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今宵の紫チクビ星

 夜風も無いのに「世にも素っ裸公園」に植えられている木が揺れ出した。

 

 「マツタケボウヤ様、大丈夫ですか?」突如、木が揺れた暗がりから2人組の大男が現れて呼び掛けた後にマツタケボウヤの元に走った。

 

 「おおーっ、上原チロチロくんに山形ブルワーターパンストくんじゃないか。来てくれたのかい、いやいや、ありがとう、ありがとう。俺様は大丈夫だ。あそこにいるキャプテン・ミルクを殺るつもりだ」とマツタケボウヤは言ってダークソードをキャプテン・ミルクに向けた。

 

 「えーっ!? マツタケボウヤ様、あ、あ、あ、あれが伝説の戦士、またはヒーロー、宇宙最強の伝説の魔法使い、キャ、キャ、キャ、キャプテン・ミルクなんですか!?」と山形ブルワーターパンストくんは後ずさりながらマツタケボウヤに言った。山形ブルワーカーパンストくんの額から大量の汗が吹き出てきて顔を掻きむしった。

 

 「そうだ。あれがキャプテン・ミルクだ。おいキャプテン・ミルクよ、この2人の登場は何を意味しているか分かっているよな?」マツタケボウヤは上原チロチロくんと山形ブルワーターパンストくんの登場により偉そうな態度と意気がった顔つきになった。気が大きくなったようだ。

 

 「ま、ま、ま、まさか、こんなところでキャプテン・ミルクに御目にかかれるとは! 非常に怖いです」と一方の上原チロチロくんは気が動転しながらも言った。

 

 「なーに、キャプテン・ミルクなんて単なる見掛け倒しの若造じゃないか。今こそ上原チロチロくん、山形ブルワーターパンストくんの2人の実力を試す時、見せる時なんだぞ!!」マツタケボウヤは上原チロチロくんと山形ブルワーターパンストくんのためにダークソードを使って見事な剣術の演舞を披露した。

 

 マツタケボウヤの厳しくもあり、悪意を込められた、(おごそか)かでもあるダークソードのきりきり舞いな演舞を黙って見ていた上原チロチロくんと山形ブルワーターパンストくんは、『ダメだわ。絶対に終わりだわ。やられて終わりだわ。マツタケボウヤ上官ってバカじゃないの? バカだと思う。宇宙最強の伝説の戦士、魔法使い、勇者、英雄と呼ばれているキャプテン・ミルクはヤバイわ。マツタケボウヤの事なんて、もうどうでもいいや。知らん』と考えながら仕方なく演舞を見ていた。

 

 「マツタケボウヤ様、わたくしドロンしますぅー」と山形ブルワーターパンストくんは言って暗闇に向かって素早く競歩った。

 

 「マツタケボウヤ様の今後の御健闘を御祈り致します。僕もドロンします」と上原チロチロくんは言いながら、ムーンウォークをしながら、暗闇に消えながら、闇に吸い込まれながら、居なくなりながら、跡形も無く消えながら、残り香を残しながら、あっさりとドロンした。

 

 「ちょっとちょっとちょっと! 上原チロチロくーん、山形ブルワーターパンストくーん!! 何処へ行くんだよ!! 待ってくれよ!! え~っ、うっそーん!」マツタケボウヤは初めて自分の身に危険が迫っていると認識できた瞬間だった。

 

 ずっと可愛がっていた家来にあっさりと裏切られたマツタケボウヤは途方に暮れてしまった。

 

 『3人で一緒にお泊まり会をしたり、海までツーリングをしたりした仲だったのによう。キャンプ場では好きな女の子の話をして盛り上がりながら歌ったりもしたのにさ。「いつまでも一緒にいような」と約束して誓いあった仲でもあったのにさ、こんな事って、こんな事って、こんな事ってさぁ、本当にあるのかいな~っ!!!! 俺様と家来2人の歳の差が49歳も離れていたのが悪かったのかもなぁ。ジェネレーション・ギャップって残酷だな』とマツタケボウヤは思った。何だか一気に落ち込んだマツタケボウヤは、キャプテン・ミルクに対峙したり、刃向かう気力が少しだけ失せてきた。

 

 「マツタケボウヤよ、お前の人望の無さは悲しいな。悲しすぎて笑けてくるよ」とキャプテン・ミルクは首を横に振りながら夜空を見上げて紫チクビ星を眺めていた。

 

 「今宵の紫チクビ星は綺麗だなぁ。紫チクビ星はうちの婆ちゃんのチクビの色と凄く似ているなぁ。紫チクビ星の色がもう少し濃かったら完璧に家の婆ちゃんのチクビと同じ色だわ。紫チクビ星にも行ってみたいなぁ。おーい、婆ちゃ~ん! 元気か~い? 婆ちゃ~ん、婆ちゃ~ん。俺はまだまだですが、頑張って生きてま~す。近いうちに遊びに行きま~す。婆ちゃん、元気に暮らせよ~。体に気を付けろよ~」とキャプテン・ミルクは紫チクビ星に手を振りながら叫んだ。キャプテン・ミルクの瞳には涙が滲んで光っていた。最近、キャプテン・ミルクは仕事が忙しいので婆ちゃんに会えていないのだ。

 

 「キャプテン・ミルクよ、俺様は、一旦、引く。逃げる訳じゃないぞ。ジャム将軍に事の一部始終を言い付けてやる。おい! 喧しい女も覚えていろよ! まず最初にお前を殺してやる! キャプテン・ミルクよ、必ずジャム将軍を侮辱したことを後悔するぞ! 今さら謝っても遅いからな! 今日の収穫は愚かな部下を抹殺したことのみ。不本意ではあるが能力のない宇宙人やヒューマンは、死あるのみだ。さらばだ! ふぁーっはははははは! ふぁーっはははははは!」とマツタケボウヤは言って世にも素っ裸公園の入り口まで走っていた。

 

 「フッ。マツタケボウヤは実にダサい奴だったな」キャプテン・ミルクはブルーバードAYAと一緒に、世にも素っ裸公園を出た。キャプテン・ミルクは指を鳴らすと静かに歩き出した。

 

 キャプテン・ミルクは「安らぎと癒しのゆきあかり旅館」に戻ることにした。

 

 

 

 

  ☆続いちゃう☆

ありがとうございました!

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