男は、キャプテン・ミルクに鼻の穴を思うがままに制圧されちゃっているから、されるがままに顔を上下にコントロールされていた。

 

 「止めれよ、首がムチ打ちになるべ! 止めれよな!」

 

 「おい、貴様、謝れよ。『うん』本当に悪いと思ってんの? 『うん、僕ちゃんが全て悪いんだよ』」キャプテン・ミルクはハゲ頭の男の口を手で押さえて顔を上下に揺らすと腹話術の人形みたいに一人二役で話し出した。

 

 「モグモグ、ウーン、モグモグ」ハゲ頭の男は何か話そうとしたが完璧に口を押さえられているので話すのは無理だった。

 

 「あのさ、ここから今すぐに消えてくれるかな? 『うん、分かったよう。消えるよ。迷惑をかけちゃったからね。ごめんね、ごめんね。許してくれたらクリスマスの歌を歌ちゃうよう。太郎ちゃんです。僕ちゃんは太郎ちゃんです』君は俺をナメてるだろう? 『うん。実はそうなんだ。だってそうでもしないと逆に僕ちゃんがナメられるからね。気張らないとさ。つっぱらないとさ。でも本当の僕ちゃんは弱虫毛虫のイカれポンチの太郎ちゃんです』なるほどな。それが君の本性なんだな? 『うん、そうなんだ。イカれポンチの僕ちゃんこそが真実の姿の太郎ちゃんなのさ。僕ちゃん、太郎ちゃんはね、今すぐにお寺に出家したいんだよう。一際目立つ生臭坊主になりたい。生臭坊主になりたいよう。生臭坊主になりたいんだよう。生臭坊主になるためには、まず「自分は得度した」とそれなりにマスメディアにアピールしたりホザきながらヘンドリモンドリを荒稼ぎしたい。「得度したくせにマスメディアに出過ぎ」と言われてもいいよう。だって生臭坊主になるためだもの。1日も早く生臭坊主になって堕落したいよう。太郎ちゃんです。僕ちゃんの名前は太郎ちゃんです。太郎ちゃんは得度して生臭坊主になって散々偉そうな事を言って、ちゃんとした偽善者になりたいんだよう。人の気持ちや心をたぶらかす偽善者になって自己満足に耽りたいよう。押さえられない自分のエゴイズムによって大衆を支配したいよう。ゆくゆくは腹話術師になって高齢化社会に恩返ししたい太郎ちゃんです。最終的には格闘家に転身して3メートルの宇宙人と鬼婆とサスカッチとヒバゴンと闘って勝利をしてから、付き合って5年にもなるのに「ねぇ。私って、綺麗?」と愛の言葉をほぼ毎日要求してくる口裂け女と白い教会で結婚式を挙げたい太郎ちゃんです』」キャプテン・ミルクの腹話術ぶりは素晴らしかった。なす術なしのハゲ頭の男は紛れもなく腹話術用の人形、太郎ちゃんそのものに見えていた。

 

 「ぶふっ。あはっ、あははははははは!」またしてもブルーバードAYAのツボに入ってしまった。ブルーバードAYAはしゃがみこんで笑った。

 

 「あらっ!? ちょっと、ちょっと、貴女はブルーバードAYAなんじゃないの?」と山胸豆子は小声で言って腰が引けるほど驚いていた。

 

 「えっ、はい、そうです。ぶふっ。あははははははは!」ブルーバードAYAは立ち上がると涙をふいて両手で顔を隠して笑った。

 

 「大ファンなんです。私は山胸豆子です」と山胸豆子は小声で言って握手を求めた。

 

 「ありがとうございます。ぶふっ。あははははははは!」ブルーバードAYAは笑いを堪えきれずに山胸豆子と握手をした。

 

 「山胸豆子さん、それにしてもキャプテン・ミルクって面白いですよね。豊かな言葉の発想にはコメディアンの素質がありますよ」ブルーバードAYAはキャプテン・ミルクの背中を見ながら言った。

 

 「キャプテン・ミルクは偉大ですからね」山胸豆子は嬉しそうに答えた。

 

 「よし、何で暴れたのか答えろ!」キャプテン・ミルクはやせっぽっちの男に向かって言った。

 

 「へい。分かりやした。実は僕たち、観光で混浴温泉惑星に来たんですが、何処の宿にも宿泊の予約をしていないために、運任せで方々の旅館を訪ねて、安らぎと癒しのゆきあかり温泉旅館に宿泊出来たら良いなぁと思いながら訪ねて来たわけなんです。先ほど、無事に安らぎと癒しのゆきあかり温泉旅館に到着して旅館を見上げたら、見てしまったんですよ」やせっぽっちの男は興奮しながら話していた。

 

 「何を?」キャプテン・ミルクは、やせっぽっちの男に固い視線を送って言った。

 

 「窓辺に佇む、愛星・サマー・えりかちゃんの姿を見たんです! はっきりとね。あれは間違いなく愛星・サマー・えりかちゃんでした!!」やせっぽっちの男は皆に満面の笑顔を振り撒きながら言ってキャプテン・ミルクに喜びの握手をしようとしてきた。

 

 「見間違いというよりもさ、あんたね、ふざけないでよ。こんな所に愛星・サマー・えりかなんて、いるわきゃないでしょうが!」山胸豆子は明らかに嘘を言っていると思って苛立ちの怒鳴り声をあげた。

 

 キャプテン・ミルクは黙っていた。

 

 「いやいや、そこの真面目そうなお姉さんよ、あれは確実に愛星・サマー・えりかちゃんでした。で、僕たちは一気にボルテージが上がって、手を振ったり、下半身を露出したコイツが裸躍りをしてアピールしたりしましたが窓の奥に消えちゃってね、必死にアピールしたのに愛星・サマー・えりかちゃんの感じが悪くて何だか頭にきてしまって。で、疲れたから僕たちはこの旅館に宿泊の交渉をしたらフロンドに断られたんです。理由は下半身を露出したコイツの裸躍りが原因でした」やせっぽっちの男は下半身を露出した男の足を蹴った。下半身を露出した男は下半身を隠しながらうなだれていた。

 

 キャプテン・ミルクは黙って聞いていた。

 

 「ちょっとだけ失礼しますね」とブルーバードAYAは山胸豆子に言って、静かにその場を離れた。

 

 

 

 

    ☆続いちゃう☆

読んでくれて、ありがとうございました!✨

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