色んな言葉が飛び交う
『実はですね、先ほどテレビラリン・チュラララリンで流れた緊急速報ニュースなんですけれども、あれ、完全に誤報なんですよ』キャプテン・ミルクは高音のハスキーボイスを維持しながら話していた。(説明しよう。キャプテン・ミルクの声は普段だと低くて鼓膜を震わす魅惑的なボイス、セクシーボイス、色気まみれのカッコいい声をしているのだ。案外、人を惹き付ける要因や魅力というものは声にあるのかもしれないと思う今日この頃なのであった)キャプテン・ミルクはチラッと愛星・サマー・えりかを見た。
「ぐぉぉぉーん」ベッドの上の彩月が体を横に動かした。目を大きく見開いたまま視線をキャプテン・ミルクに向けて寝ていた。
「ぐぉぉぉーん、ぐぉぉぉーん、オエッ、オエ~ッ。さっきから調子に乗ってジャパンゴールデンウィークの白滝ばっかり食べてんじゃねぇーよ! 白滝から離れてよ!! ありがとうございましたぁ~ん。ウフッ。騙されてたまるかっつぅーの! あたしの何処が嫌なのかハッキリ話して~ん。ウフッ。私は前からあんたが好きだっていってんのん。はいはい運転手さーん、そこを左折してから止まって下さい。はい、どうも。運転手さん、いくらですか?」とイビキと吐き気と意味の分からない寝言を呟いて彩月は爆睡していた。
キャプテン・ミルクは無表情で彩月を見ていた。
『戦士さん、それは一体どういう事でしょうか? 誤報なわけないんですけど』滝パイ子は明らかにイラついた口調で言った。
「だから白滝ばっかり食うなっつぅーの!! 白滝も非常に迷惑しているんだよ!! バランス良く食えよ!! 白滝の一点張りは止めれや!」と彩月は目を大きく見開いたまま叫んだ。キャプテン・ミルクは慌てて振り向いたが彩月は完全に熟睡中だった。
『戦士さん、さっきから何か叫んでいる声がしていますが、大丈夫ですか?』と滝パイ子は警戒した声で言った。
『テレビラリン・チュラララリンのスピーカーが壊れたみたいでして。今日のお昼頃に業者が来るので大丈夫です』と咄嗟にウソで答えたキャプテン・ミルクは彩月に手を振ってみた。
「ぐぉぉぉーん、ぐぉぉぉーん、ぐぉぉぉーん」と重低音の彩月のイビキが響くのみだ。
『戦士さん、誤報ではないと証明できるんですか?』
「白滝、白滝ってぇ。あんた、本当にもぉう何なの~? ねぇ何なのよ? 白滝、白滝って。ねぇ、もっと野菜を食べな。野菜を食べな食べなよ。 野菜を食べなってば。 早く野菜を食べなってよ! だ・か・ら、白滝はもう良いからっ!! 白滝ばっかり食べんじゃねーよ!! いい加減にしなよ!! 白滝、白滝って、本当にもう! 白滝の何が良いのさ? 何で白滝なの? 白滝に夢中なの?」と目を大きく見開いた彩月の寝言の怒鳴り声が非常にやかましい。
『戦士さん、料理番組か何かですかね? 白滝って、確か、ジャパンゴールデンウィークの食べ物らしいですよね。私は白滝を食べたことがありませんがね』と滝パイ子は警戒しながらも白滝に興味があるようだ。
『俺も白滝は食べたことがないですね』とキャプテン・ミルクは彩月の不可解な寝言に笑いが込み上げてきた。愛星・サマー・えりかもクッションで顔を隠して爆笑していた。
「私はね、白滝が嫌いで白滝を食べるなって言っているんじゃないのよ。食べるバランスっていうものかあるでしょうが。だ・か・ら・さぁ!! ちょっとあんた、マジで白滝を食べるなって言ってんべ!! 偏って食うなよ!! 何で今、白滝なのさ? ねぇ、何で白滝なの? そんなに白滝が好きなの? ねぇ、聞くけどさ、あんたが白滝を食べてる時の笑顔、私には見せたことがないよね? だからさぁ、白滝食うなっつーの!! 白滝、白滝って!!」と彩月は寝言で怒鳴り散らして、悔し涙と鼻水を流しながら大きく目を見開いて爆睡していた。
キャプテン・ミルクは笑いを堪えるのに必死になってきた。
『戦士さん、もう一度、聞きますが、誤報だという理由を証明してくださいよ』
『はい。愛星・サマー・えりかちゃんは元気にしています。決して行方不明になったり蒸発したわけでもありません』
