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ブルーバードAYA

 「なぜブルーバードAYAらしい女子がいるんだい?」とキャプテン・ミルクはレッド明凜に聞いてみた。

 

 「知らなぁーい。私に聞いてもわかんないわよ。まだ私は生まれたてで出来たばかりだし。そんなことより、もう少し画面を綺麗にしてみる」とレッド明凜は言ってスクリーンの解析レベルをアップさせるために鼻の穴の奥にある調整ボタンを押す必要があるので指を入れて強めに鼻の穴をほじくった。

 

 「レ、レ、レッド明凜、急にどうしたのよ? 鼻の中が痒いのかい?」とキャプテン・ミルクは面食らい気味に戸惑って言った。

 

 「ちがう。解析アップや色々なシステムの調整ボタンがここにあるだけなの。止めないで。本当はね、はしたないって分かってるし、サイボーグの前に独りの女でありたいというのが私の本音なの。キャプテン・ミルクの前でこんな情けない姿だけは絶対にさらしたくなかった。ごめんね、キャプテン・ミルク。貴方だけを助けたくって。だからもっともっと強く鼻をほじらねば! 私、頑張っちゃう!」とレッド明凜は涙を溢しながら鼻をほじってホジってほじりまくった。

 

 「うぇーん、ぐはぁっん。レッド明凜ーっ、辛い思いをさせてごめりんこ。本当にごめりんこ。ごめんごだっこーん。ごめんなたぁーい。今から大至急改造をして鼻の穴から耳たぶにダイヤルボタンを設置し直するからさ。ごめんなさいね、許してね、レッド明凜ちゃん」と曲り角ペペは泣きながらレッド明凜の鼻の穴に指を突っ込むと小さなピンク色のボタンを取り出して耳たぶに設置するために、ポケットからジャライダーを取り出して使った。(説明しよう。「ジャライダー」とはだね、工具に絶対的に必要なドライバーの進化版で、割り箸並みの細さや重さになった極めて優れものなのだ。今ではジャライダーはドライバーと顔馴染みの飲み友達なのだ。顔馴染みの程度なので、親友、親しい友人関係とまではいかないのだが、お互いの気持ちを汲んで思いやりのある友情関係に近い間柄なのであった)

 

 「出来た。これでカッコ良く全ての機能調整は耳たぶから始まるよ」と天才、曲り角ペペは自信満々に言った。それはそれは見事な仕事ぶりだった。

 

 「本当に嬉しい。ありがとう、ペペ。これで安心して私は私らしくいられるわ」とレッド明凜は照れくさそうに言って顔を紫色に染めた(説明しよう。レッド明凜はもの凄く嬉しいと顔を紫色に染めるのだ。本質は照れ屋さんなのさ)

 

 レッド明凜は耳たぶを触りながら解析調整ボタン動かした。

 

 次第にブルーバードAYAの顔がハッキリと見えてきた。

 

 「こりゃ、参ったな。どうやら本物のブルーバードAYAみたいだな。何故だい? 何故なんだいブルーバードAYAよ? こんな地下深くにいるなんて信じられないよ。何が目的なのさブルーバードAYA?」とキャプテン・ミルクは納得いかない顔を浮かべてスクリーンを見つめていた。

 

 ブルーバードAYAは茶色の扉を力一杯蹴ってから右手でドアノブを弾くように殴った。

 

 静かにゆっくりと茶色の扉が開いていった。

 

 ブルーバードAYAは迷わずに茶色の扉の中へと進んでいった。

 

 「ここで映像が一旦途切れています。他の映像を見ますか?」とレッド明凜は言って映像を流そうとした。

 

 「ちょっと止めて」とキャプテン・ミルクは言って立ち上がった。大きく背伸びをすると窓際に言って窓を開けて深呼吸をした。

 

 「どうする? キャプテン・ミルク?」と曲り角ペペは唇を噛み締めて言うとレッド明凜の背後に回ってカメラを止めた。

 

 「今から、このブルーバードAYAが映っている映像の部分だけをピンク・ゆきあかり@温泉・夢子さんに見せて確認を取る。全ての事情を話すつもりだ。呼んでくるから待ってろ」とキャプテン・ミルクは迷わずに決断すると部屋から出ていってしまった。

 

 曲り角ペペとレッド明凜と川本さすおさんは立ち尽くしてキャプテン・ミルクの後ろ姿を黙って見送った。

 

 10分後。キャプテン・ミルクはピンク・ゆきあかり@温泉・夢子と一緒に部屋に戻ってきた。夢子さんの顔が緊張していた。

 

 「ゆきあかり@温泉・夢子さん、お話しました通り、癒しと安らぎのゆきあかり@温泉旅館の地下に異変を発見致しました。すべての原因はジャム将軍にあります。ここが肝心です。最初にそこを理解して頂きたいのです」とキャプテン・ミルクは真剣に言って聞かせた。

 

 「はい」ゆきあかり@温泉・夢子は真っ直ぐキャプテン・ミルクを見ていた。

 

 「それでは早速ですが、これに見覚えがありますか?」キャプテン・ミルクはレッド明凜に頷いた。

 

 レッド明凜は白い壁に向かってスクリーン画面と映像を流した。

 

 流れてきた映像はレッド明凜による見事な編集コンテンツだった。

 

 ピンク・ゆきあかり@温泉・夢子が何度も異変を感じて陰り銀バエを叩き落とす映像を複数個組み合わせた映像だった。

 

 「えーっ!! な、な、なんなんですかコレは!? 誰が撮ったのよーっ? ねぇ、誰よ! 許さん!!」とピンク・ゆきあかり@温泉・夢子は言って、スクリーンを見ながら、あんぐりと口を開けた。

 

 「夢子さん、ジャム将軍が監視盗撮カメラを付けた陰り銀バエというメカによる映像なんです。ジャム将軍は何らかのスパイ、またはオペレーターを安らぎと癒しのゆきあかり@温泉旅館で行っていたというわけです」キャプテン・ミルクは真剣に話す時、ある種の狂気と怒りをない交ぜにした無表情で話した。達観した境地に至る表情というのか、超越したものが感じられた。全宇宙の覇者、王者の風格というものがそこにはあったのだ。

 

 普段は明るくて優しくてオチャメな時があったりもするのだが、本気になった時のキャプテン・ミルクには決して踏み込んではいけない危険な雰囲気が全身から漂っていた。

 

 

☆続いちゃう☆

60話まできました!いつも読んでくれて、どうもありがとうございます!これからもキャプテン・ミルクをよろしくお願いいたします。

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