夜空に響く悲しき旋律
本日、2回目の更新です。
よろしくお願いいたします。
「おい、そこの女よ。僕は下っ端の兵士だから逃がしてよ」と川谷ゲリズチョンはブルーバードAYAに言ってマヌケ面の顔でウインクをした。
「……」ブルーバードAYAはただ真っ直ぐに川谷ゲリズチョンを見据えるだけで一言も発しなかった。
「ねぇ、聞いてるの? よく見りゃえらい美人だよなぁ。ねぇ、僕とデートしようよ。僕の彼女になってくれないかなぁ。凄い美人だから彼女になってよ。皆に自慢したい。ほら、こっちにおいでよ。はい、ウーン」川谷ゲリズチョンはウインクを繰り返しながらキス顔をして目を閉じた。
「……」ブルーバードAYAは動じる事なく黙ったままだった。
「なんとか言えよ! ちょっと美人だからってなぁ、偉そうな態度や人を見下したりするなや!」川谷ゲリズチョンは怒鳴って体を動かそうとした。
絶対に動くはずがないのだ。キャプテン・ミルクは超一流の選ばれた魔法使いでもあるのだ。こんなよう、鼻垂れ坊主の馬鹿みたいなクソガキなんてお茶の子サイサイのケチョンケチョンのウンコ垂れだから相手にもならない。
「ちょっとあんたたちーい! どうしたのよ? どうしたの? どうした?」突然暗がりから見知らぬ女性が現れた。
「えっ!?」ブルーバードAYAは驚いて後ろに飛び上がった。
「ちょっとあんた、そこのおっさん。このお嬢さんとお友達なの?」見知らぬ女性は川谷ゲリズチョンに言うと上から下まで見た。
「ちょっとあんた、どうしたのよ? 具合い悪そうだね?」
「そうなんだ、具合い悪くてさ。助けてくれよ!」川谷ゲリズチョンは喜びを噛み締めるような口振りで言った。
「ちょっとお嬢さん、このおっさんと知り合い?」
「いえいえ、知らないです。彼は何らかの犯罪を計画している犯罪者、容疑者なんです」とブルーバードAYAはキッパリと言った。
「嘘です! 僕は吟遊詩人なんです!」川谷ゲリズチョンは咄嗟に嘘をこいた。
「じゃあ、今、即興で何か詩を作って朗読してみてよ」見知らぬ女性は腕を組んで待った。
「わ、分かったよ。チッ。じゃあさ、タイトルは『燃える』です。コホン。 太陽よ、太陽よ。燃えているうちが華だよ。燃え尽きたら線香をあげちゃうよ。 どうだい? 素晴らしい詩だろう?」と川谷ゲリズチョンは鼻を鳴らしながら言った。
「あんたバカじゃないの? このクソみたいな物のどこか詩なのよ? あんたは本家本元のバカであって吟遊詩人じゃないね? あんたね、詩人ってのはね、蒼井真ノ介の事を言うのよ。うふふふふ。うふふふふ」ナゼか見知らぬ女性は顔を赤らめて笑うと、体をくねらせてからモジモジし出して、地面の砂を蹴りあげてパンチラ星に向かって「おーい、お星様ー! 蒼井様ー!」と叫んじゃって手を振った。
「蒼井真ノ介? 蒼井真ノ介って誰?」川谷ゲリズチョンは無表情で言った。
「教えなぁ~い。バカには教えなぁ~い」見知らぬ女性はクルクル回りながら言った。
「とりあえず助けてくれよ! 辛いんだわ!」と川谷ゲリズチョンは真剣に訴えた。
「確かに具合いは悪そうねぇ。体が動かせないみたいだしさ。私はね看護師なのよ。見るだけ見るから」と見知らぬ女性は言って川谷ゲリズチョンの脈を測った。
「脈は普通~、お熱も普通~、喉の状態も普通~、呼吸も普通~、体が動かせないだけみたいね。どうしてかしらね。何かしら?」見知らぬ女性はブルーバードAYAを見つめた。
「キャプテン・ミルクだよ! キャプテン・ミルクだ!」と川谷ゲリズチョンは怒鳴って文句垂れた。
「突然、何を言ってんのコイツ?」と見知らぬ女性は川谷ゲリズチョンから後ずさった。
「キャプテン・ミルクが魔法を掛けたんだよ! おい、看護師、魔法を解いてくれよ!」
「う~ん、私は無理。絶対にキャプテン・ミルクの魔法なんて解けっこないし。私の師匠の青空ウイングス子なら解けるかもしれないけどね」
「今すぐに師匠を呼べ!」
「無理」
「良いから呼べって!」
「無理」
「テメェ、苦しいんだから助けれよ!」
「無理」
「頭に来た! 魔法使いの弟子なら、看護師、お前が解いてくれ!」
「無理だけども、どんな感じかやってみたいから少しだけやってみる」
見知らぬ女性は目を閉じて念仏を唱えると両手をあげて揺らし出した。
「パダケ、アダケ。モッコリン、アンダケ。アンダケ、アンダケ。モッコリン、モッコリン、サンダケ。ほりゃー!!」と見知らぬ女性は魔法の呪文を唱えた。
夜空に雷鳴が1発轟いたが、あとは何の変化もなかった。
「ダメだわ。めちゃめちゃ魔法が強すぎるし、やたらと重いわ。絶対に無理」と見知らぬ女性は20秒で諦めてしまった。
☆続いちゃう☆
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