『スクープだわ。もしかして戦士さん、あなた愛星・サマー・えりかさんを誘拐したりしたんじゃないでしょうね!』
『そんなイカれた事をするわけないでしょうが! 誘拐犯が白滝を語る声をバックに誤報を証明したり説明したりするわけないでしょう?』
『ま、まあ、そうですね。でも戦士さんの口ぶりには少し危険な香りがします』
『パイ子さん、それは気のせいです。とにかく、完全に誤報なので「報道ニュース50世紀」内で改めてもう一度、愛星・サマー・えりかちゃんが無事だという緊急速報ニュースを流してください』
『戦士さん、それは出来ません。わたくしの元に確かな情報が寄せられていますし、なんといっても819人の目撃者の証言を得ていますから!』
「あんたよう、いい加減にしなさいよ!! 金輪際、白滝禁止!! 白滝は悪くないよ、あんたが悪いんだよ!! 白滝、白滝って。白滝の気持ちも考えなさい!! 野菜を食べてよ。ご飯、白滝、ご飯、白滝の順番で食べるなって。だからさぁ~、ちょっとあんた、人が白滝を食べるなって話している時にさぁ、満面の笑顔で白滝を食うなって言ってんべ!! 何考えてんの、あんた!!」と彩月がキャプテン・ミルクの代わりに寝言で怒鳴ったわけじゃないが、タイミングの良い彩月の寝言にキャプテン・ミルクはニヤついた。
オープニングテーマソング
『最高にイカしたクールなハンサムマンのあんちくしょう☆キャプテン・ミルクの楽しい大冒険☆』
作詞 蒼井真ノ介
作曲 蒼井真ノ介
編曲 蒼井真ノ介
歌 えりかちゃん
宇宙に行こうよ
宇宙の果てにはさ
光の壁があるって話よ
ツルッと光よりも輝く
あんちくしょうに夢中よ
あたい月よりアイツ好きさ
あたい星よりアイツ好きさ
あたいナウい船長と
ナウい宇宙船の持ち主の
あんちくしょうがさ
とぅきでぇ~す(好きで~す)
痒い背中に孫の手が欲しい
痛いお尻に座薬と塗り薬よ
朝から晩まで歌っている鳥
お願いシャラップだい!
好きなあいつに付きまとい
好きなあいつに睨まれて
好きなあいつにドキドキ
ラブレターをあげちゃった
偶然のフリして
無理矢理鉢合わせたのさ
恥ずかしいけどもさぁ
あたいのLIFEは色々と初体験の連続だい!
ファンタジードラゴン号『ワオッ』
ファンタジードラゴン号『ワオッ』
我らの我らの我らの我らの我らの我らの我らの我らのキャプテン・ミ・ル・ク~☆
『おそらく、819人の目撃者、輩たちはラルルラボン祭りにいて朝までバカ騒ぎをしていた頭のイカれた連中です』
『戦士さん、生放送中の2人組の女の子についてはどう思いますか? 「あの2人組の中に愛星・サマー・えりかさんがいた!」との重大な発言があるんですよ?』
『パイ子さん、それは完全に見間違えですね』
『戦士さん、どうも腑に落ちないです。説得力がないと思います』
『パイ子さん、仮定の話ですが、気分転換で外を出歩いていた愛星・サマー・えりかちゃん、と言えば納得しますか?』
『う~ん、どうかな?』
『もし、滝パイ子キャスターの名誉に関わる問題にまで発展したら……、どうします?』
『戦士さん、それは脅しですか?』
『警告です。パイ子さん、スクープだとか、好奇心だとか、くだらない詭弁や誤魔化しを並べ立ててまで、他人のプライベートやプライバシーを侵害する理由はなんですか? 「報道する自由があるからやっている」という理由や、つまらない言葉で逃げたり、ありきたりな言葉で片付けたりするのは許しませんよ。俺が納得する言葉を下さいね』
『……。戦士さん、貴方、一体、何者なの?』
『「視聴者ディスカッション機能」を使った単なる視聴者です。ペンネームは戦士です』
『戦士さん、貴方の言葉には力があるわ。キャスターやリポーター、ジャーナリスト等に興味はないかしら? 是非1度、コッペパンTV局に面接してみない? 私なら力になれるわよ』
『パイ子さん、話を逸らさないでくれませんかね?』
『べ、別に逸らしていませんよ』
『パイ子さん、せっかくですが、その質問の答えは、興味なし、です』
『あら残念です。私はジャーナリストでもあります。興味や好奇心があれば追及するのが仕事なんです』
『パイ子さん、人に迷惑を掛ける仕事が仕事と言えますかね?』
