二人組の不審な男
「お待ちどうさま。ジャパンゴールデンウィーク風ラーミェンとジャパンゴールデンウィーク風チャーヒャンです。熱いうちに召し上がってください」とアルバイトの女の子がおぼんにラーメンのどんぶりを乗せたままテーブルの上に置いた。
「美味しそうだな。頂きます」とキャプテン・ミルクは言ってジャパンゴールデンウィーク風ラーミェンを食べ始めた。
「私も頂きます」とブルーバードAYAも言って食べ始めた。
「うん、美味い。家の姉ちゃんが作った醤油ラーメンより美味いジャパンゴールデンウィーク風ラーミェンだわ」とキャプテン・ミルクは満足に一気に麺をすすりスープを飲み干した。
「やはり出来立てが1番美味しいですね。初めてのチャーヒャンですが口に合いました」とブルーバードAYAも嬉しそうに完食した。
「ブルーバードAYAさん、食後にお味噌汁はいかがですか?」とキャプテン・ミルクは言って立ち上がった。
「ありがとうございます。もう一杯頂きますね」とブルーバードAYAは言って何気なく右端の席にいる二人組の男を見た。ブルーバードAYAの顔は青ざめた。
キャプテン・ミルクは直ぐに紙松茸に味噌汁を入れて笑顔で席に戻ってきた。
「ここの味噌汁と紙松茸は美味いねぇ。あはははは」とキャプテン・ミルクは言って直ぐ様異変に気付くと席に座りブルーバードAYAの視線を確認した。ブルーバードAYAはゆっくりとキャプテン・ミルクに視線を戻して頷いた。
「います、います」とブルーバードAYAは小声で囁いて右手をテーブルに乗せたまま二人組の男に向けて指を指した。
「間違いないですか?」とキャプテン・ミルク強く念を押すように言った。
「キャプテン・ミルク、間違いないです。こちらに背を向けている男の左肩を見てください。破れたシャツから肩を出していて『頻尿』って書かれたタトゥーが彫られているでしょう? あの頻尿男がそうです」とブルーバードAYAはテーブルに頻尿の漢字を書きながら話した。
「頻尿男の向かい側にいる男はどうですか?」
「わかりません。何かヒントがあれば良いのですが」とブルーバードAYAは頻尿男の背中を睨み付けていた。
「ギャハハハハ。お前の方がヤバイじゃんかよ。マヌケだな。ギャハハハハ」と頻尿男が腹を抱えて大声で爆笑しながらテーブルに顔を突っ伏して咳き込んだ。
「て、て、テメぇバカにするなよなだっちょ。お前の方がヤバイだっちょ。人をバカにすると自分に跳ね返るだっちょ!」と怒りに震えた小柄な男が立ち上がって言った。
「高部鼻ソカシコよ、まあまあ怒らないで、飲もう飲もう。なっ、飲もう」と頻尿男は高部鼻ソカシコというの男の肩を撫でて席に座らせた。
「川谷ゲリズチョン、あんまりお前とは波長が合わないだっちょ。年下のクセにナメたらダメだっちょ」と高部鼻ソカシコは興奮冷めやらぬまま言って紙松茸で水をあおった。
「喧しい酔っ払いが騒いでいるというありふれた光景。ブルーバードAYAさん、あの二人で間違いないですか?」とキャプテン・ミルクは冷めた目で二人組の男を見ていた。
「完璧にアイツらです」とブルーバードAYAは言うと何か考え事しているような目付きをして腕を組んだ。
「ブルーバードAYAさん、奴等が席を離れた時がチャンス到来です。俺に任せてください」とキャプテン・ミルクは言って右手の腱を伸ばすために開いたり閉じたりした。
「私も力を貸します」とブルーバードAYAは言ったがキャプテン・ミルクは首を横に振って「危険です。十分に力は貸して頂きました」と断りを入れた。
「ふざけんなだっちょーん! ふざけんなだっちょーん! ふざけんなだっちょーん!」
「うるせい! 田舎もん! ハゲ!」
周りの客らは一斉に後ろを向いた。何やら大きな声で揉め始めた高部鼻ソカシコと川谷ゲリズチョンがお互いの胸元を引っ張り上げて罵っていた。二人とも怒りで目が飛び出て充血していてた。
「何を言ってんだか! 髪はあるべよ? 僕の髪はフサフサだべよ! バカにするなだっちょーん! ふざけんなだっちょーん!」
「うるせい! ハゲ!」
「頭にきただっちょーん! 言ってやるからなだっちょーん!! ボスに言ってやるからなだっちょーん!」
「うるせい! ハゲ!」
「お前より10歳は年上なんだぞ! わきまえろだっちょーん!」
「黙れ、ハゲ!」
「お前こそ黙れだっちょーん!」
「ちょいと、そこのハゲと頻尿!! あんたらね邪魔だ! 騒ぐんなら出ていけ!」とジプシー姉さんこと『りえこちゃん家のメシは美味いから来てみそ』の大将、ライム・金環・りえこちゃんは2人に向けて大きな玉ねぎを2個投げつけた。
ぱっこぉーんん
ばかぁーんんん
「いたたたたただっちょーん!!」高部鼻ソカシコは頭を擦りながら悶絶した。
「痛ってぇぇぇーっ!!」川谷ゲリズチョンは後頭部を押さえてテーブルに突っ伏した。
「テメぇ、僕たちを誰だが分かってるのかだっちょーん!」と高部鼻ソカシコが叫びなから詰め寄るようにして厨房に向かっていった。
川谷ゲリズチョンは指輪をハメまくった左手で後頭部を押さえたままテーブルに突っ伏したままだった。このままだとヤバい状態のままだが、誰も手助けせずに、そのままホッたらかしのそのままなので、そのままが1番だと暗黙の了解のもとでそのままにしようと判断したお客様がほとんど動かずにいてそのままなので、そのままにしたから、そのままだったし、そのままの状態にしておいたからこそ、そのままゆえに、そのままだから、そのままだった。
☆続いちゃう☆
いつもありがとうございます!




