ニックネームで呼び合う仲
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
(作画 ひだまりのねこ様)
(作画 茂木多弥様)
マンゲリラ太郎は血相を変えると慌てて必死になってチンゲリラ哲也を引き止めに入った。
勝手にジャム将軍に会わせるだなんて、下っ端の分際で、できっこない。できっこないのに、できっこないのにさ、できると言って自分の存在を大きくアピールすることで自分は特別な存在なんだぜとナルシズムに酔いしれているだけなのだ。できっこないくせにできるフリしてさ、嫌な感じだよな。できっこない奴って変に自惚れていて屈折しているよな。妙にかっこつけてるなってな感じさ、とマンゲリラ太郎は思ったのかもわからない。
「チンゲ、止めておけよ。ジャム将軍に怒られるって」とマンゲリラ太郎は言った。
「マンゲ、心配すんなって」とチンゲリラ哲也は優しい笑顔を浮かべて言った。
「チンゲが心配だ」
「マンゲよ、心配すんなって」
「チンゲ、あえて昔からのニックネームのチンゲと呼ばせてもらうぜ」
「こちらこそ、あだ名のマンゲで呼ばせてもらうよ」
「チンゲ、これからもチンゲとマンゲで仲良くしていきたいよな」
「そうだな。マンゲと出会って19年くらいになるかな?」
「チンゲよ、小学生時代からの付き合いだから20年だよ」
「そうだった、そうだった。マンゲよ、ハイスクールの時には、チンゲ&マンゲというバンドを組んで色々と音楽活動もしたよな」
「いやいやチンゲ。ずいぶんと急に懐かしい話だなぁ〜。ドラムのジル・ガーマン、ベースの門田悟は元気だろうかな?」
「元気みたいよ。2人ともマンゲに会いたがってたよ」とチンゲリラ哲也は言って涙ぐんだ。
「嬉しいねぇ〜。はぁー。老いたくはないものだね。チンゲリラ哲也よ、光陰矢の如しだ。人生はもの凄く短い」とマンゲリラ太郎は言って泣き出した。
「そうだ! マンゲリラ太郎よ、あの歌を歌おうぜ。『ドナドナ』を歌おうよ」とチンゲリラ哲也は泣きじゃくりながら言った。
チンゲリラ哲也とマンゲリラ太郎はお互いを見つめ合いながら最後まで手を取り合って『ドナドナ』を歌った。
キャプテン・ミルクは『ドナドナ』を聴いて、もらい泣きをしていた。
「実は『ドナドナ』は実際にあった話をモチーフにして書かれているらしいのだ。母牛から離された子牛が可哀想な歌ではないのだ。親から離れて独立する子供が可愛くて仕方ないという歌なのだ。もっと踏み込むとだ、実際に『ドナドナ』は秋田県にいる母親A子さん、子供はGくんをモチーフにしているというディープな情報を御知らせする。きっと子牛ことGくんは初めての一人暮らしなんだと思う。受験に合格したGくんは田舎から都会へと向かう。きっとGくんのやつ、今まで母牛こと母親のA子さんのお陰で生活できたことに感謝するんだろうなぁ。Gくん、一人暮らし、頑張れよとエールを贈ろうという応援歌でもあるのさ。掛け持ちでアルバイトをして、学費や家賃、食費、光熱費を稼ぐのが、どれだけ大変なことか身を持って知ることになるだろう。おそらく、母親のA子からの仕送りもあるには違いない。Gくんよ、母親のA子さんに感謝して頑張れよ! というのが『ドナドナ』という歌の真実なのだい!!」とキャプテン・ミルクはチンゲリラ哲也とマンゲリラ太郎に向けて話した。
その切ない親子の話に深く感動したマンゲリラ太郎はチンゲリラ哲也に向って頷くと、
「よし、チンゲリラ哲也よ。この優しい男性をジャム将軍の元に連れて行け、早く連れて行け」とマンゲリラ太郎は許可したのであった。
「い、いいのか!?」とチンゲリラ哲也は涙をふいて言った。
「ああ」とマンゲリラ太郎は照れくさそうに言うとポケットに入れていた赤いチョークを出して床に『本当の犯人はヤスじゃない。黒幕は別にいそうな感じがするんだ。ヤスは誰かの身代わりだ。今すぐヤスを釈放せよ!』と落書きをした。
◇続いちゃう◇