『どういう意味!?』
『ジャーナリストなら自分で考えてくださいな。俺の言葉には悪意や悪気があって言っている訳ではないのでご理解ください』
『戦士さん、実は決定的な情報があります。先ほど、私、愛星・サマー・えりかさんに会って独占インタビューをしました』
キャプテン・ミルクは意表をつかれた言葉に面食らってしまった。電話口のスピーカーはONにして話しているので、戦士ことキャプテン・ミルクと滝パイ子の会話は、全て、愛星・サマー・えりかも聞いていた。
キャプテン・ミルクは電話口を手で押さえて、愛星・サマー・えりかに「独占インタビューしたの?」と小声で聞いた。
愛星・サマー・えりかは首を横に振っていた。
『パイ子さん、それは本当の話なんですか?』
『ええ、本当の話です。今から10分前にインタビューを終えましたからね。今回は約40分の独占インタビューです。今日の夜に、もう一度、独占インタビューをすることになっています。インタビューの時間は約3時間です。何処のメディアよりもイチ早く私がスクープしたんですよ。優秀な私の力でね。愛星・サマー・えりかさんは行方不明になった理由を詳しく聞かせてくれました。それは恐るべき理由からでした』
『パイ子さん、愛星・サマー・えりかちゃんは行方不明になった理由を何と言っていましたか?』
『「歌うのが嫌になった」とか。そんなような事を言っていたと思います。他にも重大なスクープ発言を連発していました』
『なるほどね』とキャプテン・ミルクは言ってため息を吐くと彩月を見た。
「あんた!! もうこうなったら、私を取るか、白滝を取るかの話になってくるんだよ!! 白滝ばっかり食べんじゃないってよ!! あたし、泣けてきた!! ぐぉぉぉーん、ぐぉぉぉーん、ぐぉぉぉーん、オエッ、オエッ。東区北方面ジャイジャイダンスを踊るにはそれなりの筋肉が必要でぇす。あんたよう、白滝が好きかい? 白滝が好きなのかい? 白滝の何処が好きなの? うん? 美味しい? うん? 可愛くて美味しいから好き? それ以上、白滝を誉めたりしないでよね!! 妬いちゃいそう。やきもち妬きそう。私は白滝に嫉妬したくないのよ!! 加工食品に嫉妬する女にはなりたくないのよ!! だからさぁ~、白滝食べるなってよ、本当に止めて!! もうこれ以上、白滝に笑顔を見せたり、白滝が美味いとか言わないで私を見てよ~ん!! 白滝、白滝って!! 本当に白滝って腹立つわ~!! 腹立つけど美味い!! 白滝は美味いよ~!! にゃはははは」と大きく目を見開いた彩月はよだれを垂らしながらバカでかい声で寝言を言って熟睡していた。
☆続いちゃう
エンディングテーマソング
『恋したり愛したりキスしたりハートの赴くままに』
作詞 蒼井真ノ介
作曲 蒼井真ノ介
編曲 蒼井真ノ介
歌 えりかちゃん
気持ちを抑えて
貴方を見つめると
涙が溢れてたまらんわ
好きな気持ちを隠して
辛くてもう嫌になるわ
お月さん
お月さん
応答願います
お星さま
お星さま
寂しくて参っちゃってさ
ねぇねぇ
私の話を聞いてくれる?
お願いします
やけ食いしたら負けよ
夜食を我慢して
ダイエットしようかな?
ダイエットしてさぁ
絶対に綺麗になるからね
綺麗になってウホホホホ
負けてたまるかやったるで
甘いお菓子なんかにさ
こっちからバイバイキーン
本当にバイバイキーン
バイバイキーンのバイバイキーン
好きな人を想いたいの
毎日抱きしめていたいの
貴方の笑顔を守りたいの
私は貴方が好きなのよ
ねぇ本気になってよ
こんにくしょう
私に振り向け振り向け
こんにくしょう
夜更かしばかりして
本当に困っちゃう~
恋したり愛したりキスしたりハートの赴くままに
恋したり愛したりキスしたりハートの赴くままに
それがあたいよ
あたいの姿なのよ
好きでぇ~す
エヘヘヘヘ
好きでぇ~す
ウフフフフ
好きでぇ~す
"LOVe"
恋したり愛したりキスしたりハートの赴くままに
恋したり愛したりキスしたりハートの赴くままに~
今日の晩御飯で白滝を食べたよ。白滝って美味しいよね~。あはははは✨読んでくれてありがとうございました!




