光を浴びたいのさ
やあ!キャプテン・ミルクです!
あはははは!いつもありがとうございます!
「ちょっと、マジですんごい魔法だわ。ビクともしなかったもん」と見知らぬ女性は言ってじんわり滲んだ額の汗を払うように拭いた。
「私も試してみようかな」ブルーバードAYAはストレッチをしてダンサー並みの屈伸運動を披露すると、軽く反復横跳びをしてリズムよくジャンプをしてみた後に目を閉じて手を合わせた。
「ちょっとお姉さんさぁ、どこかで見たことあるんだけど……」見知らぬ女性は右手の人差し指を顎の下に置いて考え込んだ。
「気のせいじゃない?」ブルーバードAYAはやんわりとはぐらかした。
「いやいや、知ってる。アレじゃないの、アレ、アレじゃない?」と見知らぬ女性は思い出そうと頭をかきむしりながら目を閉じて考え込んだ。
「勘違いですってば」ブルーバードAYAは『こんな時に余計な事を言わないでちょうだいよね』と思いながらも見知らぬ女性の言葉に少しだけ期待をした。
「アレじゃないの、アレ。アレでしょう? アレだと思うんだけど、そのアレが出てこない。アレなんだよなぁ」見知らぬ女性は歯を食い縛って座り込んだ。
「うん? 誰よ?」ブルーバードAYAは『早く答えてよね』と思いながら見知らぬ女性の唇を見ていた。
「アレでしょう? アレ、アレ、アレっ!? 名前が出てきそうなのに~。あっ! 思い出した! 愛星・サマー・えりかでしょう? じゃなくてよ。いや、待ってよ。ラヴァーズ・悠愛ちゃんだっけ?」(説明しよう。「ラヴァーズ・悠愛」は女優、俳優だ。チョコレートアイス惑星で大活躍している売れっ子俳優なのだ。
EARTHのある国の演劇学校に5年間留学をして着実に演技力を磨いてきた負けず嫌いのじゃじゃ馬娘で頑張り屋さんなのだ。
今、最もHOTや俳優なのだ。宇宙一人気のスーパー超美少女アイドル、愛星・サマー・えりか、カリスマ・ファッション・スーパーモデルのブルーバードAYA、若手人気No.1俳優のラヴァーズ・悠愛が大宇宙で一際人気がある三羽ガラスの芸能人なのだい! にゃはははははは! にゃは、にゃは、にゃはははははは! ちなみにね、私はね、やっぱりね、愛星・サマー・えりかちゃんが、とぅき(好き)でぇーす)
「私はラヴァーズ・悠愛ちゃんじゃないですね」ブルーバードAYAは何故かホッして体の力が抜けたようになった。
「じゃあ、あんた誰よ? 見たことあるのに」見知らぬ女性とブルーバードAYAが親しげに話し込んでいるのを黙って見ていた川谷ゲリズチョンは、強張った体を動かそうと懸命だった。
「クソッ、動かない」川谷ゲリズチョンは焦りに焦って汗まみれになっていた。
「あっ! ヤバイ! 大変だわ! あと、10分しかないわ! 夜勤に遅れるわ! ダッシュ、ダッシュ、ダッシュ、ダッシュ&ダッシュ! じゃあね! モンテスバイバイキューン!」(説明しよう。「モンテスバイバイキューン」は50世紀に流行っているギャルの別れの挨拶の言葉だ。他に流行っている別れの挨拶は「チュンチュン・チューウ」、「チュウしてグッバイ」「半ば悲しみTIME」、「別れ際の小刻み」、「寂しくて揺れる胸の痛みんC」等があるのだ)と見知らぬ女性は穿いていたスカートを太ももまで捲り上げて固く縛ると、腕を振り回して走り去っていった。
「なんだよ、あの女。魔法使いの師匠だかを呼べって話だよな。ったくよう」川谷ゲリズチョンはやつれ果てた顔をして言った。
「あはははは! いやいやどうも。悪いねぇ。待たせたかな!」とキャプテン・ミルクは地上から10メートルほど空に浮かんだまま大きな声で言った。
キャプテン・ミルクは高部鼻ソカシコの右足首を片手で持ったまま逆さにして空から舞い降りてきた。
「キャプテン・ミルク、今、見知らぬ女性が来まして、色々と話して参考になりました」とブルーバードAYAは見知らぬ女性が去った方角を見ながら言った。
「どんな女性だったの?」キャプテン・ミルクは意識を失っている高部鼻ソカシコを砂場の上に横たえた。
「病院の看護師さんで、魔法使いの師匠がいると話していました」ブルーバードAYAは思い出しながら話していた。ブルーバードAYAの顔が弛緩したように緩くなると小さなクシャミをした。ブルーバードAYAは照れくさそうに顔を下に向けると青いコートのポケットから青いハンカチを取り出して鼻を拭いた。
