夜間に輪唱
キャプテン・ミルク山胸豆子とブルーバードAYAは安らぎと癒しのゆきあかり温泉旅館の上空にいた。
安らぎと癒しのゆきあかり温泉旅館の玄関前では激しい怒号と扉を叩く音が響いていた。
3人の暴漢は暴れていた。2人は扉を叩いたり石を投げたり体当たりをしていたが残りの1人は下半身を露出させて踊っていた。
キャプテン・ミルクは「安らぎと癒しのゆきあかり温泉旅館」の裏口から入っていった。
椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキちゃんは白目を剥いて頭をテーブルにぶつけそうな勢いで寝落ちする寸前だった。8割方、完璧に寝掛かっていた。
「あっ、ヨダレかな? こりゃヤバイ。私は全然寝てませんよ~っ! 寝てたまるか!」と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキはヨダレを拭きながら言うと立ち上がって玄関の扉に向けて両手をかざした。
「扉をよう、早く開けろって言ってんべ!」暴漢たちが荒れ狂ったように扉を蹴り出していた。
「開けません。お引き取りください!」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは怒鳴り返した。
「良いからお嬢ちゃん、早く扉を開けろって言ってんべ!」
「うるさい! 扉を蹴るなよ! 早く消えろ! このウンコ野郎!」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは怒鳴ると扉を蹴り返した。
「お嬢ちゃん、扉を蹴るなよ! 今、おじさんたちが先に扉を蹴ってんべ!」
「うるさい! 早く消えろよ! 馬鹿野郎! ナメんな鼻毛野郎どもめ! お前ら下痢止め飲めよ!」椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは眠たさから苛立ちが募りはじめて言葉が荒れてきた。
「お嬢ちゃん、汚い言葉は慎めよ! いいから、早く扉を開けろって言ってんべよ! 優しくしてあげるから。おじさんたちは何も怖くないから」
椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは後ろを振り返ると魔法を解いて扉を開けた。
「おお、開いた開いた。お嬢ちゃんよ、ずいぶんとふざけた真似をしてくれたな。誘拐するぞ! このガキ!」いかつい3人の男たちは早足で椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキの前に来た。
「やれるもんならやってみろよ!」と椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは仁王立ちしてから腰を落として軽くボクサー並みのステップしながらファイティング・ポーズを構えた。
キャプテン・ミルクはゆっくりと歩を進めて今にも椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキを殴ろうとするハゲ頭の男の前に立ちはだかった。
「なんだよ、テメェわよ? ペッ」ハゲ頭の男はキャプテン・ミルクの顔に唾を掛けた。
キャプテン・ミルクは無言でハゲ頭の男の鼻の穴に右手の人差し指を入れるとそのまま壁際まで押していった。
「あたたたたた、フガーン、フガーン、鼻呼吸したい、鼻呼吸したい! 痛たたたたた、止めろって、止めろって! 鼻がもげるって!」ハゲ頭の男は壁際に背を着けて苦しんでいた。
「何か言えよ? フガーン、フガーン」ハゲ頭の男は無表情で無言のままでいるキャプテン・ミルクに怯えきっていた。
「この野郎!」と下半身を露出した男がキャプテン・ミルクの後ろ側に行って後頭部を殴ろうとした。
「フゲー、フゲー、フゲー!」キャプテン・ミルクは下半身を露出した男の鼻の穴にも左手の人差し指を入れると壁際に押し込んだ。
「フガーン、フガーン」と「フゲー、フゲー」の苦痛な叫びは合唱団の輪唱みたいになっちゃっていた。
「なめやがってよ!」3人目のやせっぽっちの暴漢はキャプテン・ミルクの首を絞めようと飛び掛かってきた。
キャプテン・ミルクはやせっぽっちの男の股関を蹴りあげた。
「苦しい、息が息が息が息が息が息が息ができん。フギョーン、フギョーン」と叫びながらうずくまると腰を叩き始めた。
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん。早く早くおじさんの腰を叩いて! フギョーン、フギョーン」とやせっぽっちの男は涙ぐみながら哀願した。
椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは頷きながら寝掛かっていた。
「お嬢ちゃん、頷いてくれるのかい? ありがとう、ありがとうお嬢ちゃん。早く早く腰を叩いて! フギョーン、フギョーン」やせっぽっちの男は苦痛のために焦点もブレているせいか、椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキの寝掛かった頷きを許可と勘違いした。
椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは深く頷くと、顔を上げて、また深く頷いた。一瞬、眠りに落ちそうな自分に驚いて大きく目を開けると、周りを注意しながら見回して、優しく微笑み、安堵して再び頷きながら寝掛かった。
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん。頷いてくれて、本当にありがとうありがとう。とにかくさ、早くおじさんの腰を叩いてよ! 優しくじゃなくて強めにガツンと叩いて良いから。あーっ、苦しい! フギョーン、フギョーン」やせっぽっちの男は激痛で汗だくになっていた。キャプテン・ミルクは強めに股関を蹴ったようだ。
「フガーン、フガーン」
「フゲー、フゲー」
「フギョーン、フギョーン」3人の暴漢たちは泣きながら、ほとんど輪唱みたいな悲鳴をあげていた。
「あははははははは!」ブルーバードAYAは床に四つん這いになって笑った。どうやら、ブルーバードAYAはツボに入ると笑いが止まらないタイプの女の子のようだ。
「笑うなや! フガーン、フガーン」とハゲ頭の男は涙声でいうと、「失礼だぞ、笑うのやめれや! フゲー、フゲー」とやせっぽっちの男は言ったら「止めてよ! バカにした笑いは止めてよ! フギョーン、フギョーン」と下半身を露出した男は言った。
「あははははははは! スゲェダサい! あははははははは!」とブルーバードAYAは腹を押さえて笑いまくった。
☆続いちゃう☆
ありがとうございます。ブルーバードAYAはクールビューティーなスーパーモデルだけども、笑い上戸というか、ツボに入るとかなり笑う女の子、明るい女の子なのかもね✨