「ブルーバードAYAさん、その見知らぬ女性の言っていた師匠の名前は知っていますか?」
「確か、えーと、あっ! 青空ウイングス子とか言っていたかな?」
「なるほど」キャプテン・ミルクは万感の思いを抱いて、丁度、北に見えてきた茶色チクビ星を眺めた。
「本当にさ、茶色チクビ星ってね、茶色の乳首に瓜二つの星だよなぁ」とキャプテン・ミルクは言って茶色チクビ星を掴もうとする仕草をした。
「で、ブルーバードAYAさん、その見知らぬ女性はどちらへ?」
「夜勤とか言って走って行きましたよ」
「なるほど。ちょっと失礼して」キャプテン・ミルクはスムーズ第一優先魔法のテレパシー魔法『早とちりよりも早トチリ』というダッシュ機能満載のスムーズなテレパシーを送った。
『青空ウイングス子、聞こえるかい?』
『はいはい、こちら青空ウイングス子です』
『ウイングス子、昔、弟子が1人だけいたって話していたよな?』
『はい』
『弟子の名前は?』
『工藤・サンセット・まなみです』
『どんな弟子だった?』
『私の若い頃にソックリで勝ち気で生意気な女でしたね。性格は天然気味でもありました。実の娘みたいに可愛がっていてね、愛しくなっちゃってね、跡継ぎにしようと思っていたのにね、10年前に魔法使いのソロデビューをしたいとか言ってね、私と揉めに揉めて勝手に出ていきました』
『なるほどね。そんな経緯があったんだね。ウイングス子よ、実はね、混浴温泉惑星に、弟子の工藤・サンセット・まなみがいるみたいなんだ』
『あんだって!! あんだって!! ウッソ~!?』
『本当』
『うわーい、マジなの? たまげたわ。ビックリだわ』
『とにかく、今は大事な任務を全うしてくれ。時間と条件が整えば、工藤・サンセット・まなみを探す手筈をしっかりとしよう』
『キャプテン・ミルク、分かりました。どうもありがとうございます』
キャプテン・ミルクは魔法「早とちりよりも早トチリ」を優しく消した。
「キャプテン・ミルクさん、すみません。動かせるようにしてくれませんか?」川谷ゲリズチョンは強張った笑顔を浮かべて恐る恐る言った。
「ダメだ」キャプテン・ミルクは即答すると倒れている高部鼻ソカシコの鼻を摘まんだ。
「うーん、うーん、うーん」と高部鼻ソカシコは息が出来なくて呻いた。キャプテン・ミルクは魔法で高部鼻ソカシコのおでこに「ウンコ」とタトゥーを入れてから摘まんだ鼻を離した。
「ぐわっあっは! 苦しいー!」顔が真っ赤になった高部鼻ソカシコはキャプテン・ミルクの手を払い除けると呼吸を整え出した。
「止めてくださいよ、キャプテン・ミルクさぁ~ん」と高部鼻ソカシコはご機嫌を取るような言い方をした。
「お前は、マツタケボウヤに連絡出来るのか?」キャプテン・ミルクは単刀直入に言った。
「マツタケボウヤ? さて? 何の事かな? 知らないね」高部鼻ソカシコは口笛を吹きながら鼻くそをホジりまくった。
「しらばっくれるとおでこに「ウンコ」とタトゥーを入れちゃうよ」キャプテン・ミルクは瞬きしないで言った。
「あははははん、やれるもんならやってみろよ。キャプテン・ミルクだからってな、もう別に怖くないし、ビビってないから。あははははん」
ブルーバードAYAはコートのポケットからコンパクトの鏡を出し高部鼻ソカシコに投げた。
「その鏡でね、自分の顔をよく見てみな」とブルーバードAYAは無表情のまま言った。
「チッ、なんだよ!? あぁーん!! あはぁ~ん!! いつの間におでこにタトゥーが!! 「ウンコ」って書いてあるう!! 嫌だぁー、「ウンコ」って、「ウンコ」って、おでこに「ウンコ」って書いてあるう!! 僕のおでこに「ウンコ」って、本当に「ウンコ」って彫って書いてあるう~。えーん、えーん、えーん。「ウンコ」って書いてあるんだよう!! 「ウンコ」って、「ウンコ」って書いてあるんだよ~う!! うわゎ~ん」と高部鼻ソカシコは言って地面に突っ伏して泣いた。
キャプテン・ミルクは茶色チクビ星を見つめた後、紫チクビ星を探したが、何処にも紫チクビ星は見当たらなかった。茶色チクビ星と紫チクビ星は姉妹星と言われている美しい星なのだ。茶色チクビ星が長女、紫チクビ星が次女。茶色チクビ星と紫チクビ星の美しい光を浴びたい気持ちになっているキャプテン・ミルクなのであった。
☆続いちゃう☆
ありがとうございました!
蒼井真ノ介